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Z世代の次は“アルファ世代”、インタビューから分析する4つ特徴…主語「私は」→「ウチら」への変化

小学生

今回聞き取り調査をした1人Cさんがゲームをしている様子。

提供:Zs

α世代(アルファ世代)とは何か、知っていますか?

α世代は、2010〜2024年頃までに生まれた世代で、多くはミレニアル世代(Y世代)の子どもにあたる世代です。オーストラリアの世代研究者マーク・マクリンドル氏が2005年に提唱し、同氏の試算によれば、2025年ころには、世界のα世代は合計約20億人に達し、歴史上でも最大数の世代になると言われています。

今回はα世代への独自インタビューをもとに、彼らの思考回路を「デュアルキャリア思考」「チート思考」「シンクロ文化」「エイジレス」という4つの特徴に切り分けて紹介していきます。

発信力や表現力を持つα世代の先進層を取材

世代の定義グラフ

アルファ世代は2022年時点では、小学6年生以下の年齢となる。

筆者作成

私が代表を務めるZ世代を研究するプランニングチーム「Zs」が今回インタビューをした対象者たちは、α世代の中でも、特に自らコミュニティリーダーとなり、発信をしている子どもたちです。

すでに自らのYouTubeアカウントで発信をしている子や、TikTokとInstagramを使い分けて発信している子など、何かしらの手段で世の中とすでに接続をしている先進層に絞りました。

Aさん:小学6年生。平成時代に流行したギャル文化に憧れを持っており、小学生ながらも動画などで学んだメイク技術を生かし、いわゆる黒肌ギャルメイクでギャルファッションを楽しんでいる。TikTokやInstagram、YouTubeなどで発信。


Bさん:小学4年生。コーラスグループの両親の元に生まれ、小さい頃から歌に囲まれた音楽生活を送る。現在は小学生シンガーとして歌手活動を行っている。


Cさん:小学6年生。幼少期からゲームに親しみ、マイクラ、フォートナイトは小2からプレイ。その世界観にハマり、コツコツとお小遣いをため、この秋晴れて自身のゲーミングPCを購入。プロゲーマーになることにも憧れつつ、ゲームクリエイターという夢も持つ。

今回の対象者の方々は、一般的なα世代というより、特に先進寄りの価値観を持つ人々に限定しているため、あくまでもα世代の凝縮された未来のエッセンスとして受け取っていただくようお願いします。

1. デュアルキャリア思考……「肩書きは捨ててもいい」

小学生

shutterstock

調査対象のα世代たちは、表舞台で活躍した経験、メディアから注目を浴びた経験など、「発信」という形で社会と接点を持っている子どもたちです。

日頃から「小学生なのにすごい」といった評価を受けていますが、自分たちが注目されたり、評価されたりしているのは「若さゆえであること」を理解しています。

中でも特徴的だったのは、若さゆえに注目され、消費されていることを理解し、そのことに危機感を持っていたこと。

だからこそ、夢が実現しなかった場合、軌道修正するために、体を酷使しないことまで考えていたことです。

以下、取材の中で得られた象徴的な発言を紹介します。

「今は『小学生ギャル』と自己紹介しているけど、中学生ギャルは普通にいるから、中学生になったら『中学生ギャル』ではなく、別の肩書きにしようと考えている。『小学生ギャル』だからこそ、注目されていると思うから

「日焼けはシミになると母から聞いたので肌は焼かないようにして守っている。肌は焼きたくないけど黒い肌にはしたいので黒いファンデを塗っています」 (Aさん)


「歌手になれない場合は、なるべく声を使いたいから声優になりたい。歳を取っても喉の負傷がなく、元気に歌える自分でいたいから、喉の健康は気にしている。子供の時だけ売れて大人の時に何もないのは嫌」(Bさん)

自分の市場価値を客観的に把握することは、大人でも容易なことではありません。

幼少期からデジタルに触れ、発信し、評価されることを繰り返してきた一部のα世代の子どもたちは、自分が置かれている状況の俯瞰的な理解が、より早く、より可視化されやすくなっています。

ネットの発達によって、たとえ今現在なりたい職業があり、そこに近づけていたとしても、5年後、10年後、同等の価値があるとは限らない。その夢が叶わなかったとき、「いつからでも軌道修正がきくよう、自分の体をケアする」行動が主流になっていく可能性があると考えます。

