ジャッキー・ギルバートとフリッツ・ギルバート夫妻
フリッツ・ギルバート氏による提供
- 55歳で早期退職を果たしたフリッツ・ギルバート氏は、「4つの賢い選択」が快適なリタイアにつながったと語る。
- 22歳で大学を卒業してすぐに貯金を始め、昇給したときは昇給分を貯蓄に回したことで、将来への備えができたという。
- パーソナルファイナンスについて学んだことは、価値観が合う女性と結婚したことと同様、目標を達成するための支えになった。
2018年、当時55歳だったフリッツ・ギルバート氏は、33年間働いたアルミニウム業界に別れを告げてリタイア生活に入った。彼の退職は短期間で行われたことではない。数十年の歳月をかけて成し遂げられたことだ。
現在、「リタイヤメント・マニュフェスト(Retirement Manifesto)」というブログを運営しているギルバート氏は、いまの快適なリタイア生活を手にするためにいくつかの工夫をしたという。
彼を成功に導いた4つの戦略を以下に紹介しよう。
1. 昇給したら昇給分を貯蓄に回した
ギルバート氏は、昇給にともなって出費を増やしたりはせず、昇給分をすべて貯蓄に回すようにした。
「給料が増えたら、増えた分は基本的に貯蓄に回した。おかげでライフスタイル・インフレに陥らずにすんだ。でも、倹約に努める一方で、人生を楽しむことも忘れてはない」と、彼はInsiderに語った。
ライフスタイル・インフレ、つまり収入の増加にともなって支出が増えることに関しては、多くの専門家が警鐘を鳴らしている。特に、社会に出たばかりの人はこの状態に陥ることが多いという。ギルバート氏は、ライフスタイル・インフレとはつまり「バランス」の問題だと述べる。
ライフスタイル・インフレを避けたことで、充実した日々を送りながらも退職後の資金を貯められたと彼は語った。「うまくバランスを取れたのだと思う」
2. 大学を卒業してすぐに退職後の資金を貯め始めた
ギルバート氏は、退職後の資金を貯めるという考えを即座に実行に移した。そのおかげで、世間一般の人が退職する65歳を迎える前に隠退生活を謳歌できたという。
「とても幸運だった。22歳のときに大学を卒業し、最初の会社に就職したが、入社してすぐに確定拠出年金(401k)に加入。掛金は最低でも雇用者拠出の対象になる金額に設定した」
雇用者拠出の対象になる最低限の金額を掛金にすれば、生活が圧迫されることはなく、しかも会社からもらえるお金を利用して自分の資産を形成できる。この作戦は実に効果的だったとギルバート氏は振り返る。
さらにこうした資産は、複利の効果で時間とともに雪だるま式に増えていく。早く始めれば、そのぶん複利の効果も長く続くのだ。
「必要なのは、複利の効果を得るための時間だ。若いときの貯金のチャンスは、逃したら二度と戻ってはこない」
3. お金のこととパーソナルファイナンスのことを学べるだけ学んだ
ギルバート氏は、パーソナルファイナンスについて必死に学んだ経験がリタイアの成功につながったと言った。
たとえ専門家の力を借りられる場合でも、自分なりにある程度の知識を身につけておくことは重要だ。「金融のプロにお金を払えば、いつでも力になってもらえるだろう。それ自体は何も悪いことではない。でも、それをデフォルトにするのはやめたほうがいい」とギルバート氏は語る。
さらに彼は、あらゆる人に対して、独学で勉強しておくべきだと勧めてもいる。「パーソナルファイナンスの実務的な基礎知識は、生きていくうえでとても大切なものだ。雑誌や機関誌に目を通し、ニューズレターもいくつか購読したほうがいい。主体的に学ぶ必要があるのだ。自分のお金のことを誰よりも気にかけているのは、自分自身なのだから」
4.同じ目標をもつ相手と結婚した
ギルバート氏は、早期リタイアを実現するにあたっては、妻のジャッキー氏の存在が欠かせなかったと語る。浪費をせず、同じ目線で考えてくれた妻がいたからこそ、いまの生活を手に入れられたという。
「私が手にした幸運の一つは、良い結婚をしたことだ。これは金銭的な意味で言っているわけではない。物質主義的かそうでないかという点で、価値観が似通っている相手と結婚できたのだ。価値観が同じ配偶者をもつことは、輝かしい人生、輝かしいリタイアのために不可欠だと私は思っている」