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通信3キャリアから資金調達を達成したPoliPoliとは?24歳CEOが語った野望

役員の写真

PoliPoliの創業メンバー。左から山田仁太CXO、伊藤和真CEO、倉田隆成CTO。

提供:PoliPoli

政治・行政と国民をつなぐ政策提言プラットフォームを運営するPoliPoli(ポリポリ)は2023年2月2日、NTTドコモ・ベンチャーズとKDDI Open Innovation Fund 3号などから、シリーズAの資金調達を発表した。これまでの累計調達額は「数億円規模」という。

PoliPoliは2022年5月にもZホールディングスのZ Venture Capitalから資金調達をしており、国内3大キャリアグループから資金調達が実現したことになる。

またPoliPoliは、Facebookの共同創設者ダスティン・モスコヴィッツ(Dustin Moskovitz)氏らが主な資金提供者となるOpen Philanthropy財団と組み、「次世代のルールメイカー」を育成するプロジェクトを開始した。

PoliPoliの伊藤和真CEO(24)は「創業してから5年。これまで夢見ていたプロジェクトがやっと動き出した」と話す。

競合キャリアグループが参加「象徴的な調達」

キャリアの写真

shutterstock

「本来は競合でもある3グループから資金調達できたことは、象徴的な意味があります。私たちが取り組んでいるのは、従来の枠組みを超え、根本から社会を変えていくこと。

その意味で公共性の高い事業を手掛ける3グループがともに協力してくれたことは大きな成果だと思っています」(伊藤CEO)

ポリポリは2018年2月に創業。慶應義塾大学の学生だった伊藤氏によって設立された。

現在は主に、政治家が政策を投稿する「PoliPoli」、自治体が抱える課題について市民に相談する「PoliPoli Gov(β版)」などを運営している。「PoliPoli Gov(β版)」については、デジタル庁、経産省が採用したことからも注目された。

「調査では66%が『自分の声が政治に反映されていない』と感じています。サービスが知られるようになり、政治に声を届ける新しい仕組みを作ることができてきたと思っています。

やっと業務委託も含めて30人規模の組織になりました。これから活動を拡大していくためにも、さらにステークホルダーを巻き込んでいきたい

グラフ

提供:PoliPoli

今回発表した資金調達に合わせ、ドコモグループ、KDDIの両者とは協業に関する覚書も締結した。

ドコモグループではすでに、NTTコミュニケーションズが手掛ける宮城県のデジタル推進事業で、地域課題を解決する仕組みとしてPoliPoli Gov(β版)を導入している。

PoliPoliとしては、今後も企業とのネットワークなどを足がかりに、自治体での導入加速を狙う。

「ルール」変える仕組みを作りたい

これまでは、一貫して市民らの声を政治・行政に届ける活動を続けてきたPoliPoliだったが、新規事業も打ち出した。

社会のルールを変える「ルールメイカー」を育成する一大プロジェクト「Reach Out Project」だ。

PoliPoliは2023年1月23日の朝日新聞朝刊に「日本から、世界を変えようと挑戦する若者を募集します」とする全面広告を掲載した。

この「Reach Out Project」では、グローバルヘルスをテーマに参加者を募集し、実際の政策提言作りから、資金援助までを担う。

応募者のなかから5組ほどを選出する予定。選ばれた参加者は4カ月をかけ、ビジョンの明確化、公衆衛生についてインドなどで学ぶ海外研修、政策提言や広報戦略のブラッシュアップなどを進めるという。

1月下旬に募集を開始したところ、若手研究者や、政策提言に関わる活動する若手、NPOやNGO活動をする学生などから応募が集まっているという。

寄付ではなく、投資でレバレッジ

伊藤さん

オンラインで取材に応じた伊藤氏。

撮影:横山耕太郎

「Reach Out Project」の特徴は、サポート団体の豪華さにある。

共催はFacebook共同創設者として知られるダスティン・モスコヴィッツ氏が資金提供するOpen Philanthropy財団。Open Philanthropy財団は、参加者への資金提供などのサポートを行う。

また同プロジェクトのウェブサイトによると、ビル&メリンダ・ゲイツ財団もプロジェクトを後援している。

「このプロジェクトが目指すのは、寄付によって活動を応援するのではなく、政策提言によって世界を変えることです。私はVCで働いた経験もありますが、ルールメイキングに投資することで、ルールや国家予算を変えるなど、レバレッジをかけた成果を挙げられると思っています」(伊藤CEO)


「日本だと価値のある活動をするNGOやNPOが、活動資金で困っていることも少なくない。ただ現実を変えるには、そもそも、政治や行政で新しいルールを作ることこそが有効な手段になります。

起業家を支援する取り組みはたくさんありますが、ルールメイキングを支援するスキームはこれまでありませんでした。この仕組みこそが、私たちがミッションに掲げている『新しい政治・行政の仕組み』なのではないかと思っています」

「スキームを広げていきたい」

サービス画面

市民の声で社会を変える仕組みを作ってきたPoliPoli。PoliPoli Gov(β版)を開いてみると、さまざまな分野で市民の声を集めている。

PoliPoli Gov(β版)のサービス画面を編集部キャプチャ

今回は世界的な財団と組んで、グローバルヘルスをテーマに第1弾のプロジェクトを立ち上げたが、「この投資で社会を変えるスキームを、いろんなイシューで広げていきたい」と伊藤氏は意気込む。

気候変動の問題や子供の貧困など、課題はまだまだあります。あらゆる分野でルールメイカーに投資するには、スポンサーをたくさん集める必要があります。3年で100億規模の投資を集められたらすごいことができると思っています」

伊藤氏がPoliPoliをはじめて5年。これまでの活動を通して、声を上げることで政治は変えられることを、社会に証明してきた期間でもあった。

「声をあげるルールメーカーを育てること。これはずっと頭の中で妄想してきたことですが、やっと世界が追いついてきたなと思っています」

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