国際社会は次のパンデミックに「危険なほど無防備」 —— 赤十字は備えを加速させるよう警鐘

赤十字

Daniel Bockwoldt/picture alliance via Getty Images

  • 国際社会は将来のパンデミックに「危険なほど無防備」だと、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が警鐘を鳴らしている。
  • 「この世界はますます危険になっている」とIFRCの報告書は指摘する。
  • IFRCの事務総長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが「警鐘となったはずだ」と話している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による危機から3年が経ち、世界全体で600万人以上が死亡したにもかかわらず、国際社会は将来のパンデミックに「危険なほど無防備」だと、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が最新の報告書で警鐘を鳴らしている。

IFRCは1月30日に公表した『世界災害報告(World Disasters Report)』で、「多くの国」はCOVID-19への備えができていなかったとした上で「全ての国が未来の感染症流行に対してなお危険なほど無防備」だと指摘した。

感染症の流行だけでなく、気候変動関連の災害や天候関連の災害にも注意が必要だと警告したIFRCは、国際社会は「この世界はますます危険になっているため、今、準備を始める必要がある」としている。

「COVID-19のパンデミックは、国際社会に今こそ次の公衆衛生上の危機に備えよという警鐘となったはずだ」とIFRCのジャガン・シャパガン(Jagan Chapagain)事務総長はコメントしている。

その上で「信頼を構築し、不平等の問題に取り組み、現地の行為主体やコミュニティーを活用して人命救助活動に携わってもらうことなどを世界の指導者たちには推奨する」と付け加えた。

「次のパンデミックはすぐそこに来ているかもしれない。COVID-19の経験が準備を加速させるきっかけにならないなら、何がきっかけになり得るだろうか?」とシャパガン事務総長は投げかけた。

ジョンズ・ホプキンス大学がまとめた最新データによると、2020年初めにパンデミックが始まって以来、世界全体で680万人以上がCOVID-19で死亡している。

それはこれまでに起きたどんな地震や干ばつ、ハリケーンによる死者数よりも多いと、IFRCは報告書の中で指摘している。

IFRCは、年内に全ての国がパンデミックに対する準備計画を見直し、「関連法の改正も必要かどうか検討すべきだ」としている。

パンデミックに対する準備計画には「公平性、信頼性、現地活動を強化するための具体的な措置が盛り込まれているべきだ」と報告書はアドバイスしている。

また、2024年までには全ての国が新たな条約を採択したり、WHO(世界保健機関)憲章に基づく国際保健規則(IHR)を改訂すべきだという。

報告書はさらに、2025年までに各国の医療財政規模を国内総生産(GDP)比で1%、世界的には年間150億ドル以上拡大すべきと提言している。

「COVID-19は新しいウイルスで、新たな課題を突き付けた一方、パンデミックの影響を軽減することができたであろう数えきれないほどの一般的な措置やアプローチも存在した。とりわけ政府は、コミュニティーレベルの緊急事態への備えに対して、はるかに大きな投資ができたはずだ」とシャパガン事務総長は報告書で指摘した。

その上で「同じ間違いを繰り返さないためには、今回のパンデミックから得た重要な教訓を法律や政策、予算、行動に反映させなければならない」と続けた。

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