マーク・キューバン氏。
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- ビリオネアで起業家のマーク・キューバン氏は、ChatGPTのような人工知能(AI)ツールはネット上の誤った情報を悪化させるだろうと警鐘を鳴らしている。
- キューバン氏は、ツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)はすでに誤情報に影響されやすく、人間がモデレーション(投稿管理)をしていると話した。
- 「こうしたツールが一度ひとり歩きし始めると、機械がなぜ、どのように決断を下しているのか、明確にすることが難しくなるだろう」と同氏は語った。
ビリオネアで起業家のマーク・キューバン氏は、ChatGPTや人工知能(AI)チャットボットの台頭はネット上の誤った情報を悪化させるだけだと警鐘を鳴らしている。
CNBCによると、アメリカのコメディアン、ジョン・スチュワートのポッドキャスト『The Problem with Jon Stewart』に出演したキューバン氏は、ChatGPTのようなAIツールが進化するにつれ、ネット上の誤情報は「悪化する一方だ」と語った。
キューバン氏は、人間によるモデレーションを導入しているにもかかわらず、ツイッターやフェイスブックといったSNSはすでに誤情報の影響を受けやすい状態にあると話している。「こうしたツールが一度ひとり歩きし始めると、機械がなぜ、どのように決断を下しているのか、明確にすることが難しくなるだろう」と同氏は語った。
AI技術はこの年明け、突然ブームになった。2022年11月に公開されたOpenAIの対話型ツール「ChatGPT」が人気になったことが大きい。OpenAIにはその後、マイクロソフトが100億ドル(約1兆3200億円)を投資し、それがChatGPTの人気をさらに高めた。
ChatGPTは投資アドバイスを与えたり、学術論文を書く能力で、この世界を感心させた。また、エヌビディア(Nvidia)やモービルアイ(Mobileye)、アンバレラ(Ambarella)といった半導体企業の株価を上昇させ、グーグルや中国のバイドゥ(百度)といったライバル企業間の競争を激化させた。
ただ、学者たちはChatGPTのようなプラットフォームが誤った情報をはじき出す可能性があると警告している。直近ではグーグルのAIチャットボット「Bard」が示したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)に関する質問への回答例に誤りが見つかっている。
キューバン氏によると、こうした"間違い"はAIの技術がまだ初期段階にあることを示している。ただ、これはネット上で目にした情報が本当に正しいかどうか、必ずしもファクトチェックしない人々にとっては問題となり得る。
「これは我々の世代やX世代、それより上の世代には理解できないだろう。Z世代や彼らよりも若い世代はこうしたことに慣れているだけでなく、ブロックする方法も知っている… 彼らはこうした問題に詳しい」とキューバン氏は話している。