このインセンティブは、中国国民が西側のワクチンを欲しがっていることを示している。
Li Ran/Xinhua via Getty
- 香港の中国国有銀行が、約50万ドルを預金した顧客にファイザーの予防注射を提供する。
- この優遇措置は、中国本土の市民が欧米で開発されたmRNAワクチンの接種を希望していることを示すものだ。
- この「特典」は、中国本土と香港間の渡航制限を解除した後に提供されている。
香港の銀行が、口座に400万香港ドル(約6770万円)以上入金した新規および既存の顧客に対し、ファイザー(Pfizer)/バイオンテック(BioNTech)のmRNAワクチンを無料で提供している。
このワクチンは、中国本土と香港の越境規制を解除したことを受けて提供されるもので、中国国有企業の中国中信集団(CITICグループ)が保有する中信銀行国際(CNCBI)が3月31日まで展開している数々の「特典」の一つだ。
ファイザーのmRNAワクチンは、中国本土ではあまり利用されておらず、そのほとんどはmRNA技術を含まない中国産ワクチンに頼っているのが現状だ。しかし、フォーチュンによると、香港とマカオの永住者は、ファイザーのワクチンを無料で入手することができたという。
CNCBIのプレスリリースによると、ワクチンの無料提供は「顧客の富と健康に配慮した特典」の一つだという。
その他の特典として、健康診断やB型肝炎ワクチンなどもある。CNCBIの多通貨クレジットカードを申し込んだ顧客は、ファイザーのワクチンやB型肝炎ワクチンを含む2種類のワクチンを無料で受けられるほか、フォーシーズンズホテル香港での15%割引も受けられる。
その他にも、テーマパーク「モノポリー・ドリームス香港」の無料チケット4枚やベントレーの試乗など、顧客向けの「特典」が数多く用意されている。
CNCBIは、Insiderのコメント要請に応じていない。
中国は2022年12月に厳格なゼロコロナ政策を撤回して以来、コロナウイルスへの感染とそれに関連する死亡が驚異的に増加している。同国はmRNAワクチンを承認しておらず、韓国のワクチン会社のトップは、中国は「国家のプライド」を守るために外国のワクチンを承認することはないだろうと述べている。