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国外脱出はしたものの… 韓国の仁川国際空港で、少なくとも5人のロシア人男性が足止めを食っている

ロシア人男性

男性たちは数カ月前から仁川国際空港で生活している。

Michelle Ye Hee Lee/The Washington Post via Getty Images

  • 韓国の仁川国際空港では、数カ月前から少なくとも5人のロシア人男性が生活している。
  • 男性たちは徴兵を逃れてきたのだと、ワシントン・ポストは伝えている。
  • ウラジーミルさん(23)は人を傷つけたくないし、プーチン大統領の戦争にも関わりたくないと同紙に語った。

韓国の仁川国際空港では、ウクライナで戦いたくないと徴兵を逃れた複数のロシア人男性たちが数カ月前から空港内で生活しながら韓国政府が彼らの"運命"を決めるのを待っている。

シベリアのブリヤート共和国出身の大学生ウラジーミルさん(23)は2022年9月24日に召集され、その日のうちにロシアを逃れたとワシントン・ポストに語った。

ソウルまで一緒に来たわけではないが、ウラジーミルさんとロシアから逃れてきた4人の男性たちは仁川国際空港の第1ターミナルで数カ月前から一緒に生活をしている。自分たちの未来はどちらに転ぶか分からないと、男性たちはワシントン・ポストに話している。韓国政府が亡命を拒否する可能性がまだあるからだ。5人の男性のうち3人の結果が1月31日に出るという。

「人を傷つけたくありません。自分も死にたくありません。それに今回の戦いはものすごく政治的だと感じています」とウラジーミルさんは同紙に語った。

「わたしに言わせれば、これは隣の兄弟国を征服しようとする帝国主義戦争です」

コリア・タイムスの取材に、ウラジーミルさんはまず車でモンゴルへ逃れたと話している。モンゴルの首都ウランバートルからは飛行機でフィリピンの首都マニラへ向かい、マニラで数週間過ごしたという。韓国へは再び飛行機を使い、仁川国際空港にたどり着いたのは11月12日のことだった。

ただ、ワシントン・ポストが取材した他のロシア人同様、ウラジーミルさんも韓国への入国を拒否され、空港を出ることも許されなかった。男性たちはターミナルで足止めされ、トイレのシンクで洗濯をしている。

同紙によると、男性たちは空港の出発ロビーにある部屋に収容されている。1日3度の食事も与えられていて、朝と夜にはパンとオレンジジュースが、昼には米と鶏肉を使った料理が出るという。

韓国が受け入れる難民は1%強

韓国の難民に関する法律は、"召集逃れ"を亡命を求める正当な理由とは見なしていないと、男性たちの弁護士イ・ジョンチャン氏はワシントン・ポストに語っている。そのため、男性たちは国外退去させられ、ロシアに送還される可能性がある。

韓国は難民の受け入れ率も低い。Statistaによると、2021年に亡命を希望し、受け入れられたのはたった1%だった。2019年と2020年はそれぞれ0.4%だった。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、韓国で人道ビザを発給された難民の大半はシリアとイエメンの難民だという。

「亡命希望者に対する聞き取りは、当局が彼らをふるいにかけて排除しようとしているように見えます」とソウルに拠点を置く難民センター「ナンセン」の弁護士キム・イオンジョー氏はコリア・タイムスに語っている。「ほとんどの場合、申請者は法的支援を求める機会を奪われ、自国に戻ったら迫害を受ける可能性があると自力で証明しなければなりません」とイオンジョー氏は話している。

ロシアのプーチン大統領は2022年9月21日、軍の部分動員令に署名し、ウクライナで戦う約30万人の予備役を召集すると明らかにした。この発表を受け、19万4000人以上のロシア人が週内に国外脱出したとAP通信は報じた。

11月には米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、2月24日にウクライナ侵攻が始まって以来、10万人のロシア兵が死亡または負傷したとの見方を示している。

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