原子力サーマルロケットエンジンの試験で使われるDRACOのイメージ図。
DARPA/Insider
- NASAは、今後5年以内に原子力ロケットの試験を行う計画であると発表した。
- 初期のコンセプトによれば、45日で火星に到達できるという。
- NASAは2030年代までに人類を初めて火星まで飛行させる考えだ。
NASAは2027年までに火星まで数週間で到達できる原子力推進ロケットの試験計画に資金を投じていることをプレスリリースで発表した。
NASAは国防高等研究計画局(DARPA)と協力して火星まで短期間で到達できるロケットの製造を進める。2027年までにロケットの試験を行うのが目標だ。
「この最新技術によって、宇宙飛行士はかつてない速さで宇宙の彼方まで行き来することが可能になり、火星への有人飛行に向けた大きな能力となる」とNASAのビル・ネルソン(Bill Nelson)長官は述べている。
月探査を行うアルテミス1号の成功は、人類の宇宙探索計画の最初の一歩にすぎない。NASAの目標は、2030年代または2040年前半までに人類を火星に送り込むことだ。
火星に向けた初期のミッションの日程はわずか30日以内で、移動時間を最小にすることが重要になる。
ロケットの原子力推進は新しいアイデアではなく、そのコンセプトは60年代にはテストされている。
それは、原子炉を使って水素などの液体燃料を加熱する方法だ。熱によって液体が気体に変わり、膨張すると気体はノズルから吹き出し、推力が発生してロケットを前進させる。
従来の化学燃料を主体としたロケットエンジンより、3倍以上も効率が良く、ずっと速い。 プレスリリースによると、従来のロケットよりも積載量が多いだけではなく、スピードも速いという。
原子力ロケットを利用した火星への飛行は4カ月かかると見られていて、これまでのロケットによる9カ月に比べるとずっと短い期間ですむとロイターは報じている。
NASAはまた、新しい原子力推進システムの開発に資金を提供する予定だ。このコンセプトがうまくいけば、火星までの飛行時間がわずか45日に短縮することができるという。