新しくNISAを始めるなら、ETFの購入を検討すべき4つの理由:「新NISA」でも有効な積み立てのコツ

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現状のつみたてNISAでは投資信託商品が211種類あるのに対し、ETFはなんと7種類しかない。

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  • 2024年からNISAの枠組みが変わる。これを期にNISAに興味を持ち始めた方も多いはずだ。
  • そんな投資初心者はまず、少額で積み立てでき、投資信託が対象商品となる、つみたて枠を選ぶとよいだろう。
  • そのなかでもETF(上場投資信託)は、ぜひ購入検討してもらいたい商品の一つだ。その4つの理由を紹介する。

2024年からNISAの枠組みが変わり、最大1800万円分の投資による利益が非課税となる。この新制度を期にNISAに興味を持ち始めた方も多いだろう。

だが、投資初心者がいきなり個別株に手を出すのは、少々危険だ。数千に及ぶ上場企業のなかから期待できる銘柄を選ぶのは、プロでも至難の業だからだ。

初心者はまず、少額ずつ投資できるつみたて枠を選ぶとよいだろう。もちろん、購入の最終決定は、個人の判断に委ねられる。だが、ドルコスト平均法と呼ばれる時間分散(つまり積み立て)は、投資の「基本の基」だ。

なお、つみたて枠では投資信託が対象商品となる。そのなかでもETF(上場投資信託)は、ぜひとも検討してもらいたい商品の一つだ。一般的にETFは、通常の投資信託よりも節税効果が高く、コストが低く、個別銘柄では実現が難しい分散効果を提供してくれると言われている。

本稿では、そうしたメリットを踏まえ、つみたてNISAでETFを検討すべき4つの理由を紹介しよう。

新旧NISAのつみたて枠の違い

まずは、新旧NISA制度におけるつみたて枠の違いから理解しておこう。 NISAを活用して積み立て投資を行う場合、現状の制度では「つみたてNISA」が適用され、2024年からは「つみたて投資枠」が適用される。

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作図:山口伸

現状のNISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、積み立て投資をする場合は後者を利用することになる。なお現状の制度では両者の併用はできない。

「つみたてNISA」では年間40万円、期間にして20年間の投資による利益・分配金が非課税となる。つまり非課税枠は最大で800万円だ。

一方で2024年1月からスタートする新NISA制度では「つみたて投資枠」が適用される。非課税保有期間はなんと無制限で、つみたて投資枠の年間非課税額も3倍の120万円にもなる。

新NISAでは、個別株などを売買する「成長投資枠」との併用も可能だ。だが、成長投資枠を利用しなければ、つみたて投資枠だけで最大1800万円分の非課税枠を利用できる。

さて、現行の制度で見ると、一般NISAでは上場株式や投資信託などさまざまな商品を選ぶことができる一方、つみたて枠で買えるのは投資信託のみだ。しかも、つみたて枠で買える投資信託は「長期運用に向いている」として金融庁の審査をクリアした商品に限られる。

投資信託は、初心者や個別株を吟味する時間のない忙しい人にとって比較的安全な商品が多く、少額投資できる点が魅力的だ。その中でも筆者は、特にETF(上場投資信託)の購入を検討してもらいたいと思っている。その理由をブレイクダウンしていこう。

ETFを買うべき4つの理由

1.たった7種類と選択肢が限られ、選びやすい

単純かもしれないが、つみたてNISAでETFをおすすめする理由の一つが厳選されたラインナップにある。現状のつみたてNISAでは投資信託商品が211種類あるのに対し、ETFはなんと7種類しかない。

選択肢がたくさんあるのも魅力的だが、通常の投資信託の場合はさまざまな運用会社が提供する商品があり、初心者にとっては何を選べばよいか分からない。対してETFは国内3種、海外4種の計7種類である。

それぞれが異なる国・指数を対象としており、何に投資しているか分かりやすい点も魅力的だ。分かりやすい商品名からその特徴を把握することもできる。

ちなみに東証には281のETFが上場している。つみたてNISAで選ばれた7種類は数あるETFの中でも安全性が高く、長期投資に向いていると言えよう。

2.インデックス型であり、値動きを把握しやすい

ETFをおすすめする2つめの理由がインデックス型商品である点だ。

投資信託及びETFにはインデックス型とアクティブ型がある。インデックス型は株式指数と連動した値動きを目指す商品であるのに対し、アクティブ型は株式指数以上の利益を出すことを目指しているが、リスクは大きい。

つみたてNISA枠で買えるETFは全てインデックス型であるため、概ね株式指数と連動しており、株式指数を見るだけで損益を把握することができる。初心者や各商品の値動きを見る時間がない忙しい方にはおすすめだ。

枠内で買える通常の投資信託も多くがインデックス型ではあるが、比較的マイナーな指数を対象としたものも多い。しかし、つみたてNISA枠のETFは、日経平均株価やTOPIX、S&P 500といった知名度の高い指数を対象としており、素人でも理解しやすいものばかりだ。

3.対象国や対象銘柄数が多く、リスクが分散されている

この7種類のETFは、投資先の国や業種、銘柄数が多く、リスクが分散されている点も魅力的と言える。

国内ETFの一つ「ダイワ上場投信-トピックス」の場合、2170の国内株に投資して運用されている。海外ETFの「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」の場合、間接的にではあるが中国・インド・韓国など投資対象国が複数にまたがっている。

業種別に見てもITや通信サービス、製造業などさまざまだ。ETFだけでなく通常の投資信託も同様とは言えるが、これだけ分散されていれば、世界的なショックは除いて急落する可能性は低いと言えよう。

4.気軽に、少額ずつ、海外投資ができる

通常の株取引で海外株を購入する場合、日本円を現地通貨に換える為替手数料と、国内株より高い売買手数料が取られてしまう。アジア株の場合、手数料だけで購入代金の1%を超えることもある。このように利益を目減りさせる手数料は抑えておきたいところだ。

一方、海外ETFを購入すれば、気軽に海外投資ができる。つみたてNISA枠内の海外ETFであれば買付手数料がかからないのはもちろんのこと、少額で少しずつ海外投資することが可能だ。そのうえ、現地企業の業績を英語の決算書から判断するといった手間も省くことができる。

また、海外銘柄は比較的リスクが高いと言われるが、前記のとおりつみたてNISAでは金融庁の審査を受けた商品が対象であるためリスクは小さいと言える。

まとめ

以上、つみたてNISAでETFの購入を検討すべき理由を紹介した。

つみたてNISAではそもそも買付手数料がゼロのため、ETF特有の手数料が低いというメリットを活かしにくいとの批判もある。しかし選択肢が限られ、初心者にとって選びやすい点は魅力的といえよう。

種類は少ないながらも各商品は異なる分野の銘柄で運用されており、それぞれが特徴的だ。別記事では各商品の特徴と、上手く買うためのコツを紹介しよう。

※本記事は執筆者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定は自身の判断で行ってください。

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