セールスフォースのマーク・ベニオフCEO。
Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch
セールスフォース(Salesforce)は2月2日、新たなレイオフを実施した。今回対象となるのは主にセールス部門の社員で、先ごろ発表された人員の10%削減計画の一環とみられる。Insiderの取材で分かった。
2023年1月にまず実施されたレイオフでは、セールス部門は概ね対象外となっていた。しかし同社の現社員や元社員は、セールス部門が同社の会計年度末となる1月31日までに駆け込みで契約を受注した後、2月1日にもセールス部門の人員削減が行われるのではとの見方を示していた。
エンタープライズ向けソフトを販売する企業の例に漏れず、セールスフォースにとっても第4四半期は売上高が最も伸びる四半期である。セールス担当者が売上ノルマを達成するべく受注に奔走するからだ。
Slackチャンネルから4000人が消えた
ある社内関係者は、これはセールス部門の幹部や同社のマーケティングクラウドを対象とした「大量首切り」だと話す。
セールスフォースは太平洋時間の午前1時にメールで社員への通知を始めた。今回のレイオフの対象となった社員の人数は不明。社内では2000人ほどではないかとも囁かれていた。
しかしある人物は、セールスフォースの全社員が入っているSlackチャンネルから4000人近くの社員がいなくなったと指摘する。1月31日の時点では8万4000人いたのに、今では8万人ほどになっているというのだ(ただしその人物の話では、年度末に辞めた個人請負もここに含まれている可能性がある)。
Insiderが確認したメールによると、イギリスでは400人弱の社員が「相談」の対象になっているとの通知を受けた。
「あなたの雇用は削減の対象となっているが、まだ解雇は実施されていない」という意味だ。イギリスでは雇用主が従業員を解雇する場合、人員削減の規模に応じて30~45日前に本人に通知する義務がある。
ある人物はInsiderに対し、セールスフォースはヨーロッパの他の国でも数百人規模の解雇を実施しようと動いているが、手続きに時間を要するうえにさまざまな利害関係者との調整が必要になると語る。この人物の見方では、ドイツで200人、フランスで300人が対象となっている。
LinkedIn上には、セールスフォースに解雇されたと明かすアメリカの社員の投稿があふれた。これらは主にセールス部門の社員やソリューションエンジニア(通常はプリセールスの職位)などだ。
今年下期にさらに10%削減も?
2023年1月4日、セールスフォースはコスト削減に伴うリストラ計画の一環として、社員の10%をレイオフする計画を発表した。直近で公表されていた同社社員数は7万3461人であるため、最大7000人が解雇されることになる。
Insiderの既報のとおり、幹部らはメールや全社会議を通して、一連のレイオフは数週間続くと思っておくよう社員に対して繰り返し伝えていた。
Insiderがセールスフォースの広報担当者に問い合わせたところ、2月2日のレイオフは同社が1月に発表した人員削減の一環であると認めたものの、同社の全社員が参加するSlackチャンネルから退出した人数についてはノーコメントとした。
セールスフォースが繰り返すレイオフがこれで収束するのかは不明だ。解雇される予定の10%の社員の大半は、既に会社からの通知を受け取っているが、この問題に詳しい人物によると、同社は業績次第で今年下期にさらに10%の人員削減を実施する可能性を検討しているという。別の社内関係者も、より大規模なレイオフの可能性について社内で話されているのを耳にしたと明かす。
一方で、物言う投資家がセールスフォースに群がっている。2022年10月にはスターボード・バリュー(Starboard Value)によるセールスフォース株の大量取得が明らかになった。
スターボードは2022年夏に初めてセールスフォースの幹部数人と接触し、以降、コスト削減策を求めてきた。
この問題に詳しい人物がInsiderに語ったところでは、セールスフォースは今年1月に社員10%を削減する計画を発表するのに先立ち、2022年11月にはセールス部門で数百人のレイオフを実施したという。それ以降も、セールスフォースにはエリオット(Elliott)など物言う投資家が次々に接触しているという。