アメリカで広まるノンアルコールな暮らし… 酒を出さないバーのおしゃれな「モクテル」が人気上昇中

チーキー・コヨーテ

サンフランシスコにあるオーシャン・ビーチ・カフェのモクテル「チーキー・コヨーテ」。

Ocean Beach Cafe

  • アメリカでは酒を出さないバーが増えていて、アルコール飲料と同じような価格でノンアルコール飲料を提供している。
  • 1月はアルコールを一切飲まないという断酒チャレンジ「ドライ・ジャニュアリー(Dry January)」人気の高まりは、ビジネスにとって大きなプラスだと、こうしたバーの経営者らは話している。
  • ノンアルコール飲料の増加は、バーテンダーにとってもカクテルのあり方を再考するきっかけになっている。

アメリカでは「1月はアルコールを飲まない」という人が増えていて、断酒と健康な暮らしをめぐる議論が巻き起こっている。ただ、酒を出さないバーやノンアルコール・カクテルは時期を問わない"定番"となりつつあって、断酒チャレンジ「ドライ・ジャニュアリー」はただのトレンドではなくなっている。

アメリカの主要都市で増えている酒を出さないバーのノンアルコール・カクテルは色鮮やかで見た目も良く、いろいろな味が楽しめて、アルコールを使ったカクテルとほとんど見分けがつかない。こうした美味しいノンアルコール・カクテルは大抵、アルコールを使ったカクテルと同じような価格で提供されているが、客は特に気にしていないようだとバーの経営者らはInsiderに語っている。

「同じような料金を払うことは、全く問題ないようです」とカリフォルニア州サンフランシスコにある酒を出さないバー「オーシャン・ビーチ・カフェ」のオーナー、ジョシュア・ジェームズさんは話している。

アルコールを飲まない客も「どんな飲み物があるのか、メニュー表を見るのがただただ楽しみなようです。仲間外れにされることもありません」

酒を出さないバーの多くは、一般的なノンアルコールのビールだけでなく、ノンアルコールのワインやスピリッツ、そしてノンアルコールのカクテルを提供している。

「水ではやはり盛り上がりに欠けます。いいグラスに入ったきれいなドリンクには大きな意味があるんです」とジェームズさんは話している。

普及するノンアルコール・カクテル

モクテル

Getty Images

ノンアルコールのカクテルをめぐっては、それぞれの酒を出さないバーが独自の工夫をしていると経営者らはInsiderに語っている。ノンアルコールのスピリッツなどを使って昔ながらのカクテルそっくりなドリンクを作るバーもあれば、新しいユニークなドリンクを独自に開発するチャンスと見なすバーもある。

テキサス州オースティンにある酒を出さないバー「サンズ・バー」の経営者クリス・マーシャルさんが最近気に入っているのは、「マンハッタン」をもとに作ったノンアルコール・カクテル「サンズハッタン」だという。ノンアルコールのバーボン、ノンアルコールのビターズ、ノンアルコールのベルモットを使ったドリンクで、マンハッタンと同じ味が楽しめるとマーシャルさんは話している。

「人々の気分を高揚させるからこそ、カクテルでお金が取れるんです」とマーシャルさんは語った。

2017年にサンズ・バーをオープンさせたマーシャルさんは、"酒を出さないバー"のパイオニアだ。他の多くの市場関係者同様、マーシャルさんもこれまでほぼ未開拓だった客層に向けたサービスを生み出そうと考えた。

「アルコールなしで社会生活をどう送るか、多くの人たちが悩んでいることに気付いたんです」とマーシャルさんは話している。

バーを開いて以来、マーシャルさんはノンアルコール飲料の市場が大きく成長するのを目にしてきた。中でもノンアルコール・スピリッツの登場が"酒を飲まない暮らし"の普及を大きく後押ししたという。

消費者もノンアルコール飲料の市場が伸びていることに気付いている。ニールセンIQのデータによると、ノンアルコール・スピリッツの売り上げは2022年にほぼ倍増していて、ノンアルコール・ワインやノンアルコール・ビールの売り上げの伸びを大きく上回った。

「これをトレンドと呼ぶ人もいますが、自分はトレンドではなく、ムーブメントだと思っています」とマーシャルさんは語っている。

増える選択肢

ケンタッキー・マイタイ

オーシャン・ビーチ・カフェの「ケンタッキー・マイタイ」。

Ocean Beach Cafe

新たなノンアルコールの材料が増えていることは、既存のバーにとってもプラスになっている。コロラド州ボルダーにあるレストラン&バー「オーク・アット・フォーティーンス」では通常のカクテルとモクテル(注:ノンアルコール・カクテルのこと)の両方の開発に力を注いでいる。

「自分らしく楽しんでいいんです。周りを気にする必要はありません」とこの店のバーテンダー、カイル・レットソンさんはInsiderに話している。

「ドライ・ジャニュアリー」や「ソバーキュリアス(アルコールを飲める人があえて飲まないことを選択する)」といったトレンドが根付きつつある中、酒を出さないバーの経営者らは市場はますます伸びるだろうとInsiderに語った。

ここ数年、ノンアルコール飲料を扱っている店の経営者らにとって、2023年1月の客足の増加は当然のことだ。オーシャン・ビーチ・カフェにも毎日、遠方から客がやってくるとジェームズさんはInsiderに話している。

ペンシルベニア州フィラデルフィアに2022年、レストラン&酒を出さないバー「ボルステッド・バイ・ユニティ」をオープンしたロバート・アッシュフォードさんのように、ノンアルコールのビジネスを立ち上げたばかりの経営者らは「アルコールを控えたい」「飲酒習慣を変えたい」と考えている人々に"ノンアルコールの場"を提供するのに、今ほど完璧なタイミングはないと感じているという。

「ノンアルコール・スピリッツがどのような意味を持つのか、理解する人が増えています」とアッシュフォードさんは語った。

「自分たちはそうした状況をリアルタイムで目にしているんです」 

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