結局のところ、税金という煩わしい作業にどれだけ「耐えられるか」なのだ。
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- 自分で確定申告をするのには時間も忍耐も必要だ。
- どちらもないなら税務のプロに頼む価値はあるだろう。だが、もちろんそれにはお金がかかる。
- 複数個所から所得を得ている、給与所得以外に事業所得がある、あるいは、大きな資産を複数保有している場合もプロに相談すると良い。
日本には年末調整というとても便利な制度がある。給与所得者ならば年末調整を通じてその年に払う税金の過不足を会社が計算してくれるので、ほとんどの人は確定申告をしなくても済む。
だが、人によってお金の状況は違う。
年間20万円以上の収入を得ている副業を行っている人、不動産収入や株取引での所得がある人、年間10万円以上の医療費がかかっている人などは、フリーランスや自営業などの個人事業主と同様に確定申告が必要だ。
あるデータによると、プロに頼らず、自ら確定申告をした人の割合は9割を超えるという。だが、自分で確定申告をするのか、税理士に頼むのかは単にお金だけの問題ではない。結局のところ、税金という煩わしい作業にどれだけ「耐えられるか」なのだ。
本記事では、確定申告を行う際に、自分で申告するべきか、プロに頼むべきかを判断する基準を整理してみた。
自分の力で申告した方がいい人
あなたがもし次の状況に該当する場合は、自分で確定申告をやってみると良いだろう。
1. 時間と忍耐力がある場合
確定申告は、ネットフリックスを見ながらソファで寝そべってするようなものではない。一定時間座って、集中して取り組まなければならない。
米内国歳入庁(IRS)によると、平均的な人は領収書等を集め、計算し、申告書を作成するのに約7時間かかる。個人事業主の場合は約20時間だという。それだけの時間と忍耐力があるなら、ぜひやってみよう。
国税庁のe-TAXを使えば、提出するために足を運ばなくても済むし、還付金も原則3週間ほどで受け取れる。もちろん用紙をダウンロードして自分で提出することも可能だ。
税金に関する知識がそれほど豊富でなくても、チャットボットが答えてくれるし、それでもまだ書き方などに不安がある場合は、確定申告会場に足を運んで専門家に相談してみよう(ただし、予約が必要な場合もあるので、事前に確認して欲しい)。
2. 税務状況がシンプルな場合
財務状況がシンプルというのは、扶養家族が少ない、iDeCoなどの退職積立以外の投資がない、大きな資産購入・譲渡や遺贈基金への贈与がないなどの状況を指す。
医療控除やふるさと納税といった一般的な項目はe-TAXで簡単に対応できるようになった。税務状況がシンプルなら、プロを頼むまでもないかもしれない。
3. 積極的に節税を考えたい場合
証券取引で発生した譲渡損失は損益通算できる。相殺しきれない損失は、以後3年間繰越控除が可能だ。そのためには確定申告が必要だが、計算自体はさほど複雑ではない。
また、本業の他に副業をしていて、そちらで源泉徴収されている場合は、確定申告により還付請求を行える。
プロ(税理士)に頼んだ方がいい人
1. 時間もなければ、忍耐力もない場合
確定申告作業に膨大な時間を取られるなら、その時間を他に回した方が良いだろう。急いで確定申告を行って、間違えて、修正申告で延滞金を取られるより賢明だ。
2. 税務状況が複雑な場合
財務状況が複雑な場合というのは、さまざまな扶養家族がいる、投資や大きな資産または慈善寄付を保有する、事業所得が多いなどの状況を指す。
ほぼすべての金融取引には税務結果が伴い、取引回数が増えるほど税金を考える必要がある。フリーランスや自営業の人は特に、変則的な税務状況を解決してくれるプロに頼みたいかもしれない。自宅をオフィスに使うケースや接待交際費、旅費、車両などの費用計上も税務調査が入りやすい項目だ。
3. 各種控除を取ろうとしている場合
上述のように、経費の線引きは難しい。住宅ローン控除や配当所得の源泉税還付請求など、専門的な知識が必要なときはプロに頼んでみよう。給与所得者が副業で事業を営んでいる場合に事業所得として認められるかどうかも、判断が難しいところだ。
4. 昨年人生の大きな節目だった場合
昨年結婚した、家を買った、子どもができた、相続した……これらはすべて確定申告に影響する。少なくともこうした状況について初めて確定申告を行う場合は、やり方を誰かに聞くのも良いだろう。
5. 自分では抜かりなくできないと思う場合
税務署は、不備があれば指摘するが納税者に有利になることは教えてくれない。何か見逃してはいないかと冷や汗をかくくらいならば、全部プロに任せて、本来やるべきことに集中しよう。
[参考: Should I do my own taxes or hire a pro? Here's how to decide.]