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- アメリカのスタンフォード大学は、次年度から年収10万ドル(約1300万円)以下の家庭の授業料などを免除する方針を発表した。
- スタンフォード大学は現在、年収7万5000ドル以下の家庭の授業料などを免除している。
- アメリカでは、学資援助の拡大や学費負担の軽減に取り組む大学が増えている。
スタンフォード大学は、大学教育をより手の届くものにする方針を発表した。
アメリカのカリフォルニア州にある同大学は2月8日、次年度から年収10万ドル以下の家庭の学部生の授業料や寮・食費を免除する方針を発表した。スタンフォード大学のプレスリリースによると、同大学で現在、こうした免除を受けられるのは年収7万5000ドル以下の家庭で、年収15万ドル以下の家庭は引き続き、授業料に充てるための奨学金が受けられるという。
「スタンフォード大学は全ての学生に、その経済的な環境にかかわらず手の届く教育を提供する」とスタンフォード大学理事会の会長ジェリー・ヤン(Jerry Yang)氏はコメントした。「わたしたちは今回の経済的支援プログラムの拡大がこの方針を継続し、拡充するものだと考えている」という。
インフレに合わせて、スタンフォード大学の学部生の授業料は次年度7%値上がりする —— これにより、寮・食費を含めた学部生の家庭が払う費用は年間8万2406ドルになる。ただ、「必要に応じた経済的支援を受けている在校生については配慮する」と大学側は説明していて、経済状況に変化のない学生は今年度と同額の授業料が見込まれるという。
アメリカでは学資援助を手厚くする大学が増えていて、スタンフォード大学もその1つだ。2022年9月にはプリンストン大学が年収10万ドル以下の家庭については、授業料を全額免除すると発表した。2001年には学資援助から学生ローンを除外し、返済不要の助成金に切り替えていた。
アメリカ各地の大学がこの国の1兆7000億ドルともいわれる学生ローン危機に取り組む中、アマースト大学やハーバード大学、イエール大学など多くの大学がその後、助成金に切り替えている。
「大学の学費高騰は、最も大学進学という貴重な選択肢を必要とする学生にとって、大学進学を手の届かない選択肢にする可能性がある」とアメリカの非営利組織Institute for Higher Education Policy(IHEP)のプレジデントでCEOのマミー・ボイト(Mamie Voight)氏はInsiderに語っている。
「経済的な必要性に基づいた助成金は、より公平な制度への重要な一歩となる」とボイト氏は話している。