私もパートナーも、「不況」なんて恐れていない。なぜならどちらも自営業だから

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私は自営業で本当によかったと思う(画像はイメージ)。

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  • 2008年のリーマン・ショック後の深刻な景気後退は、私のようなミレニアル世代にも深い爪痕を残した。だが、それでも私は次の不況を恐れていない。
  • その第1の理由は、次に来る景気後退は、前回の景気後退ほど深刻ではないと考えられるから。
  • 加えてもう1つの理由は、私は自営業を営んでいて、フリーランスとしての収入と副業が経済的な安定をもたらしてくれるからだ。

ミレニアル世代の人間として、私は多くの人が「景気後退」という言葉が見出しに現れると背筋が凍り付くような不安を覚えることをよく理解している。ミレニアル世代の私たちは、2008年の住宅ローン危機をきっかけに始まった、ここ数世代で最悪の不況期と就職のタイミングが重なった。それに、ほかのすべての人と同じで、2020年以後の危機にも見舞われている。

アメリカ国内の景気サイクルを公式に観察する独立機関である全米経済研究所(NBER)は1948年の活動開始以来、数多くの不況データを集めてきた。私の生活とこの機関のあいだには接点がほとんどないが、例外は19カ月続いたグレート・リセッション(2008年のリーマン・ショック後の深刻な景気後退)で、この不況はのちに、世界大恐慌以来最も深刻な形で経済が崩壊した時期だったことがわかった。

今、人々はどうやって次の景気後退に備えるべきなのかがわからず、パニックに陥っているようだ。その気持ちは私にも理解できる。私の知人の多くは「景気後退」の意味を2008年の危機を通じて学んだため、この言葉を聞くと頭のなかに最悪の事態を思い描いてしまうのだ。

しかし、私は景気後退を恐れていない。

今回は世界大恐慌ではない

私が迫り来る不況を恐れない最大の理由は、景気後退が必ずしも大恐慌を引き起こすわけではないと確信しているからだ。

資本主義経済の景気サイクルでは、インフレーションや景気後退は避けようのない変動だと言える。景気というものは、人々が物価高騰に耐えられなくなる、あるいは事業が投機についていけなくなるまで拡大し、その転換点に到達したら縮小を始め、後退するものなのだ。景気後退をNBERは「経済全体に広がり数カ月以上続く経済活動の顕著な鈍化」と大まかに定義している

景気後退は必ずしも広範囲におよび、長期の失業を意味しているわけではない。一気にすべての経済分野が壊滅するわけでもないし、1世代全員の就職の見通しが暗くなることも、ベテラン全員の退職計画が破綻することもない。

次の景気後退が目前に迫っていると予測する専門家たちは、おもに「投資」という1つの文脈で論じている。専門家たちは株式市場のトレンドを追い(ときには債券市場の動向にも注目して)、近い将来における企業の利益や投資家の収益について気をもんでいる。

私たちのほとんどにとって、そうした市場の変動は(たとえそれが大きくて長い不景気でもおそらく)日々の生活には影響しない。経済状況を伝える日々のニュースの多くはセンセーショナルで普通の生活には無関係なので、株価に収入や資産がもろに影響される人以外は、無視したほうがいいだろう。

ただし、いくつかの重要な点で、景気後退は私たちの生活にも影響する。株価の下落はほとんどの場合で退職後の生活のための積立金に影響するし、株価を落とした大企業が大量解雇を行い、失業率が高まる可能性もある。

この点で、私は自営業で本当によかったと思う。

自営業を選び、我々は経済的安定を獲得した

フルタイムで働くだけでなく、定職に就きながら副業として始めるケースも含めて、私はフリーランスあるいは事業者として自営業を始めることを強く推薦する。この形で働くことで、想像できないほどの経済的な自立を手に入れることが可能だ。この事実を、次の景気後退が証明するだろう。

私の家庭では景気後退は恐ろしいものではない。なぜなら、私も、私のパートナーも、自営業だからだ。パートナーはフリーランスのグラフィックデザイナーで、私は金融関連の教育スタートアップを営んでいる。企業資本家の気まぐれに影響されることのない私たちには、景気後退を恐れる理由がない。

本当にだいじょうぶなのか、と思う人もいるだろう。自営業を避ける人が多いのは、自営業は不安定だという偽りのイメージが広くはびこっているからだ。しかし、事実はその逆だ。最近のギャラップ調査によると、次の12カ月で職を失うことはないと確信しているアメリカ人労働者は、全労働者のわずか半分強(55%)でしかなかった。15%は失業の可能性が高いと答えた。

バランスシートのどちらかの側にいる人は、会社が天秤を傾ける決断を下したとき、その影響をもろに受ける。

私とパートナーはどちらもサービス業を営んでいるので、複数の企業や部門から収入を得ている。景気後退を理由に、1つの会社が利益を守るために「リストラ」すると決断しても、私たちの生活が破綻することはない。自営業のおかげで、私たちは機敏に立ち回れる。クライアントの1人が去って行ったとしても、すぐに対処し、損失をカバーできる。この点はすでに2020年に検証済みだ。メディア企業の3分の1がレイオフを行ったが、フリーランスとしての私の収益は倍増した。

自分の力で働くということは、健康保険や年金についても、自分で何とかしなければならないということでもある。この点を多くの人は欠点とみなしているが、私は長所だと思う。

私は自分で保険会社を選べる。つまり、公共事業のコングロマリットではなく、非営利会員制の共済組織の保険を利用して治療を受けることができる。私には雇用主がいないので、雇用主が決める健康保険に加入する必要がない。どこまでが保険でカバーされるか、などといった煩わしさから解放されて、自分で働き方を決めることができる。それに、たとえあるクライアントが不況を理由に私との契約を打ち切ったとしても、それが私の健康保険に影響することはない。

退職金についても同じことが言える。さらに言えば、フリーランスであろうがサービス業であろうが、自分で事業を興すということは、いつか売りに出せる何かをつくるという意味でもある。私にしてみれば、株式市場に投資するよりも興味深くて楽しい投資活動だ。それに、景気が後退しても退職金が一気に目減りすることもない。

景気後退が迫っているという見出しに出くわしたとしても、もう慌てる必要はない。不安から反応してしまっている部分がないか確認し、実際問題として自分の生活が経済状況の変化からどのような影響を受けるかを、よく考えてみよう。しっかりと計画を立ててから、お金を動かすように心がけよう。

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