投資と年齢の関係について説明してくれたテイラー・ソーンズ氏(左)とブレット・ソーンズ氏。ライフゴール・インベストメンツ(LifeGoal Investments)の共同創業者であり、ファンドマネージャーとしても現役。
Courtesy of Taylor and Brett Sohns
投資の世界では年齢が重要な意味を持つ。
投資に資金を回すのが早ければ早いほど、より大きな複利(運用収益を元本に組み入れて再投資する)効果を得られるからだ。20代で投資を始める人は、40代で始める人よりかなり有利と言っていいだろう。
とは言え、どんなふうに投資するかを決める際に最も大事なファクターは、必ずしも年齢ではない。
上場投資信託(ETF)の運用を担うファンドマネージャーのテイラー・ソーンズ氏は、Insiderの取材にこう語る。
「どんなふうに投資すべきか、それを決める第一の要因は年齢ではありません。投資ホライズン(投資期間)こそが重視されるべきなのです」
「投資ホライズン」とは、特定の目的に使うため口座から資金を引き出す前に、市場でその資金を増やすのに充てる時間を指す。
例えば、家を買うのに(まずは必要な頭金として)お金を貯めたいとすれば、投資ホライズンは3〜5年ぐらいになるだろうか。
また、リタイアの日に備えて貯めたいのなら、何歳でリタイアしたいのか、するつもりなのかによって投資ホライズンも変わってくる。
どこに資金を投じるのかを決める際には、その時点であなたが何歳かということより、具体的な到達点をどこに置くのか、それを達成するには実際のところいつ資金が必要になるのか、といった事実が重要になってくる。
あなたが20代だとすれば、人生まだ先は長く、退職後に向けて蓄えを作るにしても、より大きなリスクを取って投資に向き合うことができるだろう。
けれども、大きめの買い物のために短期もしくは中期的に貯金が必要だとすれば、同じようなスタンスで投資するわけにはいかない。もし市場が下落した場合、いずれ相場は回復するさ…と気長に待つ時間がないからだ。
ソーンズ氏は分かりやすくこんなふうに表現する。
「仮にあなたが若くてまだ25歳だとしても、例えば5年後にマイホームを購入するのだとしたら、どんな投資をすべきかはその購入計画に応じて決まってくるのであって、その時点の年齢に合わせて決めるなどということはありませんよね」
そうだとすれば、住宅ローンの頭金に充てる予定の資金は、より堅実で価格変動幅の小さいアセットで運用するほうがいいということになる。
逆に、定年間近あるいは定年後だからと言って、必ずしも堅実な投資だけにこだわる必要はない。
「あなたが今75歳で1億ドルの貯蓄を持っているのなら、その大方は遺産相続に回る可能性が高いでしょうから、それなら望むだけアグレッシブに投資できます。
投資収益だけが頼りの(他の)75歳と違って、超が付くほどの堅実主義者になる必要はありません」
ソーンズ氏が言いたいのはつまり、どんな投資をするかを考える上で、年齢はあくまで一つの要素にすぎないということだ。
自分は何歳だからどんなアセットにどれだけ資金を配分する、という発想ではなく、何のために資金を増やすのかという自分なりの目標と、いつそれを達成したいのか明確な計画を考えることにこそ時間を費やすべき、とソーンズ氏は強調する。
「目標こそが、投資を通じて何かを実現するファネルの最上位に置かれるべきです。目標と資産配分のあり方が合致しなければ、待っているのは厳しい投資結果だけでしょう」
ソーンズ氏は最後にこんなアドバイスをくれた。
「実際に手元の資金を投資に回す前に、さまざまな投資手段をじっくり吟味した上で、『自分がよく理解できたものにだけ投資する』ことをお勧めします。経験則から言って、『他の誰かに説明できないものは自分も(投資対象として)買わない』のが大事です」