子どもの「教育資金」を貯める5つの方法。学資保険に頼りすぎは要注意?

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「教育資金」は、大学以降の学費と捉えるべき。

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  • 確保しておくべき「教育資金」とは大学以降に必要となる学費のこと。それ以前に必要な学費は、貯金を取り崩さない程度に抑えておいたほうがいい。
  • 「教育資金」として必要な額は300万円以上。遅くとも、高3の夏までに用意しておこう。
  • おすすめの「教育資金」の構築手段は5つ。だが、1つに頼ることなく、個人の状況や世相を鑑みて組み合わせながら戦略を練った方がいい。

そろそろ卒業・入学シーズン。子どもの「教育資金」について気になる時期です。

現在は物価高のみならず、教育熱の高まりなどもあって「どのように、いくら教育資金を貯めたらよいのか」と不安になっている人も多いでしょう。

本記事では、そうした「教育資金」の考え方とそれに対する準備の方法を5つお伝えします。

「教育資金」とは、大学以降の必要経費

「教育資金」と聞くと、どんなお金を思い浮かべますか?

小さいときの習い事や塾代、そして小学校から大学の学費、留学などの費用まで、さまざまでしょう。しかし、そのすべてのお金を事前に準備することは難しいはず。なにしろ、オール公立で留学なしでも、トータルで子ども一人に1000万円はかかる目安です。

そのため、高校までの費用(学費、習い事代、塾代)は、基本的にその期間内の収入から同時進行で捻出。さらに、大学以降の費用(留学する予定ならその費用も含む)は、子どもが小さいときから少しずつ貯めてきた資金から支払う、2段階戦略がおすすめです。

なぜなら、教育に関する支出のなかで、一番多く必要となる可能性が高いのが大学の4年間(もしくは6年間)の費用だからです。それ以前の幼少期から高校までの学費や習い事・塾代は、できるだけ貯蓄を取り崩さず、日々の収入からまかなえる範囲で考えましょう。

つまり、貯蓄がないと支払えない小中高時代の習い事や私立の学費は「我が家にとって無理のある支出」と判断することも大切です。

金額の目安は、高3の夏までに300万円以上

では、事前に準備しておきたい「教育資金」として「大学以降」の学費はいくらぐらい、そしてどのように準備していけばよいのでしょうか。

準備したい金額は、現在の平均額から考えると、子ども一人あたり300万円以上、私立大進学の可能性があれば500万円以上が目安です。一人暮らしや6年制学部、留学などの可能性があれば、さらに上乗せで準備しましょう。

最近は推薦入試も増えていますし、早めに準備をして安心できるように「高3の夏まで」に貯めておくことがおすすめです。

教育資金は少し多めに準備しておけば、余った場合に夫婦の老後資金にすることができます。「お金が足りなくて、希望の進学ができなかった」ということのないように、子どもが小さいうちから貯め始めたいですね。

教育資金は組み合わせで準備! 5つの方法とは

実際に教育資金は、どんな方法で準備すればよいのでしょうか。

そう問われた際に、真っ先に「学資保険」や「預貯金」を思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、物価高が続いており、今後必要な教育費が増えていけば、貯まる金額がある程度決まっている保険や預貯金だけでは足りなくなる恐れがあります。

そのため、現在では1つの方法だけでなく、ほかの方法との組み合わせで準備することをおすすめしています。その組み合わせとして考えられる、有効な方法は5つあります。

1. 万能で確実なのは「預貯金」

教育資金専用口座をつくって、少しずつ貯めていく方法です。現在は超低金利ですが、元本保証の預貯金なら、確実に積み上がります。

子ども名義の口座なら、例えば住宅購入の頭金や旅行代など、他の用途に使い込んでしまうことも防げるでしょう。児童手当が出ている人は、0歳から貯め続けると、一人につきおよそ200万円と大きな金額になります。

