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- バーンアウト(燃え尽き)していなくても、定期的に「メンタルヘルスの日」を取ることは大切だ。
- メンタルヘルスの日を確保することで、心の健康と生産性が向上することが分かっている。
- 日記を書いたり、親しい人たちと過ごしたり、運動をするのも素晴らしいメンタルヘルスの日の過ごし方だ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを通じて、バーンアウトといったメンタルヘルスの問題やワーク・ライフ・バランスは無視できないものになった。人々がこぞって仕事を辞めた「大退職(Great Resignation)」もこうした状況の中で起きたことだ。
その結果、雇用主や学校管理者を含め、「メンタルヘルスの日」に価値を見出す人たちが増えていて、メンタルヘルスの日をはじめから福利厚生として組み込んでいる企業などもある。
メンタルヘルスの日とは、1日でも仕事や学校を休んで日々のルーティンやのしかかるプレッシャーから離れて過ごすことだ。
からだの不調による通常の病欠とは異なり、メンタルヘルスの日は心をリラックスさせたり、リフレッシュさせることを目的とする。
これまでの研究で、ストレスを解消したりプレッシャーから解放されるための時間を作ることで、メンタルヘルスが向上するだけでなく、生産性も上がることが分かっている。月に一度または必要に応じて、メンタルヘルスの日の取得を推奨する専門家もいる。
メンタルヘルスの日を取って、散歩やハイキングに出かけたり、日記を書いたり、マッサージを受けるのも良さそうだ。
メンタルヘルスの日の上手な過ごし方をいくつかセラピストに聞いた。
屋外で運動する(可能なら)
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激しい運動である必要はないが、からだを動かすことが大切だと臨床ソーシャルワーカーでParenting Pathfindersの創設者でもあるセラピストのミシェル・フェルダー(Michelle Felder)氏は話している。
「歩く、走る、踊る、泳ぐ、ストレッチをする… 自分の好きな方法でからだを動かしましょう。自分にできるもの、気持ちがいいと感じるもの、楽しいものなら何でもいいのでやってみましょう」
「からだを動かすと気分も高まるし、活力や自信も高まります」
運動はできれば屋外 —— 自然に囲まれた環境がベスト —— でやろう。自然の中に身を置くと交通渋滞やサイレン、人込みといったさまざまな刺激が減り、落ち着いた雰囲気の中で脳をリセットできる。
とはいえ、短時間の運動は屋内外を問わず、わたしたちのマインドセットを大きく変えることができる。臨床心理士で著書もあるベサニー・クック(Bethany Cook)氏は、「運動によって気分を高めるドーパミンが放出される」と説明している。
友人と過ごす
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「大切な人のそばにいることで、ストレスホルモンに対抗する幸せホルモンが放出されます」とクック氏は話している。
友情が心身の健康にプラスになると研究が示唆しているのも、そのせいだろう。
次のメンタルヘルスの日には、自分を支えてくれている親しい友人たちと時間を過ごすことを考えてみよう。
日記を書く
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メンタルヘルスの日には、最近自分が直面した問題について振り返る時間を取るようフェルダー氏はアドバイスしている。
例えば、ある問題に対する自分の気持ちを確認、理解するために日記を書くのもいいと同氏は話している。そうすることで回復をサポートしたり、頭をすっきりさせられるからだという。
「自分の感情を評価することなく表に出すこのプロセスは、自分への共感につながります」とフェルダー氏は話している。これは「ストレスを軽減し、ポジティブな気持ちを取り戻すのに役立つ効果的な手法で、わたしたちのメンタルヘルスに大いに影響を与えます」と同氏は語っている。
何かを作る
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「創作活動はメディテーション(瞑想)と同じようなメンタルヘルス上のメリットを与えてくれることが研究で分かっています」とフェルダー氏は説明している。
そして、何かを作る楽しみを見つけるのに、工芸作家になる必要はない。
「ものづくりは今この瞬間、目の前で起きていることにわたしたちの意識を集中させることで、ストレスを軽減し、メンタルヘルスを向上させます。楽しいことをしながら感情をコントロールする機会を与えてくれるのです」とフェルダー氏は話している。
これは全ての創作活動に当てはまる。家具を作ったり、曲を作ったり、絵を描いたり、何かしら新しいものを生み出す作業をすることがわたしたちの助けになる。
本を読む
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運動もメンタルヘルスを向上させる方法の1つだが、休息もストレスを軽減するなど、メンタルヘルスに良い効果をもたらす —— これがメンタルヘルスの日を確保する主な理由だ。
だからこそ、クック氏はメンタルヘルスの日の一部をベッドでリラックスしたり、ソファで本を読む時間にあてることをお薦めしている。そうすることで「からだが穏やかな、リラックスした状態を保ち、心に現実から離れて休暇を与えることができる」のだという。
こうした休息と有酸素運動を組み合わせることで、バランスの取れた有益なメンタルヘルスの日を過ごすことができる。
大きな目標に取り組む
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クック氏は、メンタルヘルスの日をいつもと同じ、慣れ親しんだことをする日にしないことの重要性を強調している。
「メンタルヘルスの日は、遅れを取り戻す日ではありません。そうすることで、不安が和らぐとしてもです」とクック氏は話している。
用事を済ませるために動き回るのは、基本的にメンタルヘルスの日にすべきことの"逆"だ。
とはいえ、「ずっとやりたいと思っていたことを片付けるのは、ものすごく満足感が得られるし、メンタルヘルスにとって良いことでもあります」とフェルダー氏は話している。特にそれが食料品の買い出しといったことよりも、精神的に満足度の高い節目となるようなことや大きな目標に関することならなおさらだ。
それはずっと書きたいと思っていた小説の最初のページに取りかかったり、自分の人生において重要な人に再び連絡を取ることかもしれない。
「1日にあれもこれもと手を出すのではなく、生産的に過ごす時間とゆっくり過ごす時間のバランスを取るよう心がけましょう」とフェルダー氏はアドバイスしている。
片付けをする
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部屋の片付けは、メンタルヘルスの日には避けるべき面倒な家事に思えるかもしれない。
ところが日々の雑用と違って、整理整頓はメンタルヘルスの日にぴったりな心を静める活動になり得る。心をラクにして、気持ちを明るくするからだ。
「断捨離は心が洗われるようなプロセスで、心が落ち着いたり、ストレスも軽減されます」とフェルダー氏は話している。
「生活空間をきれいにすると不安が軽減し、集中力が増し、疲れが取れ、達成感が得られることが分かっています。それがわたしたちの気分や自信、メンタルヘルスを向上させます」