Z世代は自分につけられた「タグ」や肩書を一生通用するようなより強固なものにしていきたいと考えているのに対し、α世代は「肩書は捨てても(取り替えても)いい」と考えています。

それは、決して今の自分にこだわりがないからではなく、「デュアルキャリア思考だからこそ、他の選択肢の可能性を捨てないでいる」ともいえるのではないでしょうか。

デュアルキャリアとは、二重でキャリアを形成していくことで、おもにスポーツ界で使われている考え方です。

2. チート思考……正解を見てから自分流へ

ゲーム実況

shutterstock

2つ目の特徴として我々が挙げたいのが「チート思考」です。

「チート」とはもともと、「いかさま」「不正」といった意味を持つゲーム用語でしたが、近年では、ネットを中心に「(いかさまや不正を働いたかのように)すごい」という意味で用いられることも増え、「チート機能」という言葉はポジティブなものとして使われるようになりました。

α世代においては、情報収集の面で、かつては不正と思われてしまうような手法が抵抗なく定着しています。

以下は取材の中で得られた象徴的な発言です。

自分で考えるよりも、両親がアドバイスしてくれたことを真似して僕が歌って作品を作る。僕より両親の方が音楽の知識があるから、歌づくりで頼りにしている」(Bさん)


「もともと(息子は)声を出すのが好きで、YouTubeを見ながら、ゲームのミッションクリア感覚で『声はこういうふうに使うんだ』と歌いまわしや発声に挑戦している」(Bさん親)

このことを象徴するα世代の行動のひとつが、ゲームの実況動画の視聴です。

これまでゲームは、まずは自分でプレイしてから、分からない点を人に聞いたり攻略本を読んだりして攻略していく方法が主流でしたが、現代は人気タイトルは発売当日にプレイ動画が多数あげられる時代。子どもたちは自分がプレイする前に「やってみた」動画を見ることに抵抗はありません。

むしろ、まず正解を見てから自分流を極めていくやり方が定着している世代といえるでしょう。

ゲーム実況に限らず、メイク動画、レシピ動画、ダイエット動画など、あらゆるジャンルのノウハウが、すべてインターネット上にあることが前提であれば、もはやチートという感覚はなく、見ないという選択肢はないのかもしれません。

時間と努力を惜しまない、α世代にとって「チート」はある意味「研究」ともいえるのではないでしょうか。

3. シンクロ文化……「真似されたくない」とは思わない

小学生

shutterstock

次にあげられる特徴が「シンクロ文化」です。

α世代のひとつ上の世代であるZ世代は、「オリジナリティを持ちたい」「真似したくない、されたくない」という価値観を持つ人が多かったのに対し、α世代の価値観では、むしろそれを友好的に受け入れる傾向があるようです。

「ギャルメイクを参考にしてもらえると嬉しいし、自分が好きなものを好きな友達が増えるのも嬉しい。学校の友達でギャルじゃないのにギャル可愛いよねって言ってくれて話が盛り上がる。誰かが自分の真似をしてきたら嫌だということもない」(Aさん・12歳女子)

「フォートナイトでは誰かの持っているスキン(コスチューム)がいいねとなったら、友だち同士、みんなでおそろいのスキンにして戦うことも多い」(Cさん・12歳男子)

α世代の中には「自分と他人の趣味嗜好や考え方が被ることは、むしろ好ましいことであり、自分と同じ価値観を持つ共感者を増やしていきたい」という価値観があると考えられます。

背景として、昨今のマイクロコミュニティ文化が影響しているのではないかと考えます。Instagramの「#タグ」やYouTubeのチャンネル、Discord、推し活などがあります。

同じものを好きな人同士で小さなコミュニティを形成し、そのコンテクストの中で、界隈の会話を楽しむ活動は、デジタル環境が整うことで容易になり、あらゆる世代で加速しつつあります。

そしてα世代でも例外ではありません。その特徴は、彼らが普段遊ぶゲームなどにも表れています。

前述のCさんは、まとまった時間があるときは、Minecraftなどのサンドボックス・ゲーム(※)のなかで、仲間と作業を分担して、巨大な建築物を作ることを楽しみにしているといいます。