おすすめは、ネット銀行や地方銀行のネット専用支店の定期預金。大手銀行に比べるとやや金利が高めなので注目です。

2.金利上昇時は「個人向け国債」も有効

ほんの少しずつですが金利が上がりつつある今、個人向け国債(変動10年)も選択肢になりそうです。

変動金利で半年ごとに金利が見直されるため、金利が上がれば、それにあわせてこの金利も上がっていきます。

個人向け国債は、1年経てば満期前の中途解約も可能。ただし、手数料として直近2回分の利子相当分が差し引かれます。ですが、受け取った利子以上の手数料がかからないので安心です。

3.要注意だが「学資保険」という手も

学資保険は、超低金利の現在の状況では、貯蓄性は低いので注意しましょう。

とはいえ「保険」なので、親に万一のことがあった場合に、保険料の支払いが免除される機能があります。そのため、純粋に金融商品としての貯蓄性を比べられないのですが、入金した金額よりも、受け取る金額が低くなる商品もあるため、「学費として貯めたい」という目的にはそぐわない場合があるでしょう。

「単純に貯めるだけではなく、保険機能も欲しい」「貯蓄だと間違えて別用途に使ってしまうのが心配」と考える方には、教育費の一部の資金として利用してもよいかもしれません。

4.インフレに備え「投資信託」で積み立て

今後の教育費のインフレに対抗するために、教育資金の一部を投資性商品で準備するのも一案です。

投資先が幅広く分散された投資信託は、月100円や1000円など少額から積み立てることができます。さらにNISAを利用すれば、利益に対して課せられる約20%の税金が免除されるのもメリットです。

ただし、投資信託の場合は、預貯金のように「いくら貯まるか」が確定していない点に注意が必要です。大学受験後に使おうと思ったときに、相場が下がって元本割れをしているかもしれず、もし預貯金がなければ、損を出して売却することになってしまいます。

そのため、10年以上など長期で積立投資ができ、他に預貯金などを必ず併用しながら活用するといいでしょう。

5.高齢出産した人は「iDeCo」も選択肢に

特に40代で出産した方の場合は、教育資金の準備としてiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)も選択肢となります。

iDeCoは老後資金を目的として貯める仕組みのため、現金を引き出せるのは原則60歳以降。しかし、例えば42歳で出産した場合、子どもが18歳になるころには、ちょうどiDeCoから現金を引き出せる計算となります。

掛け金が全額所得控除になるため、税金面ではNISA以上に税金メリットが多いiDeCo。収入が高い人ほど、その税金メリットが大きくなるので、余裕があれば選択肢の一つにするとよいでしょう。ただし、夫婦の老後資金が不足しないように注意してください。

教育資金の構築は、これら5つの中から1つに頼ることなく、個人の状況や世相を鑑みて組み合わせながら、戦略を練っていくべきなのです。

教育資金を貯めるヒント

教育資金を貯め始める際には、「高3の夏までにあと何年間あるか」が重要なポイントとなります。

例えば現在子どもが0歳なら約18年間あるので、インフレにより大学関係の費用が現状よりも高額になっている可能性があります。一方で、現在中学生や高校生の場合は、高3の夏までの期間が1~5年ほどと短いため、安全確実な方法で貯めていくことが重要です。

時間が10年以上あれば、預貯金だけでなく、投資性商品(投資信託など)も併用することがポイント。1~5年ほどと短期間の場合は、相場の波を受けやすくなるため、預貯金など元本保証タイプの割合を大幅に増やすか、ほぼ全額預貯金にしておくほうが安心でしょう。

まとめ

子どもが小さい方は、「教育資金として、大学以降の費用を貯める」といっても、ピンとこない方も多いかもしれません。

しかし子どもが小さいときは家計に余裕があるケースが多いので、まさに貯め時です。余裕資金があるので習い事などを増やしがちな時期でもありますが、長い目で見て少しずつ準備をしておくことをおすすめします。

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