ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOは、AIでテキストを生成する技術を電卓に例えた。
Skye Gould/Business Insider
- OpenAIのサム・アルトマンCEOはインタビューで、ChatGPTを用いた盗作を特定する方法を考案すると述べた。
- しかし、盗作を100%検出できるツールを作ることは本質的には不可能だという。
- アルトマンは学校や政策立案者に対し、検出ツールに頼らないように忠告している。
話題のAIチャットボット、ChatGPTの開発を手がけるOpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOは、教育現場でAIによる盗作を発見するための方法を開発すると述べているが、それは不正を完璧に検出することを保証するものではないと警告している。
アルトマンは「なるべく早くいくつかのことをやってみようと思っている」と、StrictlyVCのコニー・ロイゾス(Connie Loizos)とのインタビューで述べている。
「GPTのような言語モデルで出力したものを、教育現場でもう少し検出しやすいようにする方法があるかもしれない。しかし正直なところ、断固とした決意のもとでこれを利用する人は、それすら回避してしまうだろう」
これまで長い間、新たな技術は生活や教育現場に取り入れられてきており、ある程度時間が経過すると、これらの技術はよい影響を与えるようになったとアルトマンは言う。
「AIによるテキスト生成は、誰もが適応しなければならないものだ。我々は電卓を使うことに適応し、数学のテスト内容を変えてきた。ChatGPTはその極端なバージョンであることは間違いないが、同時にそのメリットも極端なものだ」
ニューヨーク市教育局管轄下の学校やシアトルの公立学校は、盗作やカンニング防止のために学校でChatGPTを使うことを禁止した。アルトマンのコメントはそれを受けてのものだ。
この禁止令によって、特に教師の間で、AIが教育のあり方や生徒の学習方法を大きく変える可能性があるという議論が盛んに行われるようになった。
「教育関係者の気持ちはよく分かる。しかし、これから他の多くの分野で見られるようになることを先取りしているだけに過ぎない」とアルトマンは言う。
OpenAIには「当然ながら非常に神経質になっている」教師から、ChatGPTが宿題などに与える影響について懸念する声が寄せられている一方、「子どもたちにとって信じられないほどの家庭教師にもなる」との声も寄せられているとアルトマンは述べている。
実際、ChatGPTを使うことで、より魅力的な学習ができると彼は考えている。
「自分自身、ChatGPTを使って学んでみたが、これまでの学習方法よりもはるかに説得力があると感じた。教科書を読むより、ChatGPTに教えてもらう方がずっといい」
アルトマンによると、OpenAIはChatGPTで生成されたコンテンツに著作権保護を目的とした「電子透かし」を埋め込む技術的なツールの実験をする予定だが、学校や国の政策立案者に対してこれらのツールに依存しないように警告しているという。
「このようなツールを完璧なものにすることは本質的に不可能だと思う。テキストのどこを変えなければならないか、ユーザーが把握するようになるからだ。出力されたテキストを修正する別の方法も出てくるだろう」
ChatGPTがこれほどまでに普及したことを考えると、人々はAIによって生成されたコンテンツに適応しなくてはならないが、一方ではテクノロジーも時間の経過とともに改善され、意図しない結果を防ぐことができるようになるだろうとアルトマンは考えている。
「この世界は進化している。これを受け入れることでより良い世界がやってくるだろう。もう後戻りはできないのだ」
インタビューの全内容は、YouTubeで見ることができる。