Z世代は個性の時代といわれ、主語はあくまで「自分」でしたが、α世代は周りとシンクロし、派閥を広げていくことに価値を見出しているのではないでしょうか。

※サンドボックスゲーム:ブロックでできた材料を集め、自由に組み立てて建物を作ったり、壊したりして遊ぶゲーム。MinecraftやRobloxなどが有名。明確な目的やゴールを持たず、創造性と自由度の高いゲームで、仲間同士で一緒に構造物を作っていくことなどができる。

4. エイジレス……大人も子どもも関係ない

プログラミングする子ども

shutterstock

4つ目の特徴としては年齢の垣根を超えた付き合いを大事にし、従来の年功序列意識に捉われない「エイジレス」です

これまで「エイジレス」は、対“自分”に向けた美容行動や、生き方など、「若々しくいることがよいこと」という「アンチエイジング」の文脈として用いられる言葉でした。

一方、ここであげるα世代の特徴の「エイジレス」の文脈は、対“人”です。年齢による上下関係を取り払い、ある価値観や世界観の中での対等に過ごすことを意味します。

このエイジレスを顕著に感じられるもののひとつが、ゲームの世界です。

あるメタバースシューティングゲームは、最大4人のフレンドの協力プレイで敵を倒していくバトルロイヤルモードがとくに人気で、友だち同士で楽しむのはもちろん、親子で楽しむ家庭も多く存在します。

「ゲームの中では、普段厳しいサッカーチームのコーチのこともユーザーネームで呼んでいるし、自分のほうがうまいから助けることも多い。アバターだから大人も子どもも関係ない」(Cさん)

ゲーム内では子どものほうが上達速度も早く格上である場合も多いため、大人ともまるで友だち同士のように、フラットに接することができるといいます。

将来的に、メタバース上などの仮想空間で過ごす時間が増加すれば、エイジレスな価値観がベースとなり、現実の年齢や見た目ではなく、振る舞いこそが人を評価する軸となっていくのではないでしょうか。

ミレニアル世代やZ世代の間では「ジェンダーレス」という考え方が支持され、広がりをみせています。この根底には、どんな性別であれ、自分が好きなものを選択することが最も好ましいという価値観があります。

一方、α世代では新たに「エイジレス」という価値観が加わり、彼らが大人になる10年後、20年後には、さらに多様性のある未来が訪れることでしょう。

Z世代は「私は」、α世代は「ウチら」。違いは大きい

渋谷

撮影:今村拓馬

本記事では、α世代の4つの特徴について解説してきました。

特にシンクロ文化やエイジレスなどの特徴から見えた大きな発見は、Z世代とα世代ではものごとを考える際の「主語が違う」ということです。

これまで数多くのZ世代を調査してきましたが、つねに自分を誰かと比べながら、唯一無二の存在として承認されることを望むZ世代は、物事の判断基準を「私は」で考えるのが特徴でした。

一方、今回初めて調査したα世代は、同じ趣味や価値観であれば年齢関係なくつながれるエイジレスな価値観や、真似されてもむしろシンクロを楽しむなど、主語が「ウチら」に変化しているように感じました。

「ウチら」は、あくまでも「自分と同じ価値観や趣味などでつながっている人たち」だけを指し、世の中全体や社会全体、ただクラスやチームが一緒の人などといった人は含まれていません。

真のデジタルネイティブのα世代にとって、自分の好きなものや価値観の一致こそが重要で、逆にそこが一致すれば「ウチら」の一員と捉える、独自の族意識の強まりがあるのではないかと考えました。

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出典:メディア環境研究所『「α世代」のメディア生活調査』

実際に、博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所の調査結果では、2022年現在16~26歳の「前期Z世代」はAの個性を重視した一方、13~15歳の「後期Z世代」の中学生になるとAとBが拮抗し、α世代の小学生ではBの個性派より、Aの協力派が多勢でした。

α世代は唯一無二の個性を身に着けることよりも、自分と共通の趣味や価値観を持つ誰かと繋がり、知識やアイデアさえも共有することに喜びを感じているのです。

商品やサービスを提供する側としては、今後、未来のα世代の顧客像への理解が求められていくと思います。

編集部より:図表の一部を差し替えました。2023年1月25日9:40

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