Lands' End
- アメリカ最大手のカジュアルウェア通販会社、ランズエンドの最大の「お得意様」はベビーブーマー世代だったが、彼らは高齢化している。
- 2015年にパーティードレスやハイヒールの靴を販売してミレニアル世代を取り込もうとしたが、売上が落ち込んだ。
- 近年、ランズエンドは、見落とされがちなX世代にアプローチするための努力を重ねている。
ランズエンド(Lands' End)は60年前にウィスコンシン州を拠点に創業されたカジュアルウェアブランドで、かつてはアメリカ最大の通信販売会社だった。洗練された水着や肌触りの良いパーカー、「マムジーンズ(母親が昔履いていたようなジーンズ)」などを提供し、コアカスタマーから驚くほどの高いロイヤリティを獲得していた。
最近では、小売業者から見落とされがちな層に目を向け、事業範囲を拡大しようとしている。それは「X世代(1965年から1980年頃生まれ)」だ。
2023年1月初めに開催された年次ICR会議で、退任するジェローム・グリフィス(Jerome Griffith)CEOが語ったところによると、ランズエンドの平均的な顧客はこのブランドを18年利用しているという。そして、新たな顧客にもそうあってほしいと述べた。
会議内容を取りまとめたAlphaSenseの記録によると、グリフィスは次のように述べている。
「我々の顧客、彼女はすばらしい女性だ。50代半ばのベビーブーマー世代(1946年から1964年頃生まれ)で郊外に住んでおり、仕事をしている。質素だが世帯収入はかなり高く、年間10万ドル以上はある。子どもと一緒に、あるいはかつて一緒に暮らしており、家族全員のために買い物をする。彼女はすべての決断を下す人だ」
長い付き合いの裏返しとして、その顧客はもう若くはない。
「毎年1歳ずつ年を取り、そのうちみんな死んでしまう。顧客層を同じ年代にとどめるか、若い層を取り込むかのどちらかにしたい」とグリフィスは述べた。
2015年、同社はミレニアル世代(1981年から1996年頃生まれ)やZ世代(1997年以降生まれ)といった若い購買層を取り込もうと、フェラーリ(Ferrari)やドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)の元幹部を採用し、パーティードレスやハイヒールを取り入れたモダンイタリアンなイメージチェンジを試みた。
その結果は、専門用語で言うところの「カタストロフィック(大惨事)」だった。
わずか1年で、ランズエンドは920万ドルの黒字から770万ドルの赤字に転落し、顧客はブランドを見捨ててしまった。ベビーブーマー世代の母親たちがそれを受け入れなかったのだ。
同社は、就任から19カ月しか経っていないCEOを解任し、2017年にグリフィスを迎え入れた。
1月27日に終了したグリフィスの在任期間中、同社は快適で実用的かつ誠実な商品を提供し、店舗や季節のカタログ以外の場でも顧客とつながろうと努力してきた。
ベビーブーマー世代やX世代の顧客はウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、コールズ(Kohl's)、そしてもちろんアマゾン(Amazon)などのeコマースマーケットを利用するようになり、ランズエンドもその動きに合わせた。eコマースの顧客層は、年齢を除けば概ね同じ特性を持ち合わせている。
「これらのマーケットプレイスを通じて、我々は新たな顧客を獲得している」とグリフィスは言う。
「そのうち75%は、ランズエンドで1度も買い物をしたことがないか、5年以上買い物をしたことがない過去の顧客となっている。これらの新たな顧客はかつての顧客と同じ特性を持ちながら、10歳も若い。つまりX世代の顧客を獲得しているということだ」
新CEOのアンドリュー・マクリーン(Andrew McLean)は、グリフィスとともにステージに登場し、前任者と同じビジョンを持っていることを表明した。
「700万人という堅固な顧客データベースに支えられていることは、驚くべきことだ。一旦入会すると、ずっとそのままでいてくれる」とマクリーンは述べた。