紙の本の編集者としてキャリアをスタートした私だが、最近はすっかり電子書籍派だ。
読みたい時にすぐ読み始めることができたり、物理的な保管スペースが必要ないなど、電子書籍のメリットは大きい。
ただ、スマホやタブレットで読んでいると、どうしても目が疲れてしまう……。
大画面で読みやすく、目への負担も少ない
「Kindle Scribe」税込4万7980円~5万9980円
撮影:加藤肇
「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」は、Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」シリーズの新モデル。2022年11月末に発売された。
特徴の一つが、シリーズ最大となる10.2インチのE Ink(電子ペーパー)モノクロディスプレーを搭載していることだ。
紙に近い特性を持つ「E Ink」をディスプレーに採用したデバイスであれば、目の疲れは大幅に軽減できる。
撮影:加藤肇
スマホのような小さな画面でも文字サイズを大きくすれば読みやすくなるが、大画面のほうが一度に表示できる文字数が多く、やはり読みやすいのは間違いない。
漫画を読む場合でも、細かなセリフ部分などを拡大する必要がないのは快適だ。
専用ペンによる手書きメモ機能を搭載
撮影:加藤肇
Kindle Scribeのもう一つの特徴は、専用ペンによる手書きメモ機能が搭載されたこと。
電子書籍の本文の一部分にマーカーでラインを引いて、手書きのメモを書き込むこともできる。紙の本に付せんを貼っていくような感覚で使えるため、とても便利だ。
また、紙の本に書き込みをしたら後で消すことはできないが、Kindle Scribeであればキレイに消すことができる。これも電子書籍ならではのメリットだと言える。
撮影:加藤肇
専用ペンはサラッとした書き心地が好印象。
書き込み時にタイムラグもほとんど発生しないので、紙とペンのような感覚でさらさらっと書き込める。
価格はちょっと高め
撮影:加藤肇
ただし、最安の構成でも4万7980円という価格は気になるところ。
E Inkのモノクロディスプレーは写真や映像を楽しむのには向いていないため、Kindle Scribeは事実上、電子書籍専用デバイスとなる。
電子書籍(特に文字モノ)を日常的に読む習慣があり、メモはできるだけ手書きでとりたいというような人にはおすすめできるが、そうでない場合はiPadやAndroidタブレットのほうがコスパが良いだろう。
眠りを邪魔しないディスプレー
撮影:加藤肇
Kindle Scribeでは、PDF文書に直接手書きで書き込むことができ、ビジネスのペーパーレス化にも役立つ。
また、ブルーライトをほとんど出さないE Inkディスプレーは目にやさしく体内時計への影響もほとんどないため、長時間使用しても睡眠障害の要因になりにくい。
厚生労働省が運営するサイトによれば、日本人を対象にした調査で、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しているそうだ。不眠症はもはや特殊ではなく、国民的な病気と言える。
就寝前の時間に読書を楽しむのが習慣という人には、Kindle Scribeはぜひ試してもらいたいデバイスだ。