Ashley Corbin-Teich/Getty Images
- 就寝前にヨガをやると、寝つきが良くなったり、ぐっすり眠ることができると言われている。
- 専門家はヨガをやることで、心とからだがリラックスするからだろうと話している。
- 子どものポーズや亡骸のポーズ、ねこと牛のポーズといった呼吸を意識したやさしいヨガのポーズを試してみよう。
寝つきが悪い? 夜ぐっすり眠ることができない? あなただけじゃない。アメリカでは5000~7000万人が何らかの睡眠障害を抱えていると見られていて、このうち11%は毎晩、十分な睡眠が取れていないと答えている。
ただ、寝つきが悪いにせよ、一晩のうちに何度も目が覚めてしまうにせよ、睡眠を改善するためにできることはたくさんある —— ヨガに挑戦してみるのも一つの手だ。
アメリカで行われたある調査では、ヨガをやっている人の55%以上がよく眠れるようになったと答えている。ヨガをやることで次のようなメリットがあることをこれまでの研究は示唆している:
YogaSixのヨガ指導者バレリー・ウグリノー(Valerie Ugrinow)さんによると、不安やストレスは特に覚醒状態を強めたり、頭の中をいろいろな考えが駆け巡る原因になるという。ただ、ヨガをやることで心が落ち着き、寝つきが良くなるという。
とはいえ、ヨガとひとことで言ってもさまざまなポーズがあり、ポーズによって心やからだのリラックスにつながりやすいものと、そうでないものがある。質の高い睡眠を得るために、ヨガ講師がお薦めする8つのポーズを紹介しよう。
1. 立位前屈のポーズ
Valerie Ugrinow
なぜ良いのか:
このポーズは頭を心臓よりも低い位置に置くポーズだ。Light Inside Yogaの創設者でアプリ「Yoga Wake Up」の講師でもあるニキ・サカレシア(Niki Saccareccia)さんは、からだを前に倒して頭を下にすることで重力に逆らうのではなく、従うのだと話している。
「それがからだの緊張や圧を和らげ、リラックスにつながります」とサカレシアさんは言う。
また、頭を心臓よりも低い位置に置くことで、心拍変動が改善することも示唆されている。これは必要に応じて、からだが副交感神経系を活性化できるということだ。
やり方:
1. 腰幅または腰幅よりやや広めに足を開いて立つ。
2. 背筋をできるだけ伸ばして、ゆっくり鼻から息を吸う。
3. 息を吐きながら、からだを前に倒す。腰を痛めないよう、ひざは軽く曲げておこう。
4. 頭と首をリラックスさせる。腕はからだの柔軟性に応じて、上の写真のように反対側のひじをそれぞれつかむようにしてもいいし、すねに優しく添えても、床に手を付けてもいい。
5. そのままの姿勢を30秒~1分保つ。呼吸はゆっくり、意識的に。
2. 薪のポーズ(ハーフ)
Ty Merkel for Yoga Wake Up
なぜ良いのか:
このストレッチは特に座っている時間が長い人にお薦めだとサカレシアさんは話している。腰の緊張がほぐれるので、リラックスしやすくなり、睡眠時の心地良いポジションが見つかりやすくなるという。
やり方:
1. ベッドまたは椅子の端に座り、足の裏をまっすぐ床に付ける。
2. 鼻からしっかり息を吸いながら背筋を伸ばす。
3. 息を吐きながら、からだをやや前傾させる。背中を丸めないように気を付けよう。
4. 右のすねと足を持って、右足首の外側を左ひざの上に乗せる。
5. ひざ関節を痛めないよう右足首をすねの方に向かって立てて、お尻の外側をしっかり伸ばす。伸び具合を見ながら、必要に応じてからだをさらに前傾させる。その姿勢を1分保つ。
6. 右足を最初の位置に戻し、今度は左側の足で2~5のステップを繰り返す。
3. 横たわった合せきのポーズ
Ty Merkel for Yoga Wake Up
なぜ良いのか:
サカレシアさんによると、1日の大半をパソコンや自動車のハンドル、スマートフォンに覆いかぶさるように前かがみになって過ごしていると、からだが縮こまってしまうという。
そうすると背中や背骨に圧がかかり、闘争・逃走反応を起こした時のように呼吸も浅くなるという。
横たわった合せきのポーズは胸を開き、深い呼吸ができるようになる。それが全身のリラックスにつながる。
やり方:
1. ベッドまたはヨガマットの上に仰向けになる。腕はからだの脇でリラックスさせ、手の平は天井に向ける。
2. 足の裏を合わせてからだの方に引きつけたら、上の写真のように左右に開く。必要に応じて、下にクッションなどを置いてサポートする。
3. どちらかの手を胸に、もう一方の手を腹部に置く。
4. 頭の中で6秒数えながら息を吸い、お腹が膨らむのを感じよう。8秒数えながら息を吐き、お腹がへこむのを感じよう。これを最大4分間繰り返す。
