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- ジェネレーティブAIは、人工知能(AI)の一種で、文章や画像など、新たなコンテンツを生成することができる。
- フリーランサーたちは、AIを活用して生産性を上げ、より多くのプロジェクト引き受け、収入を増やしている。
- ジェネレーティブAIを使って数千ドル稼ぐことができる副業6つを紹介しよう。
ピッチデックの作成
ラリー・ランドストームさんは、アーカンソー州を拠点とする牧師で、週2、3本のピッチデックを作っている。価格は1本500~1000ドル。
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ピッチデックとは、スターアップが投資家らに、自社のアイデアを売り込み、出資を募るのに使うものだ。企業の情報と包括的な物語を組み合わせた、スライド形式を取るものが多い。
アップワーク(Upwork)のようなサイトをスクロールすると、勝てるピッチデックを作ってくれる人を探している企業が何百と並んでいる。
OpenAIのテキスト生成チャットボット、ChatGPTと、AIを使ったストーリーテリング・ツール、Tomeのようなテクノロジーがあれば、フリーランサーはピッチデックを量産することができる。ラリー・ランドストーム(Larry Lundstrom)さんは、アーカンソー州を拠点とする牧師で、週2、3本のピッチデックを作っているとInsiderに語った。価格は1本500~1000ドル(約6万7000~13万4000円)。
書籍の出版
アマー・レシさんはChatGPTやMidjourneyのようなAIツールを使って児童書を出版し、すでに1330冊以上が売れている。
Ammaar Reshi
ChatGPTの分かりやすくシンプルな文章を作る能力と、MidjourneyやDALL-E 2といったアート生成AIに囲まれ、児童書の出版はかつてないほど容易になっている。
アマー・レシ(Ammaar Reshi)さんは、金融テック企業のブレックス(Brex)でプロダクトデザイナーとして働いている。彼女はChatGPTとMidjourneyを使い、『Alice and Sparkle(アリスとスパークル)』というイラスト入りの児童書を72時間で書いた。
同書はアマゾン(Amazon)、バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes and Noble)、ウォルマート(Walmart)で販売中だ。レシさんはInsiderに対し、同書は12月の発売以来、すでに1330冊以上売れており、これまでに2600ドル(約35万円)売り上げているが、アマゾンの取り分が多いと強調した。
メーガン・ロイスト(Meagan Loyst)さんは、ジェンZ VCs(GenZ VCs)と呼ばれる若年層の投資家たちのためのオンライン・コミュニティーの創業者だ。ChatGPTとDALL-E 2を使い、2時間かからずに児童書を自費出版した。ロイストさんの著書『Show Me What AI Can Do!(AIって何ができるのか教えて!)』は、アマゾンで販売中。価格は2.99ドル(約400円)。
外国語で作られた動画の吹き替え
外国語動画の吹き替えは、儲かりそうな副業だ。
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ネットフリックス(Netflix)のようなストリーミング企業、ユーチューブ(YouTube)やテイックトック(TikTok)のコンテンツクリエイターは、動画を多くの言語へ翻訳して世界の視聴者に届けるため、音声吹き替え業者に頼っている。
AIツールが増え、フリーランサーたちは吹き替えでも腕を試すことができるようになった。
ユーチューバーのクリス・マッコレー(Kris McCauley)さんは、オンラインでお金を稼ぐ方法を紹介する動画で、登録者を9万人以上獲得している。最近では、スペイン語版のチャンネルを始めた。
1月5日に公開された動画で、マッコレーさんは、最初はスペイン語への翻訳をトランスレーション・ドット・コム(translations.com)に頼ったと述べた。ユーチューバーに人気なのだという。100分間の動画の吹き替えの見積りは、4000ドル(約54万円)だった。
その後、動画を翻訳して字幕を付けるソフトウェア、ノバA.I.(Nova A.I.)を見つけたという。ノバA.I.の「プロ(Pro)」プラン —— 月額18ドル(約2400円) —— では、300分間の動画を75言語に翻訳することができるとウェブサイトに記載されている。
この新たな方法で数百ドル節約できているが、相変わらず外部翻訳業者にも頼ってはいるとマッコレーさんは述べた。彼は、それでも野心的なフリーランサーならば、動画翻訳の副業ですぐに利益を出すことができるだろうと強調した。
記事の執筆
ヘンリー・ウィリアムさんは、ロンドンを拠点とするフリーランスライターで、ChatGPTを使って執筆したところ、最低でも615ドルは請求できそうな記事が完成した。
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ChatGPTの言葉を選ぶ能力は、人々に衝撃を与えている。そのため、物書きでお金を稼ごうとしている人にとって有益なツールになりそうだ。
ヘンリー・ウィリアム(Henry Williams)さんは、ロンドンを拠点とするフリーランスライターで、ChatGPTを使って、マーケティングに関する記事を執筆した。「ぞっとした」ことに、ChatGPTは30秒かからずに600語の記事を書き上げた。
トーンには人間味がなく、構成も全体として洗練されていなかったものの、「キー・ポイント、文法、統語はいずれも正確だった」とウィリアムさんは強調した。
少し手を加えたところ、自分が書いたとしたら615ドル(約8万2000円)は請求できそうな記事になったという。
履歴書の作成
ChatGPTを使った履歴書の作成は、手軽で儲かる副業だ。
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アップワークのようなサイトでは、フリーランスのレジュメライターたちが自身のサービスをアピールしている。価格は1時間25~65ドル(約3400~8700円)程度だ。
そして、その作業のほとんどをChatGPTに委託すると、履歴書の作成は楽で稼げる副業になる。
「ChatGPTは、ほとんどの人よりも良いカバーレターと履歴書を書くことができる」と、ベンチャーキャピタリストでワークライフ・ベンチャーズ(Worklife Ventures)の創業者、ブライアン・キンメル(Brianne Kimmel)さんは述べた。
キンメルさんが「無駄のない会社(lean firm)」と呼ぶ唯一のジェネラル・パートナーとして、キンメルさんとチームは多くのフリーランサーと仕事をしており、特に、新たなツールの早期利用者を探しているという。
「AIには本当に興奮している。誰もが簡単にスキルを身に付けるのに本当に役立つ新たなテクノロジーが、遂にやってきたと感じている」とキンメルさんは述べた。
「そして、そうしたスキルを実際に収益化することができる、新たなテクノロジーだ」
映画の制作
ジェネレーティブAIツールは、映画の宣伝や短編アニメを作るのに役立っている。
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映像作家志望で本業が忙しい人たちは、ジェネレーティブAIツールで情熱を追い求めやすくなったと感じている。ジョーダン・ポブレテ(Jordan Poblete)さんは、企業戦略家で映画制作が趣味だ。ChatGPTとDall-Eを使って、独立系映画の宣伝を作っている。「我々の映画には実世界では作られ得ない魔法的リアリズム、あるいは魔法的リアリズムの局面がある」とポブレテさんは述べ、Dall-E 2が特にしっくりくると付け加えた。
ポブレテさんは2月末にも、プロデューサーたちにこの映画を売り込む計画だ。この映画が実際にどれ程のお金を生み出すかは分からないがヒットを望んでいると話している。
レシさんはAIツールの中でもChatGPTとMidJourneyを使い、6時間以内で短編アニメを作った。この動画は1月にツイッター(Twitter)にアップされて以来、すでに700万回以上再生されている。
レシさんはInsiderに対し、今すぐ短編アニメに進出する計画はないと語ったが、「収益化に十分値する良いアイデアがあれば(そして本業の後にもっと時間を捻出できれば)、その時はもちろん! 」と述べた。