ナイキのCEOは先日、フットロッカーのCEOと会談したことを明らかにした。
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- スポーツウェア大手のナイキは、2017年から積極的に消費者への直販を進めている。
- それ以来、同社の卸売事業は横ばいだが、直販事業の売上は2倍になっている。
- しかし前四半期には、フットロッカーなどの店舗での卸売が、直販よりも成長した。
ドイツ銀行のアナリストは、ナイキ(Nike)の最新の四半期報告書で面白い変化に気づいた。同社の9月から11月の卸売事業の成長率が直販事業を上回ったのだ。
この異変は、同社の在庫が膨れ上がっていることに関連している可能性がある。だが、アナリストらが同社が卸売事業から離れすぎたのではないかと疑問を呈し、ナイキの幹部たちがフットロッカー(Foot Locker)のような小売店の重要性を語り始めたことも背景にある。
ドイツ銀行は投資家向けの先日の報告書で、ナイキの第2四半期において「強力な卸売事業の成長があった」と述べている。卸売の売上は前年同期比19%増の73億ドル(約9500億円)で、15%の成長だった直販を大きく上回った。
欧州、中東、アフリカを除くすべての地域で、卸売の大きな成長が見られた。北米では、直販の売上は23%増だったのに対して、卸売は37%増だった。
ドイツ銀行は、ナイキの株式を「買い」と評価している。
ナイキの直販は、直営店のナイキストアとウェブサイト、ショッピングアプリでの販売を重視する経営計画「コンシューマー・ダイレクト・オフェンス」を発表した2017年6月以降、2倍以上になっている。
その段階で、ナイキは小規模のスポーツ店やスニーカーショップとの関係を断ち切った。フットロッカーやディックス(Dick's)などの大手小売店とは取引を続けたが、商品の割り当てを減らした店舗もある。
直近の年次報告書によると、ナイキは直販で2017年から106%増の187億ドル( 約2兆4200億円)を売り上げた。同期間、卸売は11%増の256億ドル(約3兆2700億円)だった。
ナイキの卸売事業の売上に占める割合は現在、半分を超える程度で、2017年の72%から減少している。
だが、ここ数カ月間で、直販戦略はナイキをより不安定な状況にさらしているのではないかと疑問視するアナリストが増えている。
ナイキはその声に耳を傾けているようだ。同社はディックスなどの小売店との関係を強める努力を宣伝している。
12月の収支報告で、ナイキのジョン・ドナホー(John Donahoe)CEOは、同社は9月、3年ぶりにオレゴン州の本社で小売業者を接待したことを明かした。招待されたメンバーには、フットロッカーのマリー・ディロン(Mary Dillon)新CEOもいた。
「今四半期、我々はマリー・ディロンとフットロッカーのチームと多くの時間をともにした」とドナホーは述べた。
「販売パートナーとともに、我々が何を成し遂げられるか、とても楽しみだ」