「シボン・キャノピー(Sibon canopy )」は、パナマのコクレ県バレ・デ・アントンでエコツーリズムや環境保護活動を行うキャノピー・ファミリーに敬意を表して名づけられた。
Alejandro Arteaga
- パナマのジャングルで、色鮮やかな新種のヘビが5種発見された。
- そのうちの1種は、俳優のレオナルド・ディカプリオと母親のイルメリン・インデンビルケンにちなんで名づけられた。
- 発見した生物学者は、これらのヘビが金や銅の採掘によって存在を脅かされていることを指摘している。
2人の生物学者が、コロンビア、エクアドル、パナマに生息するカタツムリを捕食するヘビの新種5種を発見した。そのうちの1種は、俳優で活動家のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)と彼の母親にちなんで名づけられた。
生物学者のアレハンドロ・アルテアガ(Alejandro Arteaga)とアベル・バティスタ(Abel Batista)は、南北両アメリカに生息するマイマイヘビ科に属するヘビが、それぞれ別の種を構成しているという証拠が得られたことから、それらのヘビの収集を開始した。
レオナルド・ディカプリオとその母親にちなんで名付けられた「シボン・イルメリンディカプリエ(Sibon irmelindicaprioae)」は、今回発見された中で最も希少な種だ。パナマ東部とコロンビア西部のチョコ・ダリエン・ジャングルに生息する。
Alejandro Arteaga
アルテアガとバティスタは、19匹のヘビのサンプルからDNAを採取して塩基配列を決定し、それぞれの違いを比較した。そのデータを基に作成したマイマイヘビ科の進化系統樹とDNAによって、新種であることが証明された。
彼らの研究論文が学術誌ZooKeysに掲載された。アルテアガは、DNAサンプルの収集だけで1年半かかったが、解析は数日で終わったとメールでInsiderに語っている。
「このプロジェクトを完成させたことで、科学界への貢献とともに、捉えにくく絶滅が危惧される種の保護にも貢献することができ、私のキャリアにおける大きなマイルストーンになった」
カタツムリ専食ヘビを観察する生物学者、アレハンドロ・アルテアガ。
Jorge Castillo
5種の新種のうち、1種は大きなオレンジ色の目を持つ赤橙色のヘビで、「ディカプリオのカタツムリ専食ヘビ(DiCaprio's snail-eating snake)」という愛称で呼ばれている。学名の「シボン・イルメリンディカプリエ(Sibon irmelindicaprioae)」は、ディカプリオの母親であるイルメリン・インデンバーケン(Irmelin Indenbirken)のファーストネームとディカプリオのラストネームが組み合わされている。
生物多様性の保護と研究を推進するカマイ財団(Khamai Foundation)のプレスリリースによると、「露天採掘による熱帯雨林の破壊という問題への関心を高める」ために、ディカプリオらにヘビの命名権が与えられた。
「シボン・イルメリンディカプリエ」
Alejandro Arteaga
ディカプリオが名付けたヘビは「おとなしい」とされ、他の動物からの攻撃に対しても相手を噛んで身を守ろうとはしない。だが「威嚇されると、とぐろの中に頭を隠し、麝香(じゃこう)のような不快な臭いを発することがある」と論文に記されている。
このヘビはパナマ東部とコロンビア西部に生息し、低木やヤシの葉の上など、地上3メートルほどの高さで捕食活動を行う。
発見された5つの新種のうちの1種「シボン・マレイエ(Sibon marleyae)」
Alejandro Arteaga
他の4つの新種には、エコツーリズムや環境保護活動を行うキャノピー・ファミリー(canopy family)、億万長者で環境保護活動を支援するブライアン・シェス(Brian Sheth)の娘、マーリー(Marley)、生物学者で野生動物写真家のホセ・ビエイラ(Jose Vieira)、エコシステムと種の保存に尽力してきたデイビッド・ウェルボーン(David Welborn)にちなんだ名前が付けられた。
新たに発見された5種のカタツムリ専食ヘビの分布図。
Courtesy of Arteaga
残念ながら、今回発見されたヘビは、生息地の森林で金や銅の違法採掘が行われているため、すでにその存在は脅威にさらされていると論文は指摘している。採掘のために多くの森林が切り開かれ、樹上を住みかとするヘビは生息地を失いつつあるのだ。さらに、採掘による水質汚染により、川の周辺に生息するナメクジやカタツムリなどの食料源も失いつつある。
アルテアガは「採掘による森林破壊からこの美しいヘビを救うために行うべきアクションに対し、多くの人が目を向けることを願っている」と語った。