「スポーツ・イラストレイテッド」や「メンズ・ジャーナル」などを発行するアリーナ・グループは、コンテンツの制作にあたってAIに注目している。
Slaven Vlasic/Getty Images for Sports Illustrated
- AIを活用するメディアが増えているが、フィットネスやライフスタイル関連のコンテンツを出版するアリーナ・グループもそれに加わることになった。
- 同社は、生成AIスタートアップのジャスパーおよびNotaと、コンテンツ制作のための契約を結んだと発表した。
- 米バズフィードや米CNETも、コンテンツ制作にAIを活用すると報じられている。
もし体作りをしたいと思って「メンズ・ジャーナル(Men's Journal)」の記事を読み込んだとしても、それはAIプログラムによって再生された古いフィットネスの知識かもしれない。
「スポーツ・イラストレイテッド」や「メンズ・ジャーナル」などのスポーツ・ライフスタイル誌を発行するアリーナ・グループ(Arena Group)は2023年2月3日、記事の制作やアイデアを得るために生成AI(generative-AI)のスタートアップ、ジャスパー(Jasper)およびNotaと提携することを発表したとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。
アリーナ・グループは、古いコンテンツをAIボットに読み込ませて記事を制作するテストを行っているという。例えば、メンズ・ジャーナルの記事「The Best Ways for Men Over 40 to Maintain Muscle」は、メンズ・ジャーナルの「メンズフィットネス」に関する「17年間」のコンテンツをAIに読み込ませた成果を一部利用していると、同社は声明で述べている。
とはいえ、このような記事の制作には人間の編集者が関わっており、「編集チームによるレビューと事実確認」が行われたという注意書きが添えられている。
「AIがジャーナリズムや報道、記事の作成・編集に取って代わることはないが、急速に進歩するAIテクノロジーは、我々のブランドやパートナーにとっての企業価値を生み出すことができる」とアリーナ・グループのロス・レビンゾーン(Ross Levinsohn)CEOは声明で述べている。
このAIボットが制作を手助けしたしたコンテンツは、メディア業界の一部でジャーナリストの仕事ぶりを評価するために使用される読者エンゲージメント指標の面でも成功を収めているようだ。
つまり、このAIテクノロジーをテストするために制作されたコンテンツが、ページビューやその他の指標において「強い読者エンゲージメント」を獲得したとアリーナ・グループは述べている。
AIテクノロジーを使用すると、全体的に「ワークフローの効率が通常の10倍以上」改善されたという。ただし、同社はそのようなワークフロー効率をどのように判断したのか、それと改善度をどのように算出したのか、具体的には述べていない。
同社はAIの利用は拡大する一方だと予想しており、同社が発行する約250の出版物の制作にこのテクノロジーを利用することになるだろうとしている。
OpenAIのGPT-3モデルを使用するジャスパーは、2022年のシリーズAラウンドで1億2500万ドル(約165億円)の資金を調達し、評価額が15億ドル(約1980億円)に達したことで大きな話題を呼んだ。
OpenAIが開発したテクノロジーの流行に乗ろうとしているメディア企業には、他にもクイズ作りにAIを利用する予定の米バズフィード(BuzzFeed)などがある。米CNETもAIを使って記事を書く実験をしているとワシントン・ポストが報じている。