中古電気自動車の購入を検討する人増えているが、その市場は理解するのが難しいと専門家は話している。
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- 電気自動車の価格は新車、中古車ともに徐々に下がってきている。
- 過去のデータがあまりないため、電気自動車がどのように価値が下がるのかについて正確なことは言えない。
- 電気自動車の中古車を評価をする際にはさまざまなポイントがある。
リセールバリューは自動車の購入者にとって長い間主な検討事項だったが、電気自動車(EV)への移行は自動車の減価償却に関する業界のデータに疑問を投げかけている。
購入する電気自動車が投資に見合うものであり、将来的に良い価格で売却できることを保証する必要がある場合にそれは問題になる。
ガソリン車の世界では、その計算はとても簡単なものだ。
「我々は、例えば、高級ピックアップトラックを買った場合、5年後にその車を転売すれば、当初支払った金額のかなりの部分が戻ってくると確信できるような情報を持っている」とアンダーソン・エコノミック・グループ(Anderson Economic Group)の創設者、パトリック・アンダーソン(Patrick Anderson)はInsiderに語っている。
電気自動車の未来では、物事はそれほど単純ではない。「サイバートラック(Cybertruck)やF-150ライトニング(F-150 Lightning)、ルーシッド・エア・ドリーム・エディション(Lucid Air Dream Edition)の価格がどうなるかは誰にもわからない」とアンダーソンは言う。
現時点ではデータはあまりにも限られている。中古電気自動車についての情報はほとんどテスラ(Tesla)によるものであり、それでさえ予測ができないのだ。中古車比較検索サイト、アイシーカーズ・ドットコム(iSeeCars.com)によると、テスラのモデル3(Model 3)は3年後に約4%しか減価しなかったが、最近の値下げによって中古市場での価格下落に拍車がかかっている。
中古電気自動車の価値は誰も分からない
自動車情報サイト、エドモンズ(Edmunds)のアナリストによると、高級車あるいは非高級車のガソリン車の中古車の減価償却の方法には、いくつかの注意点があるため、必ずしも電気自動車の中古車には当てはまらないという。
「1つ目は、自動車購入者は中古のガソリン車と電気自動車を必ずしも同じ要素で判断していないということがある」とEYアメリカズ(EY Americas)のモビリティ部門リーダーのスティーブ・パットン(Steve Patton)は指摘する。
「走行距離はエンジンの使用状況を表すため、車の価値の重要な指標になった」とパットンはガソリン車について説明する。
「EVの場合は、これがバッテリーの状態を示す指標ではないことは分かっている」
2つ目は、現在の高級車中心の商品構成が、手頃な価格の電気自動車の登場によって、電気自動車の中古市場全体にどのような影響を及ぼすかわからないことだという。アンダーソンによると今四半期の電気自動車販売の約77%が高級車だったという。
電気自動車の中古販売価格のデータは、今出てきている自動車には当てはまらないかもしれない。例えばアイシーカーズによると、日産リーフは5年後に49%価値が下がったことがあるという。しかし、第1世代と次世代のEVであったような飛躍的な向上がないとしても、バッテリー技術は今後も改善され続けると予想されている。
問題は、今日のテクノロジーが、より古いテクノロジーよりも早く衰退するのか、ゆっくりと衰退するのかどうかということだ。
電気自動車の減価償却がどうなるのかについてのデータはあまりない。
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購入しようとしている人が押さえておくべきポイント
自動車を新たに購入する人は、バッテリーが寒い環境で使われていたのか、暖かい環境で使われていたのか、急速充電が多く行われていたかどうか、などを考慮する必要がある。
「バッテリーの充電状態を把握するだけでなく、そのバッテリーの履歴も把握する必要がある」とパットンは言う。
「これは、車の残存価値を理解する上で非常に重要になる」
4年前の中古のテスラのデータは、「電気自動車にはかなりの減価償却があり、中古電気自動車の購入者はバッテリーの状態を非常に気にしなければならないことを示している」とアンダーソンは話している。
「実際には、メーカーや車のタイプによって異なるだろう」とアンダーソンは付け加える。
「これは購入者にとって大きな不安材料であり、特に、大衆車の購入者は、たった2、3年で2万ドル(約260万円)や3万ドル(約390万円)の減価償却費を負担できるほど可処分所得は多くないだろう」
これらのことは徐々に進展しており、中古電気自動車の購入者が喜んで支払う金額も変化していくだろう。市場に中古のモデル3が大量に出回るということは、2022年よりも販売価格が低くなる可能性があることを意味している。また、電気自動車の新たな税額控除で、新しい電気自動車の価格が下がるとの予想は中古市場にも波及している。
EV所有者はリカレント(Recurrent)社のような技術を使ってバッテリーの追跡をすることができるが、これはEVを再販する時期が来たときにEVを差別化する目的が大きい。