Billie Barnes/Remax of Sedalia
- ミズーリ州オッタービルにある5ベッドルームのツインドームハウスが、34万8421ドル(約4690万円)で売りに出されている。
- 現オーナーのマイケル・ヴァン-デヴェンダー氏によると、自身のSFを愛する気持ちが嵩じて、このような形の家を建てるに至ったという。
- この家屋の壁の厚さは10インチ(約25.4センチ)近くあり、コンクリート、ウレタンフォーム、ラバーの3層構造になっている。
ミズーリ州の広大な敷地に建つツインドームハウスが、34万8421ドル(約4690万円)で売りに出されている。その外観は未来的、あるいは宇宙からやってきたかのようだ
Billie Barnes/Remax of Sedalia
外観から受ける印象は、決して偶然の一致ではない。この家のオーナーは、SFの大ファンなのだ。
「SFの世界では、未来の家はどんな姿をしているだろうか? ドーム型だ」とInsiderに話すのは、この家のオーナー、マイケル・ヴァン-デヴェンダー(Michael Van Devender)氏だ。「しかもこれは、単なる空想の世界の産物でもない。ドームは実際に、多くの意味で、従来型の住宅よりも優れている」
ソフトウェアエンジニアとして働くヴァン-デヴェンダー氏と、システムアナリストの妻は、家族で暮らす家を建てようと思い立ち、一緒に設計を考えることにした。
「妻と私は、数年を費やして、さまざまなアイデアを調査・検討し、設計図をスケッチし、家族や友人、専門家に助力を求めた。それらすべてが徐々に結実し、今あるような家の設計にたどりついた」とヴァン-デヴェンダー氏は語る。
ツインドームハウスの壁は、コンクリートの内壁と、分厚いラバーの外壁の間にウレタンフォームが挟まれた3層構造だ。さらに鉄筋を入れて強度を高めている
リビングエリア。
Billie Barnes/Remax of Sedalia
ドーム部分の構造は、モノリシック(Monolithic)が設計を担当した。ヴァン-デヴェンダー氏によると、テキサス州に本社を持つ同社は、ドームの建設に特化した企業だという。
ツインドームハウスの壁は3層構造で、厚さは10インチ(約25.4センチ)近くある。
この家は、エネルギー効率に関しても優秀だ。モノリシックのウェブサイトによると、一体型構造のドームでは「同サイズの通常方式で建設された建物に比べて、冷暖房に要するエネルギーが50%節約できる」という。
「天候を問わず、気温を一定に保つ機能に非常に優れていて、それが光熱費の大幅削減というメリットにつながっている」とヴァン-デヴェンダー氏は説明する。
「壁が厚いおかげで、家の中はとても静かだ。しかも、メンテナンスは基本的に必要ない」
オーナーによると、ツインドームハウスの建設には9カ月を要したという
オープンタイプのキッチン。
Billie Barnes/Remax of Sedalia
「建設を始める1年前に土地を購入した。当時はまだ設計に手を入れているところだったので、区画の形や電線や水道管、ガス管の位置に合わせて間取りを再検討するのもそれほど大変ではなかった」とヴァン-デヴェンダー氏は振り返る。
物件情報によると、ミズーリ州オッタービルにある5ベッドルームのこの家は、2016年に竣工している。
ドーム型をしているため、室内の壁や天井は湾曲している。家屋は2つのドームをつなげた形状で、小さい方のドームの真ん中には廊下が通っており、その両側に居室がある。この廊下の端は、大きい方のドームのオープンタイプのキッチンとリビングエリアにつながっている。
ドーム型の形状やコンクリートと鉄筋の強度の高さから、この家は、危険な気象災害にも強いという
キッチン。
Billie Barnes/Remax of Sedalia
この家が建つアメリカ中西部では、竜巻が頻繁に発生するが、このツインドームハウスは「必要な時には最高の避難場所になる」と、物件情報には書かれている。
ヴァン-デヴェンダー氏によれば、これまで竜巻に遭遇したことはないとの話だが、マイクロバーストは、引っ越してから間もない時期に一度経験したという。雷雲に伴って突然発生する強烈な下降気流のことだ。
「我が家では、裏庭の木が1本、根こそぎにされた。他には、隣の家の屋根に被害が出たし、別の家にあった、大きな鋼鉄製の納屋が破壊された。鉄製パネルが吹き飛ばされて、かなり広いエリアにばらまかれ、地面に突き刺さっていた」と、この時の様子を同氏は振り返る。「うちのドームは、ちょうど(マイクロバーストの)進路上に位置していたが、空調機器が故障しただけで済んだ」という。
親族の家に近いアーカンソー州に家族とともに引っ越すため、オーナーはこの家を売ることにした
ドームハウスの一室。
Shane Weber
「夫婦ともに、仕事が完全リモートに移行したうえに、3人目の子どもができたので、親族の家に近いところに引っ越すことに決めた。正しい選択だったが、家族全員、いまだにドームハウスを恋しく思っている」とヴァン-デヴェンダー氏は語る。
不動産プラットフォーム、リアルター・コム(Realtor.com)のデータによると、ドームハウスがあるミズーリ州オッタービルの住宅価格の中央値は14万ドル(約1880万円)だ。
近隣のエリアでは現在、1世帯のファミリー向けの住宅が4軒売りに出されており、価格は8万7000ドルから38万5000ドル(約1170万円から5180万円)。ツインドームハウスは、このエリアで2番目に価格の高い物件だ。敷地は6エーカー(約2.4ヘクタール)で、最も広い。
この物件の担当者は、リマックス(RE/MAX)のシデーリア支店に所属するビリー・バーンズ(Billie Barnes)氏。
リモートワーカーで、安心して暮らせる静かな場所を探している人にはぴったりな物件だとオーナーは考えている
バスルーム。
Billie Barnes/Remax of Sedalia
この家には、光ファイバーの高速インターネット回線とイーサネットが付設されているため、リモートワーカーの在宅勤務にはうってつけだ、とヴァン-デヴェンダー氏はアピールする。
さらに「住んでいる土地のものを食べて暮らしたい人なら、果樹園や肥沃な土壌が気に入るはずだ。また、鹿がたくさんいる森や、ニワトリやヤギが飼える、フェンスで囲まれたエリアもある」という。
次のオーナーが自分たちと同じくらいこのツインドームハウスを気に入ってくれることが、現オーナーの望みだ
上空から見たツインドームハウス。
Shane Weber
「上の子どもたち2人には、いつまたあの家を訪れることができるのか、新しいドームハウスはいつ建てるのか、とひっきりなしに尋ねられる」とヴァン-デヴェンダー氏は語る。
「妻とはいつも、『持って来られるのだったらそうしたのに』とジョークを言っているほどだ。この家が売れ次第、新しいドームハウスを建てるつもりだ」