ツイッターのオーナーであるイーロン・マスクの下で数々のリストラが進められている。
Adrees Latif/Reuters
ツイッター(Twitter)の立て直しを図るイーロン・マスクは、コストを削減し、企業として利益を上げる手段を模索し続ける中で、海外オフィスの多くを閉鎖している。
2人の同社関係者とInsiderが確認したメッセージによると、12カ所以上の海外オフィスが閉鎖済みかその過程にあり、アメリカ国内でも今後数週間のうちにさらに閉鎖が増える見込みだという。マスクがわずか2カ月前にツイッターを買収して以来、すでに数千人の社員が解雇の対象になったり、退職したりしているが、オフィスの閉鎖によりさらに数百人の社員が職を失うことになるとみられている。
閉鎖されるオフィスには、香港やフィリピンの一部オフィスのほか、2022年11月に全社員が解雇されたメキシコとアフリカのオフィスも含まれるという。また、オーストラリアや韓国のオフィス、ヨーロッパとインドのほとんどのオフィスも、閉鎖したか今後数週間で閉鎖する見込みであると、その関係者たちは明かす。
ツイッターのアジア地域本社であるシンガポールの基幹オフィスは、賃料の滞納により現地時間1月12日に閉鎖されたという。プラットフォーマー(Platformer)のレポーターであるケーシー・ニュートン(Casey Newton)もツイッターでこの件を指摘している。関係者によると、結局マスクがその日のうちに賃料の未払い分を支払い、未払いのために当初退去を余儀なくされた社員はオフィスに戻るように言われたという。
この後、ビルのオーナー会社であるキャピタランド(CapitaLand)の広報担当者はInsiderの問い合わせに対し、「ツイッターは2015年からキャピタグリーン(CapitaGreen)のテナントで、現在もキャピタグリーンのテナントです」と答えている。
ツイッターはかつてパリ、マドリッド、ベルリン、マニラ、ムンバイ、バンガロール、ジャカルタなど、世界の主要都市に24以上の海外オフィスと、アメリカに約20のオフィスを構えていた。事情をよく知る人物によると、現在社内では、アメリカはサンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、国外は東京、ロンドン、ダブリンなど、ごく一部のオフィスに絞ることを検討しているという。
ツイッターが最後にオフィスを開設したのは2021年のガーナで、公式にはこれが同社にとってアフリカ初進出となった。
ツイッターの幹部で現在は同社を離れているカイヴォン・ベイクプール(Kayvon Beykpour)は、当時、同社のブログに次のように投稿している。
「公の場での会話に真に貢献するためには、アフリカ大陸で毎日交わされている会話を促す豊かで活気に満ちたコミュニティに、もっと浸りきる必要がある」
2015年に開設されたシンガポールオフィスは、2022年に拡張され、シンガポールと周辺地域の成長を目指してオフィススペースとエンジニアの数が増強されたばかりだった。
シンガポール拠点の拡張について、ツイッターは発表の中で「エンジニアリング拠点をアメリカ国外に拡大することで、より分散した労働力を創出し、真にグローバルで包括的かつアクセスしやすいプロダクトを開発するという当社のコミットメントを加速させる」と記していた。
その他の海外オフィスについては、そのほとんどがエンジニアリングや広告販売などの事業運営のための小規模な地域支部だった。ツイッターの収益はほとんどが広告収入だが、同事業はマスクのもとで苦戦を強いられている。
財務基盤が悪化しているうえに野心的なサブスクリプション収入の計画がうまくいかない中、マスクは継続的にコスト削減とレイオフを実施してきた。福利厚生、社員特典だけでなく、清掃員まで減らされている状態だ。
2023年1月の最初の週には、信頼・安全部門と収益化部門でさらなるレイオフを行った。また、何らかの理由でマスクの機嫌を損ねたという社員が解雇される事態が、今も頻発している。