InstagramやTikTokで大人気の猫、ハニー。フェレロロシェのプロモーションも行っている。
Courtesy of Nicole Wade
ペット系クリエイターのニコール・ウェイド(Nicole Wade、36歳)は、プリンセス・ハニーベル(Princess Honeybelle)という名前の「猫シェフ」のアカウントでTikTok、Instagram、YouTubeで活躍している。
そのウェイドに言わせると、ペット系クリエイターには2通りあるという。多くのペット系クリエイターは自身のコンテンツの対価を求めないが、ウェイドのように収益化を目指すとなると、「娯楽性があり、インスピレーションにあふれ、教育的な」コンテンツを意識して作らなければならない。
「趣味で制作しているペット系クリエイターは、その気になれば対価を得られるのに、企業からギフトを受け取る見返りとして無償でコンテンツを制作しています。そのせいで、私みたいにこれを生業にしているペット系クリエイターが置かれている状況は非常に厳しいのです」(ウェイド)
ウェイドは、猫のハニー(Honey)を3年前の2020年1月に引き取り、その成長を記録しようとInstagramでコンテンツ作りを始めた。別の子猫が引き取ったわずか数日後に亡くなってしまったり、勤務していた小売の仕事への不満が増していたこともあり、新しく始めたコンテンツ制作はウェイドの癒やしとなった。やがてウェイドは、コンテンツ制作を本業にすべくInstagramにいっそう力を入れることにした。
ハニーには現在、TikTokでは23万8000人を超えるフォロワー、Instagramでは15万7000人を超えるフォロワー、YouTubeでは1300人を超えるチャンネル登録者がいる。
それぞれのアカウントを開くと、コック帽と胸当てと蝶ネクタイ、ときにはスターバックスのエプロンまでつけた茶トラの猫が、毎週レシピを撮影している姿が並んでいる。ウェイドによると、コンテンツ制作を始めて半年ほど、Instagramのフォロワー数が2万5000人ほどになった頃からフォロワー数が増え始め、1年で2倍になったという。
ウェイドは2023年1月上旬、TikTokの投稿で2022年の毎月の収益を公開した。別のペット系クリエイターたちがザ・キブーマーズ(The Kiboomers)の大人気サウンドに乗せて収益を公開したのに触発されてのことだった。
「あるクリエイターが数十万ドル(約数千万円)以上も稼いでいるのを見て、そんなことができるんだと大きな刺激を受けました。私も収益を公開すれば、他の人の役に立てる。それだけではなく、正直な姿勢を見せることで自分のオーディエンスからもっと信頼してもらえるだろう、と」
2022年のウェイドのクリエイターとしての収益は、税金および諸経費を差し引く前の段階で合計6万2355オーストラリアドル(約575万円、1オーストラリアドル=92円換算)近くとなり、過去最高を記録した。現在は10万オーストラリアドル(約910万円)達成を目指している。
2022年の収益内訳は以下のとおりだ(Insiderが記録を確認済み)。
- ブランドとの契約およびコラボレーション:5万2000オーストラリアドル(約480万円)
- グッズ販売:6500オーストラリアドル(約60万円)
- エッツィー(Etsy)ショップでの売り上げ:3600オーストラリアドル(約33万円)※エッツィーでの販売はその後停止
ウェイドは収益の一部をティップス・アンド・ウィスカーズ(Tips and Whiskers)など、動物シェルターや動物救護を行う団体に寄付しているほか、Instagramのリール投稿でも支援活動を行っている。
なおウェイドはアメリカ非居住者のため、InstagramやTikTokのクリエイター収益化プログラムは使えず、これらのプラットフォームから直接的に収益は上げていない。
ウェイドは2022年にクリエイターとして過去最高の収益を上げたが、プリンセス・ハニーベルの人気ぶりからまとまった収益を上げられるようになったのは2021年後半のことだったという。
ハニーのフォロワー数は増えており、Instagramアカウントでは認証バッジも獲得したが、自身のコンテンツにどれほどの価値があるのかを見極めるのは手探りだった。
「少し調べてみて、他のクリエイター何人かにも連絡を取ってみました。そうしたら、私たちが請求していた額は本来得られるはずの対価よりだいぶ少ないことが分かったんです。そこで請求額を増やすことにしました」(ウェイド)
ウェイドは現在、写真投稿なら約2000オーストラリアドル(約18万円)以上、リールまたは動画なら4000オーストラリアドル(約37万円)から5000オーストラリアドル(約46万円)をブランドに請求している。ブランド独占契約、動画投稿および写真投稿、ストーリー投稿、スポンサー投稿のピン留めまたはアカウントのハイライトへの追加には追加料金を請求している。
なお、ブランドからギフトを受け取るのと引き換えにコンテンツを制作することは断っている。発生する自己負担費用が割に合わないと考えているからだ。
ウェイドの2023年の目標は、ハニーのフォロワー数を全プラットフォーム合計で100万人まで増やすこと、特にYouTubeチャンネルの収益化に注力することだ。また、10万オーストラリアドルの収益目標達成に向けて、レシピ本をはじめとするグッズの発売も計画している。