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- 「モンクモード」は起業家やCEOたちの間で人気の生産性を上げるためのアイデアで、TikTokで注目されている。「モンク(monk)」は修道士や僧侶を意味する言葉だ。
- 気を散らすことなく、目の前の仕事に集中するモンクモードは、少なくとも20年前からあるアイデアだ。
- ただ、人によって「モンクモード」のやり方はそれぞれだ。
さまざまな情報あふれるこの世界では、ノイズを無視して仕事に集中するのは簡単ではない。だからこそ「モンクモード」が流行っているのだろう。モンクモードは起業家やCEOたちの間で人気の生産性を上げるためのアイデアだ。
モンクモードとは要するに、携帯電話など他のことに気を散らすことなく、1つのタスクに集中して取り組むことだ。
2022年にTikTokで注目されたモンクモードは、少なくとも20年前から起業家や自己啓発の専門家などの間で流行っていた。Google Trendsのデータによると、2004年以来「モンクモード」の検索が定期的に急伸していて、2023年に入って再び増加している。
今ではモンクモードに関連したアプリやソーシャルメディアのコミュニティ、TikTokの人気チャレンジなどもある。
分析会社Captiv8によると、ソーシャルメディアでモンクモードが注目されるようになったのは、ジェイ・シェティ(Jay Shetty)氏の著書『モンク思考:自分に集中する技術』(2020年)がきっかけかもしれないという。インスタグラムのフォロワー数は1260万人、ポッドキャストも人気のシェティ氏は、この本の中で自身の「モンクモード」体験や、それが自身の集中力を高めるのにどう貢献したかを書いている。
「モンクのように考えるというのは、ただ静かに落ち着いていることではないと伝えたかったんです。それはパターンやつながりを見つけたり、知恵を思い起こさせるようなものを主流文化の中に見出すことなのです」とシェティ氏はガーディアンに語っている。
モンクモードを実践するとなると、そのやり方は人によってそれぞれだ。
アプリ「Bloc」のCEOジョッシュ・ウッド(Josh Wood)氏にとって、モンクモードは「修道士のように孤独を受け入れ、自己鍛錬をする」ことだとInsiderで書いている。具体的には全ての端末の電源をオフにするのだ。ウッド氏はこの方法で、自身のチケット・予約サイトの20ページに及ぶ詳しい計画書をたった1時間で書き上げた。
あるインフルエンサーにとって、モンクモードは3つの「譲れないもの」をベースにしている。1日10分のメディテーション(瞑想)、1日30分の運動、そして酒やドラッグをやらないことだ。
別のクリエーターにとっては、1日12時間、2カ月働き続けることが「モンクモード」だ。それが終わったら、どんちゃん騒ぎをするという。
作家のグレッグ・マキューン氏は2013年、新しい本を書く時にモンクモードを使った。
マキューン氏は9カ月の間、週に5日、午前5時から午後1時まで書いた。周りに自分が書くことに集中していると知らせるため、同氏は自動応答システムを使って、相手に自分が仕事中だと伝えるようにしていたという。こうして書き上げた著書『エッセンシャル思考:最少の時間で成果を最大にする』は2014年に出版された。
モンクモードを試そうとしている人に、ウッド氏はまずは短い時間で始めて、徐々に数時間、数日間と期間を延ばしていくようアドバイスしている。
「これは携帯電話やノートパソコンのことだけではありません。目標の達成に向けて、全ての環境を整える必要があるんです」とウッド氏は話している。