楽天・三木谷会長の「目標」にこのままでは17年かかる…楽天モバイル、起死回生の策は

決算会見

楽天グループは2022年度通期決算を開示した。

出典:楽天グループ

楽天グループの赤字が止まらない。2月14日に発表した2022年12月期第4四半期決算では、3728億円という同社史上最大の赤字となったことは、報道各社が取り上げた。

ECや金融などは順調に成長しているものの、楽天モバイルの「単体で4593億円の赤字」がグループ全体の足を引っ張っている。

CMから口コミへ、楽天モバイルの構造改革

三木谷氏

楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏(2022年3月撮影)。

撮影:小林優多郎

MNO(モバイル通信事業)での契約回線数は451万8000回線。2022年11月からの2カ月間で7万2000契約しか増えていない。

かつて、三木谷浩史会長は1200万契約を目標に掲げていたが、このペースでは目標達成に17年近くかかる計算となってしまう。。

なかなか回線数を稼げない中、楽天モバイルが黒字化に向けて着手しているのが、コスト構造の改革だ。

これまで、テレビCMを中心としていたマスマーケティングを、「リファラルマーケティング」というユーザー間の紹介によって契約者数を増やすという手法に転換。2月15日からは紹介した人に楽天ポイントを7000ポイント、紹介された方には3000ポイントを付与するキャンペーンを展開中だ。

楽天モバイル キャンペーン

2月15日から始まった新キャンペーン。

出典:楽天モバイル

三木谷会長は「我々はすでにネット中心に切り替え、効果が出ている」と語る。

実際、楽天グループのほぼすべてのサイトやアプリのなかで楽天モバイルへのバナーを掲載。三木谷会長は「1日で130万人ぐらいが遷移している」と語る。

加えて「モバイルの料金をポイントで支払ったらほとんどタダになることが理解されていない。口コミで広げたい」と狙いを話す。

今後はオンライン契約で、ワンクリックで加入、eSIMをアクティベーションできる仕組みを投入するという。

ネットを重視したマーケティングにシフトしていくなかで、当然のことながら、リアル店舗は縮小していく方向にある。

三木谷会長は「(出店計画は)基本的には採算性を見ながら考えていきたい。ただ、楽天モバイルは70%くらいの方がオンラインでサインアップしていく。今後はどちらかというとオンラインを重視していく。採算が黒字の店舗は残し、赤字のところはクローズしていく」とシビアだ。

先日も、郵便局内に出店していた店舗を200店、閉鎖すると発表したばかりだ。今後も、街中にある楽天モバイルショップが姿を消していくことになる。

また、KDDIへのローミング接続もコスト要因で、現在は全体の4%ほどのデータトラフィックをKDDI網に依存している。

プラチナバンドを獲得し、人口カバー率を上げることで、KDDI網へのローミング接続料の負担を減らしたい考えだ。 

設備投資が一巡すれば、それだけコストは抑えられる。楽天の資料によると将来的には月間150億円、年間で約1800億円規模のコスト削減が実現する —— としている。

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