提供:TURING
完全自動運転の実現を目指すスタートアップ・TURING(以下、チューリング)は1月20日、自社開発のAI自動運転システムを搭載した同社初の販売車「THE 1st TURING CAR」を「1台限定」で販売することを発表した。
2021年夏に創業してからわずか1年半で販売車を発表したことについて、同社の共同創業者兼CTOの青木俊介代表は、Business Insider Japanの取材に対して
「チューリングは『売らなきゃ売れない』『ちゃんと売れる製品・組織体制をつくろう』という目標を掲げ、1年半で自動運転システムだけではなく、車両開発・自動車開発を進めてきました。今回の『THE 1st TURING CAR』はチューリングの大きな第一歩ですが、日本の自動車産業・製造業にとっても大きな第一歩となれるように今後も開発・研究を進めていきたいと考えています」
とコメントを寄せた。
1台2000万円を想定。販売先は「コミュニケーションを取って決定」
カメラの映像をもとに、走行ルートを決定していく。
提供:TURING
今回チューリングが販売するTHE 1st TURING CARは、レクサスRX450hをベース車両に、自社開発したAI自動運転システムを搭載したものだ。
すでにチューリングのホームページでは購入希望車の募集を開始している。
青木代表はBusiness Insider Japanの取材に対して
「1人目のユーザということで、手厚いフォローも必要だと考えています。このため、単純な抽選ではなく、ある程度コミュニケーションを取って決定する計画です」
と販売先を決める上での考え方を語った。
なお、販売価格は2000万円(税抜)を想定しているという。この価格は、「レクサス自体の能力も残していますので、そこにTURINGのバリューを足した数字」(青木代表)だ。
チューリングが開発する自動運転車の特徴は、いわば「人間が目で見たものを頭で判断して運転する」を再現しようとしている点にある。
一般的な自動運転技術は、車両に搭載された多様なセンサーをもとに動きを制御しようというアプローチをとることが多い。一方、チューリングでは、フロントガラスに取り付けられたカメラで読み込んだ画像データから、人が目で見て判断しているように白線や前走車をAIが検知・判断し、車両の走行ルートを決定する。
チューリングでは、このシステムを構築するために、以前より北海道や千葉県内の公道での走行試験を進めたり、走行パートナーを得て走行データの蓄積を進めていた。
なお、チューリングは将来的に完全自動運転(自動運転レベル5)の車両の販売を目指しているものの、今回の販売車に搭載しているシステムは、国内での法規制などにも対応できるようにするため「レベル2相当」にとどまる。
具体的には、以下の3点の機能があるという。
- 設定された走行速度をキープしながら車線に沿って高速道路を走行する
- 前方車両との距離を考慮してブレーキをかける
- 車線変更のサポート
今後、チューリングでは2025年に100台、2030年には1万台の生産と販売を目指しながら、完全自動運転の実現、そしてその完成車メーカーになるべく技術開発を進めていくとしている。