2020年にオープンしたリ・グロサリー。食料品業界を大きく変えるかもしれない。
Samantha Delouya
- リ・グロサリーは、米ロサンゼルスで展開する食料品店チェーンだ。
- トレーダー・ジョーズやホールフーズといった競合店とは一線を画し、プラスチック廃棄物ゼロを目指している。
- 再利用可能なガラス容器を持参し、リ・グロサリーで買い物をしてみた。その体験について紹介する。
ロサンゼルスにできた新しい食料品店チェーンを訪ねた。ここはプラスチック包装材ゼロというラディカルなミッションを掲げている
スタジオシティにある店舗は、食料品店というよりトレンディな店構えをしている。
Samantha Delouya
リ・グロサリー(re_grocery)は2020年4月に最初の店舗がオープンして以来、今では3店舗に増えている
今のところ、ロサンゼルスにしか出店していない。
Samantha Delouya
COVID-19のパンデミックが始まったころにオープンしたことから「かなり不安だった」と、リ・グロサリーの共同設立者であるジョセフ・マクリーノ(Joseph Macrino)は述べている。
「保健局になかなか連絡できなかったため、手続きを進めるのが本当に大変だったが、あきらめずになんとか開店にこぎつけた」
リ・グロサリーは、再利用可能な容器に店内の商品を入れてもらうことで、持続可能なミッションを達成させている
「お客が来ないんじゃないかと少し心配だったが、オープン当日にはドアの外に行列ができていた。ロサンゼルスの人々は本当にこのようなショッピングスタイルを待ち望んでいたことが分かった」とジョセフ・マクリーノは言う。
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店舗では再利用可能な容器を販売しているが、客自身が容器を持参することも推奨されている
リ・グロサリーから出るプラスチック廃棄物は「実質的にゼロ」だという。
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従来の食料品店とは異なり、リ・グロサリーの商品はすべて量り売りなので、決められた量の商品を買う必要はない
容器の重さは、商品を詰めたときの全体の重さから差し引かれる。
Samantha Delouya
「もちろん課題もある。一般的な食料品店は個数で販売するが、ここでは量り売りなので、在庫管理が非常に重要になる」とジョセフ・マクリーノは言う。
リ・グロサリーは、ジョセフとローレン(Lauren)のマクリーノ夫妻によって設立された。ローレンの出身地であるオーストラリアでは、再利用可能な容器で食料品を購入するというリフィル(詰め替え)のコンセプトは一般的だという
オーストラリア、シドニーの風景。「誰もがリフィルで買い物できるようにしたい」とローリンは述べている。
Vijay Anand/Getty Images
現在リ・グロサリーは、ロサンゼルスにしか出店していないが、マクリーノ夫妻は拡大を視野に入れている。
「ロサンゼルスだけでなく、南カリフォルニア全域に出店するための資金集めをしているところだ。多くの人が利用できるようにしたい」とジョセフは述べた。
筆者は、スタジオシティにあるリ・グロサリーを訪れた
2023年2月7日、スタジオシティにあるリ・グロサリーの前で撮影。
Samantha Delouya
店内はおしゃれな雰囲気で、普段スーパーで買うような乾物類はすべて扱っている
リ・グロサリーの店内は、従来のような食料品店というより、ロサンゼルスのトレンディーなお店という雰囲気だった
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液体洗剤やシャンプー、コンディショナーも扱っている
液体洗剤などの空きボトルを捨てずに、またリ・グロサリーで詰め替えようと思う。
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シャンプーやコンディショナー、ボディローションなど、種類によっては固形のバーとして、紙に包まれて売られていた
ローレンによると、ほとんどの商品が紙袋で配達されるので、リサイクルしやすいという。
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「野菜スープ」が粉末状になっているなど、初めは少し戸惑った
普段、液体で買っているものが、粉末になっているものもあった。
Samantha Delouya
各商品のQRコードをスマートフォンなどで読み込むと調理方法と栄養成分が表示されると店長が説明してくれた
粉末状の野菜スープの使い方を説明した画面。
re_grocery
私が買い物をしていると、初めて訪れたという2人のお客が入ってきた。彼らは再利用可能な容器で買い物をするというコンセプトをすぐに理解したようだった
「店を始めるとき、お客にこの店のコンセプトを説明し、理解してもらう必要があるだろうと考えていた。ところがオープンしてみると、特にロサンゼルスの人々は、このようなものを待ち望んでいたのだと感じた」とローレンは言う。
Samantha Delouya
私が訪れた店舗では、主に乾物を扱っているが、小さな冷蔵コーナーもある
店長によると、新商品を取り入れるときは、顧客の要望を重視するという。例えば味噌も、要望があったので取り扱うようになった。
Samantha Delouya
リ・グロサリーでの体験は、これが食料品を購入する未来のスタイルになると確信させるものだった
リ・グロサリーで購入した商品の一部。買い物をしてプラスチック廃棄物を出さなかったと思えるのは気分がいい。
Samantha Delouya
しかし、ホールフーズ(Whole Foods)やトレーダージョーズ(Trader Joe's)のような大手食料品チェーンに対抗するには、リ・グロサリーでも生鮮食品を扱う必要があるだろう
この店舗ではドライフルーツは扱っていたが、新鮮なものはなかった。プラスチック廃棄物ゼロの目標を維持しながら、新鮮な商品を販売することは、リ・グロサリーにとって難しい挑戦になるかもしれない。
Samantha Delouya
必要な分だけ購入するというのはすばらしいことだと思う。むしろそれが普及していないことに驚きを感じる。リ・グロサリーは、食料品業界を大きく変えるかもしれない
必要な分だけを購入し、ゴミを出したくない。
Samantha Delouya