メタのCBO(最高業務責任者)を務めるマーネ・レビン。
提供:メタ
メタ(Meta)にとっての2022年は、アップル(Apple)のプライバシーポリシーアップデートの影響で100億ドル(約1兆3000億円、1ドル=130円換算)の打撃を被りさんざんな年となった。
しかしその後、メタは広告事業の見直しを図っており、その試みは成功を収めているようだ。同社は今、景気の先行き不透明感から企業の間に広がる広告予算削減の動きに対処している。
メタは2月1日に2022年第4四半期(10〜12月)の決算を発表し、広告予算削減の影響で3四半期連続の減収(前年同期比4%減の322億ドル〔約4兆1800億円〕)となったことを報告した。
AI投資が奏功
メタのCBO(最高業務責任者)であるマーネ・レビン(Marne Levine)はInsiderの取材に対し、「状況が週替わりで変化しているため、全体的に不透明感が漂っています」と話す。こうした経済的な制約はあっても引き続き広告主の成長を促せるよう注力している、とも付け加えた。
この経済状況下にあって広告主は消極姿勢になっているかもしれないが、他のデジタル広告プラットフォームに比べればメタはまだ優位性を保っている。広告主たちは、2023年は他のチャネルへの支出を減らし、代わりにメタのように実績のあるプラットフォームに注力すると話す。
また、広告主たちは広告への投資から成果が得られることを証明したいとも考えている。
メタの広告主は第4四半期に前年同期比20%増のコンバージョンを達成したが、これはAIのサポートがあったおかげだ、とメタは述べる。
レビンによると、メタのAIを使って広告に興味を持ちそうなオーディエンスを見つける「Advantage+」という機能が成果を上げており、最近のテストではこのツールによって広告費に対するリターンが32%増加したという。加えて、レビンによればAdvantage+は40億ドル(約5200億円)の年間ランレート(ARR)を達成した。
レビンの説明によれば、メタでは広告主がクリエイティブテストを行う際にもAIを使ってサポートしているという。例えば、広告に配置する文字の位置、明るさ、サイズなどだ。
「(このAIを使うことで)広告主は、キャンペーン・クリエイティブをどう組み合わせるのがベストなのか、より効果的に、より速く理解できるようになります」(レビン)
リールをテコ入れ
もう一つ、メタが成長を期待するのが短尺動画機能「リール(Reels)」だ。メタはこの機能を使ったショッピング広告をテストしている。
メタは、広告主の40%がリールを利用していると発表している。このようにリールは人気ではあるが、まだ広告主に広く採用されているわけではない。レビンによると、フェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)でのリール動画の再生回数は、この1年で2倍に増えたという。
メタはリールの収益性を高めるために、ユーザーが見るリールの関連性を高めたり、広告主がリールを作成する際に使う新しいテンプレートやコマース用リールなどの新しいフォーマットの開発に取り組んでいる、とレビンは話す。
またメタでは、クリックすると広告主の自社ECサイトや、FacebookやInstagramのショップセクションに直接飛び、ユーザーがメタを介して直接購入できるショッピング広告をテストしている。メタはその収益の一部を受け取ることになる。
「まだ初期段階ですが、私たちは今ここで起きていることに大いに期待しています」(レビン)