4. 壁に脚を上げるポーズ
Valerie Ugrinow
なぜ良いのか:
壁に脚を上げるポーズは、リストラティブヨガの1つだ。リストラティブヨガは、補助道具を使いながらやさしいポーズやストレッチをするヨガだ。
ウグリノーさんによると、このポーズは副交感神経系を活性化し、筋肉を緩め、呼吸を落ち着かせる助けになるという。
さらに、脚を上げて心臓へ戻る血流を促すことで心拍変動を高めることにつながると、サカレシアさんは話している。心拍変動の高さとストレスの低さは関連していると専門家は見ている。
やり方:
1. ベッドを壁際に寄せる。ベッドの近くに壁がなければ、壁際にマットを敷いて座る。
2. 壁に対して横向きに座って、お尻の片側を壁に付ける。両脚をスイングさせ、上の写真のように壁に脚を預ける。ひざをロックしないよう軽く曲げる。
3. 強めにストレッチをしたい場合は、壁にお尻を近付けて脚が上半身に対して直角になるようにしよう。緩めにストレッチをしたい場合は、壁とお尻の距離を少し離そう。
4. 自分の呼吸に集中しながら、その姿勢を最大10分保つようサカレシアさんはアドバイスしている。ポーズをやめる時は、ひざを胸の方に曲げてから横に転がろう。
5. 子どものポーズ
Valerie Ugrinow
なぜ良いのか:
このポーズは深呼吸でからだ全体をリラックスさせつつ、腰、胸、肩の緊張を和らげることで睡眠に向けた準備ができるとウグリノーさんは話している。
やり方:
1. 両手とひざをついてスタートする。両足の親指をつけて、ひざとひざの間を少し開く。
2. 息を吸って吐いたら、お尻をかかとの方へ引き寄せ、上の写真のように胸を床に近付ける。額は床に付ける。
3. 腕を長く伸ばす。または手の平を天井に向けて、太ももと平行になるよう手前に引いてきてもいい。
4. 息を吐くたびに頭、首、肩、胸、背中をさらにリラックスさせる。
5. その姿勢を最大で1分保つ。手で支えながら上半身を元の位置に戻し、正座。
参考:ストレッチが強すぎると感じる場合は、額の下にクッションや丸めた毛布などを置くようウグリノーさんはアドバイスしている。
6. 橋のポーズ
Valerie Ugrinow
なぜ良いのか:
ウグリノーさんによると、このやさしいヨガは胸と背中を開いて深く呼吸をし、副交感神経系を刺激するという。就寝前のリラックスに良いだろう。
やり方:
1. 横になり、ひざを曲げて足裏でマットをしっかり踏むところからスタートする。
2. しっかり踏んだらお尻を上げる。そこへブロックか厚みのあるクッション、折りたたんだ毛布などを上の写真のように仙骨(腰の真ん中、背骨の一番下)の下に入れる。
3. からだをリラックスさせ、腕はからだの脇で長く伸ばす。
4. 胸をさらに開くために、腕は大きく開く。
5. このポーズで少なくとも5~10回呼吸を入れる。終わりにする時はお尻を上げて下に入れていた道具を外し、お尻を床に下ろす。足をまっすぐに伸ばしたら、上半身をゆっくり起こす。
参考:補助枕、ブロック、毛布といった道具を使うことで、からだを支え、しっかり伸ばしながらリラックスできる。
7. 亡骸のポーズ
Ashley Corbin-Teich/Getty Images
なぜ良いのか:
多くのヨガクラスがこのポーズで終わるのには、理由があるようだ。全ての筋肉を完全にリラックスさせ、心を落ち着かせ、自分の呼吸に集中しやすくなるからだ。
同じ理由で、亡骸のポーズは睡眠にも役立つだろう。
やり方:
1. ベッドまたはマットの上で仰向けに寝る。足はやや開く。
2. 足の力を抜くと、上の写真のように足首が外側に開く。
3. 手の平を天井に向け、腕の力を抜く。手もリラックスさせる。指は上の写真のように軽く曲がった状態になる。
4. 足先から頭に向かって、自分の身体を意識しながら筋肉を1つ1つ緩めていく。首や顔の筋肉もリラックスさせよう。
5. この姿勢を2~5分保つ。その間、呼吸と呼吸に合わせて上下する胸や腹を意識しよう。
8. ねこと牛のポーズ
Valerie Ugrinow
なぜ良いのか:
呼吸を意識しながらゆっくりと身体を動かすこのポーズは、身体に意識を集中させることのできるポーズだとウグリノーさんは話している。頭にいろいろな考えが浮かんできて、夜なかなか眠れないという人に良さそうだ。
やり方:
1. 床に手とひざをつく。ひざは上の写真のように、お尻の真下に。手首を痛めないよう、指はしっかり開いておく。
2. 深く息を吸い込みながらゆっくりと背中を反らし、首を伸ばすように顔を上げる。これが「牛」のポーズだ。
3. 次に深く息を吐きながらあごを引き、伸び上がるように背中を丸める。これが「ねこ」のポーズだ。
4. 深い呼吸を意識し、2つのポーズを5~10回ゆっくりと繰り返そう。