不動産投資家のジェームズ・バークレーと妻のハイジ。
Courtesy of James and Heidi Berkley
ジェームズ・バークレー(James Berkley)は34歳にして財を築き、人生において労働する必要はもうなくなった。
彼は、不動産投資から毎月4万5000ドル(約585万円、1ドル=130円換算)の税引後利益を得ており、純資産は700万ドル(約9億1000万円)に達している。Insiderは彼の収入と所有する財産を確認した。
だがそんな彼も、10年前は財産ゼロだった。10万ドル(約1300万円)相当の学資ローンを借りており、大学卒業後の最初の就職先は年収6万5000ドル(約845万円)だった。
そんな彼に富をもたらしたのは、金融業界で正社員として働く傍ら、2013年に副業として始めた不動産投資だ。
「早い段階で、不動産が自由への道であることを学んだんです。8〜9年かけてようやくその自由を手にしました」
その過程では戦略にも変化があった。 最初のうちは集合住宅の物件を購入して賃貸に出していたが、最終的にはそれらを売却して、医療機関向けの物件を購入した。現在は小売業向けの物件取得に関心を持っている。
バークレーは失敗から学習した。自身で8軒の不動産を所有するとともに、事業用不動産に投資するファンド2社を共同所有しているバークレーは、「一つひとつの物件に教訓があった」という。
不動産で成功するには、「謙虚な姿勢で、間違いを修正してから、新たな挑戦をする必要があります。対処できる失敗やストレスが多くなれば多くなるほど、最終的にはより大きな成功を収めることができるんです」と彼は付け加えた。
以降では、バークレーが不動産投資を始めたばかりの頃に犯した2つの大失敗を紹介しよう。
失敗その1:プラスのキャッシュフローを生まない物件を買ってしまった
バークレーが最初に購入した物件は、ボストンにある2ベッドルーム・2バスルームのコンドミニアムで、金額は46万6000ドル(約6060万円)だった。彼はそこに引っ越して、住宅ローン相殺の助けとなるルームメイトを見つけたが、そこに住み始めてわずか1カ月で、自身が転勤でニューヨーク市に引っ越さなければならなくなってしまった。
彼は、住んでいた部屋に後釜となる2人目の借り手を見つけたが、家賃収入を合計してもその物件にかかる諸経費すべては賄えなかった。
「その物件は、1カ月あたり約1000ドル(約13万円)の赤字でした」
この経験から、プラスのキャッシュフローの重要性を学んだ。キャッシュフローとは、家賃収入から、住宅ローン支払いほか、公共料金から固定資産税や保険に至るあらゆる費用を差し引いて残る金額だ。
キャッシュフローはプラスにもなればマイナスにもなる。バークレーが身をもって学んだように、キャッシュフローはプラスになることが望ましい。そうでないと、毎月物件にかかる費用の残りをカバーできるだけの十分な蓄えがない場合、資金繰りが苦しくなるおそれがある。
ボストンのコンドミニアムで最初の間違いを犯して以来、「物件を見るときに最重視するのは、フリーキャッシュフローの比率です」とバークレーは話す。今では、キャッシュを生むと確信できない限り物件を購入しないようにしているという。
取引を評価してキャッシュフローが良好かどうかを判断する際、毎月の総費用と、その物件の現実的な賃料を考慮する必要がある。
バークレーは「1%ルール」を守っている。これは、毎月の家賃収入が購入金額の1%以上であるべきというものだ。つまり、30万ドル(約3900万円)の物件の場合、月額3000ドル(約39万円)以上なら貸し出してもよいということだ。
「このルールに従えば、プラスのキャッシュフローが生まれ、まずまずのリターンが得られます」と彼は言う。
失敗その2:付加価値創造の余地のない新築物件に過剰投資してしまった
バークレーは、購入後1年後もプラスのキャッシュフローを生み出せていなかったコンドミニアムを売却することにした。購入金額より7万ドル(約910万円)高く売却できたので、その利益を使ってマサチューセッツ州ウースターにある集合住宅を購入した。その後5年間、彼はこの地で集合住宅の購入を続けた。
バークレーが購入した最初の集合住宅は、新築物件であったという点で異彩を放つ。彼の説明によれば、ウースターでは火事で全焼しない限り、新しく建物を建てることはできないのだという。バークレーが購入したのもまさに全焼火災後に建てられた新築で、この3世帯向け物件を建築業者から34万2000ドル(約4430万円)で直接購入した。
新築物件の購入にはメリットがある。例えば、住宅関連法規違反の可能性を心配する必要がなく、維持費が安くなる可能性がある。一方で、あまり(またはまったく)価値を高める余地がないというデメリットもある。
バークレーは、「素晴らしい新築物件を手に入れたのですが、その支払いは高額でした。いくらかのキャッシュフローはあったものの上昇する兆しはなし。新たに付加価値をつけることができなかったんです」と語った。結果的に、その地域の他の物件と比べてこの物件のありがたみがはるかに低いことに気付かされた。
「老朽化した物件を買って、お金をかけて修繕して賃貸に出した方が稼げることに気づいたんです」
それ以降、彼は改良の余地がある物件、古い建物、修理が必要な物件を購入し、アップグレードすることでそこに価値を付加するようになった。リフォームには時間、お金、創造性が必要だが、最終的な成果物は元の購入金額と修理費用よりも価値が高いという考えである。
例えば、彼がウースターで次に購入した3世帯向けの集合住宅は、多くの修繕を必要とする物件だった。それを26万ドル(約3380万円)で購入し、すぐに新しい屋根、新しい電気設備、床の補修に3万ドル(約390万円)を投資した。その5年後には追加で10万ドル(1300万円)を投じて手を入れ(総投資額は39万ドル〔約5070万円〕)、70万7000ドル(約9200万円)で売却した。結果、31万7000ドル(約4120万円)の利益を生んだ。この物件を賃貸に出していた5年間で生まれたキャッシュフローについては言うまでもないだろう。
「富を築きたければ、誰かの生活に価値を付加しなければいけません。3世帯向けの住宅を購入し、それを修繕して住みやすい場所にするというのが私のやり方です」