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- 自律型電気飛行機メーカーのパイカは「世界最大のゼロ・エミッション貨物機」を開発した。
- 「ペリカン・カーゴ」と名付けられたこの無人貨物機は、最大180kgの荷物を320kmの距離まで運ぶことができる。
- 創業者兼CEOのマイケル・ノルシアは、この貨物機のオペレーションを、島々を結ぶことから始めたいと述べている。
新たな自動操縦の貨物機が、市場に参入しようとしている
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2023年1月30日、自律型電気飛行機メーカーのパイカ(Pyka)は、同社が「世界最大のゼロエミッション貨物機」と謳う「ペリカン・カーゴ」を発表した
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同社は、農薬散布時の環境への負荷を低減するために製造した農業用飛行機「ペリカン・スプレー」で成功を収めており、今回発表された貨物機はそれをベースに開発された
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創業者兼CEOのマイケル・ノルシア(Michael Norcia)がInsiderに語ったところによると、翼、尾翼、バッテリーなど、ペリカン・カーゴを構成する部品の約90%はペリカン・スプレーのものを利用しているという
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ペリカン・カーゴは「このクラス初の自動操縦飛行機」で、ペリカン・スプレーと同様に遠隔操作される
ペリカン・カーゴを操縦するオペレーター。
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機体に搭載された人工衛星システム「SATCOM」でインターネットに接続され、オペレーターは世界のどこからでもコンピューターで操作ができるとノルシアは説明する
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さらに、不測の事態に備えてバックアップコンピューターなども用意されているという。しかし、問題発生時には、オペレーターが介入することもできる。「パラシュートシステムを開発中で、これがあればオペレーターはかなり簡単に飛行を終了させることができるだろう」
ペリカン・カーゴ
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電気飛行機であることから、燃料ではなく機体の腹の部分に収められた充電式バッテリーで駆動する。充電ステーションがない場合は、バッテリー交換することもできる
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ペリカン・カーゴの航続距離は最大320km。島々を結ぶオペレーションから始めることがベストだとノルシアは考えているが、いずれはカナダなど遠隔地へのオペレーションも行いたいとしている
ペリカン・カーゴ
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「インフラが比較的整っていない地域間で貨物を運びたい」とノルシアは言う。「そして、それを手頃な価格で実現できる方法を模索しているところだ。そうすればこれまで週に1度しか配達されなかった場所に毎日配達できるようになる」
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パイカの貨物機は、1時間当たり15ドル(約2000円)でリースされる。他の小型貨物機の500ドルから1000ドルというコストと比べるとかなり安いとノルシアは言う
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貨物機をリースすると、約2立方メートルの貨物スペースに、最大180kgの荷物を積むことができる。ボーイング747と同じように荷物はノーズドアから積み込まれる
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ノーズドアから荷積みをする飛行機はごくわずかしかないが、ペリカン・カーゴもその1つになった。ノーズドアを持つ機体としては、他にもアントノフ「An-124ルスラン」や…
Russian Defense Ministry/TASS/Getty
…エアバスの「ベルーガ」や「ベルーガXL」…
人工衛星を運ぶエアバス「ベルーガ」。
Airbus
…そして、アメリカ空軍の「C-5ギャラクシー」などがあり、これらの機体では、ヘリコプターなどの大きな荷物でも分解することなく積み込むことができる
2005年、第445空輸航空団初のC-5Aギャラクシーに乗り込む人々。
US Air Force photo by Tech. Sgt. Charlie Miller
これらの機体はペリカン・カーゴよりもはるかに大きいが、大小にかかわらずノーズドアには独特の利点がある
アトラス航空のボーイング747-8に荷物を積み込む様子。
Thomas Frey/picture alliance via Getty Images
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ノルシアによると、見込客の多くは、クレーンなどの機材を用いないと荷積みができないような貨物機だと、荷物が機体にぶつかってダメージを受けることがあるため利用したくないと述べていたという
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ペリカン・カーゴの場合、事前に車輪付きの貨物スレッドに荷物を載せ、機体が到着したらノーズドアからスレッドごと滑り込ませるだけとシンプルだ
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ペリカン・カーゴは最大限に荷物を積んだ状態で、約180メートルの滑走路があれば離陸でき、着陸は舗装路、芝生、土、砂利の上であれば可能だ。そのためラストマイル配送がより多くの場所で利用できるようになる
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現在、ペリカン・カーゴは北カリフォルニアにあるパイカの施設で、限界を試すために砂を積み込んで飛ぶといった「厳しい」テストが行われている
離陸するペリカン・カーゴの実験機。
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これまでに、北米と欧州の3社から80機以上の受注があり、2023年後半には初の商業飛行が行われる予定だ
ペリカン・カーゴ
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しかし、2023年に市場に参入しようとしている自動操縦の貨物機はペリカン・カーゴだけではない。ブルガリアのメーカー、ドロナミクス(Dronamics)は、「ブラックスワン」という貨物輸送ドローンを製造している
Dronamics
同社はすでに欧州連合からの認証を受けており、世界初の「貨物輸送ドローン航空会社」として運航を開始する予定だ
Dronamics
一方、カリフォルニアのスタートアップNatilusは、パイロット不足と貨物輸送による環境負荷に対処するために、自動操縦の貨物機を製造している
Natilus
Source: Natilus