高価格リスキリングの“ブートキャンプ”が日本上陸。アメリカでは個人向け190万円コースも

ロジャー・リーの写真

日本上陸を発表したGeneral Assemblyのロジャー・リー氏。

撮影:横山耕太郎

欧米やアジアなどの世界10カ国で展開するスキリングサービス・General Assembly(ジェネラル・アセンブリー、以下GA)は2023年2月16日、記者会見で日本への本格上陸を発表した。

実際に企業で活躍する社員らを講師として招き、対面式で実践的なプログラムを提供するのが特徴だという。

リスキリングサービスとしては、Udemy(ユーデミー)やSchoo(スクー)などオンラインで受講するサービスよりも受講コストは高くなる。アメリカでは個人向けと法人向けにサービスを展開しており、知識のない状態から大手テック企業への転職を目指す、個人向けのコースでは200万円近いコースもある。

日本では法人向けに特化

グラフ

GAは、GA卒業生がグーグルやマイクロソフトへの就職実績が多いとアピールする。

提供:General Assembly

GAは12年前に教育に関して新しい手法、“テクノロジーに関するブートキャンプ”を発明した企業。日本でも大きなチャンスがあると思っています」

来日したGAのチーフ・セールスアンドマーケティング・オフィサーのロジャー・リー氏は、記者会見でそう語った。

GAは2011年に創業。世界15カ国で対面型のリスキリング講座のキャンパスを持ち、アジアではシンガポール、シドニー、バンコク、マレーシアなどで展開しており、受講生は14万人を超えるという。

海外では個人向けのプログラムも展開するが、日本市場ではまず法人向けプログラムに特化する。

提供するプログラムは、営業戦略部門などの社員を対象にしたデータ分析基礎講座(40時間)や、新規事業の担当者らを対象にしたUXデザインの基礎講座(40時間)、管理職を対象にしたリーダーのためのデータ&デジタル基礎講座(16時間)、全社員を対象にしたデジタル技術活用基礎講座(17時間)などを予定している。

実践重視のプログラム

六本木ヒルズの写真

GAは六本木ヒルズなどで知られる森ビルとパートナー契約を結んだ。

GettyImages

GAは日本展開の足がかりとして、不動産会社大手・森ビルと戦略的パートナーシップ契約を結んだ。

森ビル側は、森ビルが提供するオフィステナントの企業らにGAのプログラムを提案するほか、GA受講者のコミュニティの拠点となるキャンパスをビル内に設置する予定という。

森ビルではこれまでに、社員・役員のうち約170人を対象にGAのリスキリングプログラムを実施した。

「例えば解析につかうデータは、実際に六本木ヒルズの商業データを使うなど、極めて実践的な内容だった。すぐに社内でジョブチェンジするなどの事例はないが、日々の業務効率が向上する効果があった」(森ビルの企画推進部長・竹田真二氏)

受講コストは高額なのか、適切か

アジア太平洋地域の事業責任者を務めるGAのライアン・マイヤー氏

アジア太平洋地域の事業責任者を務めるGAのライアン・マイヤー氏。

撮影:横山耕太郎

気になるのはコストだ。

日本における法人契約の費用については、「企業規模や内容によって違うため回答できない」(GA担当者)とする。

ちなみにアメリカでは、初学者が有名テック企業への入社を目指す、“個人向け”の全480時間のコースの費用は1万5000ドル(約195万円)。日本では法人向けプログラムのみを提供するため、アメリカの個人向けプログラムと価格は違うものの、かなり高価格だ。

アジア太平洋地域の事業責任者を務めるGAのライアン・マイヤー氏は次のように話す。

「日本ではUdemyなどのオンラインサービスが多く使われているが、Udemyはリスキリングのファーストステップで、個人で学ぶものが多い

一方でGAはコストは高いかもしれないが、プログラムを終えた翌日から、社員が新しい業務ができるようになる。費用は高いかもしれないが、費用に対する効果は高いと考えている」

日本は「社員を育てる需要高い」

プログラムの内容

データ分析のコースのプログラム。

提供:General Assembly

日本の市場について前出のライアン・マイヤー氏は「法人が主導するリスキリング需要が高い」と指摘する。

「社員を家族のように考え、終身雇用が根強い日本のような国は珍しい。他国では個人が転職のためにリスキリングする傾向があるが、日本では会社が社員に必要なスキルを身に付けされるサービスのニーズがある」

導入企業数や利用者数などの具体的な目標について、コメントは得られなかったものの、ライアン・メイヤー氏は「会社ではなく個人的な目標」と前置きした上で次のように話した。

「2023年は日本を代表する企業の3〜5社と、森ビルと結んだような新しい取り組みができるパートナー契約を結びたい。日本での展開は始まったばかり。数カ月後、またいい報告ができればと思っています

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