まずは予算を立て、貯蓄することから。
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- 富を構築し、子孫に残すために大事なこと9つを、マネー系インフルエンサーのティファニー・アリシエ氏は、自著の中でリストアップしている。
- まずは予算を立て、貯蓄することだ。次に借金の返済計画を立て、退職後に向けて投資をする。
- それができたら、ファイナンシャルプランナーに相談しよう。生命保険の受取人の確認も忘れずに。
マネー系のインフルエンサーであるティファニー・アリシエ氏は、『お金と上手くやる方法(Get Good With Money)』(未翻訳)を2021年に上梓した。ベストセラーとなった本作で同氏は、資産を増やし、子孫に残すために1時間でできることを9つ紹介している。日本でも参考になることが多いので、順番に見ていこう。
1. 必ず守れる予算を立てる
所得水準に関係なく、だれもが予算を立てるべきだ。初めて予算を立てるなら、どこからお金が入って来て、毎月どこに払わなければならないかを明確にした後で、必要な支出と不要不急の支出に分けてみよう。
それができたら、いくら支出して、いくら貯蓄に回すかを決めよう。
2. 自動振り込みを利用する
予算ができたら、次は貯蓄だ。
貯蓄で最も大事なのは、毎月「必ず」貯蓄することだ。だがこれは、預金口座に毎月自動で振り込むように設定しておくだけで済む。その際には高金利口座を選ぶと良いだろう。
大手銀行だと1年物でも0.002%程度だが、新規口座開設キャンペーンなどを利用すると1.0%ほどの金利を提示しているところもある。実に500倍だ。もちろん、金融機関を選ぶときは信用力も必ずチェックしよう。
3. 借金があるなら、借り換えを検討する
消費者ローンやクレジットカードローンなど、金利の高い借金があると厄介だ。投資や貯蓄の利回りよりもローン金利が高く、借金が増えてしまう可能性があるからだ。そんなときは低金利のローンに借り換えを検討しよう。
クレジットカード数社にローンがあるときは、おまとめローンの利用を検討しても良いだろう。複数のローンをまとめることで、金利が下がることが多い。また、支払日を一本化できるのでローン管理が楽になる。
だが、おまとめローンを行うと、借り直しや繰り返し利用ができない点には気をつけよう。
4. 信用スコアを確認する
アメリカではクレジットカードを作る時、信用スコアが使われている。これは日本ではまだ普及していないシステムだが、アメリカや中国ではすでにさまざまな場面で利用されている。いずれ日本でも導入される可能性もあるため、コンセプトは理解しておこう。
信用スコアとは、返済履歴や借入残高を勘案して数値化したもので、信用に関する個人の成績表のようなものだ。大手クレジットカード会社の9割が使用しているFICOスコアでは300~850で評価される。
クレジットスコアが高いほど、住宅ローン審査に通りやすく、就職にも有利と言われる。そのため、普段からクレジットスコアを上げる意識を持ちたい。
ちなみに、アメリカならFICOスコアのホームページから自分のスコアを確認できる。まずは延滞など支払いミスがないかチェックすることから始めよう。
5. 退職貯蓄口座を作り、拠出する
金利の高い借金を返済したら、投資を始めよう。
まだ退職後の貯蓄を始めていないなら、それから着手すると良い。将来働かない自由を手にするには、早くから貯蓄を始めることが大事だ。年老いた自分の面倒を見るのは若い時の自分なのだから。
会社勤めの人は、企業型確定給付年金(企業DC)に加入している場合が多い。だが、加入者が自己責任で運用する確定拠出年金の利用も増えてきた。会社がマッチング拠出制度を運用している場合には、それを利用しない手はない。もちろんiDeCo(イデコ)の活用も検討しよう。
6. 生命保険に加入する
生命保険が資産形成ツールと聞いてもピンとこないかもしれないが、実はとても重要だ。生命保険は築き上げた資産を守り、子どもに残すのに役立つ。
子どもが小さいうちは、自分に何かがあった時に家族を守ってくれる。住宅ローンを組むと同時に生命保険に入ることで、万が一の時にはそれ以降の住宅ローンの返済が免除される。また、死亡保険金が遺族に払われる場合、500万円×法定相続人の数が相続税の非課税限度額となることも頭の隅に入れておこう。
7. 純資産を計算する
純資産を確認することは、体温計で体温を測るようなものだ。計算は至って簡単で、持っている資産をすべて足して、そこから負債を引いた差額が純資産だ。自分の純資産を把握しておけば、パートナーやファイナンシャルプランナーとスムーズにお金の話ができる。
8. ファイナンシャルプランナーを見つける
良いファイナンシャルプランナーは、良いかかりつけの医者のようなものだ。資産を増やし子供に残したいなら、良いファイナンシャルプランナーを見つけることは大事な一歩だ。
金融商品の販売から手数料を受け取らない、報酬のみ(フィーオンリー)のファイナンシャルプランナーが良いだろう。また、プライバシーを安心して話せる、信頼できる人であることは大事だ。
9. 生命保険の受取人を確認する
相続は、遺言の作成から長期介護計画までさまざまな要素が含まれる複雑なプロセスだ。いくつかのプロセスには専門家や弁護士の助言が必要だろうが、今すぐできることもある。
金融機関が銀行口座の名義人の死亡を確認すると、口座が凍結され預金が引き出せなくなる。口座が凍結されると遺産分割が確定するまで、遺族はその口座から払い出しができなくなる。つまり、あなたの死後、いきなり生活資金に困る人が出てくるかもしれないのだ。だが、生命保険は死亡後に確実に支払われる。結婚や離婚、出産などで受取人を変更していない保険はないか確認してみよう。