2012年、コロラド州デンバー南東部にあるセブンイレブンの正面入り口に自動車が衝突した。
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- アメリカでは、車が建物に衝突する事故が驚くほど頻繁に起こっている。その回数は1日に100件以上だという。
- そのうちの半数近くが人身事故で、10件に1件は窃盗犯によるものだ。
- セブンイレブンでは、こうした衝突事故が、平均すると毎日1件は起きている。
2017年のある水曜日、匿名希望で「カール」と自称するシカゴの男性は、地元のセブンイレブンに立ち寄り、いつものコーヒーを飲んで、相乗りで出勤するための車を店の外で待っていた。すると、駐車スペースに車を停めたドライバーが、ブレーキではなく誤ってアクセルを踏んだため、カールの足は壁と車にはさまれてしまったと弁護士が述べている。
カールはこの事故により両足を失い、セブンイレブンが固定された車止めを設置していれば防げた事故だとして同社を訴えた。そして2023年2月6日に行われた審理前協議で、イリノイ州史上最高額となる人身事故の和解金9100万ドル(約120億円)が支払われることになったとNBC系列のローカル局が報じている。
カールの弁護士が、アメリカ国内にあるすべてのセブンイレブンで2003年から2017年までの15年間に発生した衝突事故のデータを入手したところ、その件数は全部で6253件、1日平均1件以上だった。頻発する理由のひとつは、その店舗数の多さにある。セブンイレブンはアメリカとカナダに1万3000店以上あるのだ。
それでも、全米のあらゆる店頭で起こる事故の総数に比べれば、セブンイレブンでの1日平均1件の事故は、実はごくわずかでしかない。
店頭安全評議会(Storefront Safety Council)によると、全米で1日に100台以上の車両が建物に衝突しており、その半数以上が小売店、レストラン、コンビニエンスストアで発生しているという。それらの事故により毎年、1万6000人が負傷し、2600人が死亡していると同評議会は推計している。
2022年3月11日、ワシントンDCにあるレストランの屋外ダイニングスペースにSUVが突っ込む事故が発生し、複数の負傷者が出た。
Craig Hudson for The Washington Post via Getty Images
また、事故の40%以上は「ペダルの踏み間違い」などのドライバーのミスによるものだが、10件中1件は、窃盗犯が商品や現金、ATM自体を盗むために、故意に車両ごと建物に突っ込んだものだと考えられるという。
「バナナを盗るために(車で店舗に突っ込み)何千ドルもの損害を与えることもある。いや、本当にバナナ1本のためにだ」と研究者は記している。
人と建物を保護する最善の方法は、店舗の前に金属製の円柱を柵のように設置することだろう。
「ボラード(車止め)を設置すれば、この問題はほとんど解決する」と、店頭安全評議会の共同設立者であるロブ・ライター(Rob Reiter)はCBSシカゴに語っている。
「この事故は、誰かが800ドルほど使って(ボラードを設置して)いれば起きなかったことだ」