JWSTが捉えた画像により、銀河のガスと塵のネットワークが極めて詳細に明らかになった。
NASA
- ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、赤外線を捉えることで宇宙の画像を撮影している。
- NASAはJWSTが撮影した3つの銀河「NGC1433」「NGC7496」「NGC1365」の新たな画像を公開した。
- これらの写真には、これまで撮影できなかった星形成の初期段階が高解像度で捉えられている。
アメリカ宇宙航空局(NASA)によると、赤外線の波長で「地球近傍の銀河における星形成、ガス、塵(ちり)を、前例のない高解像度で撮影することができる」という
「NGC1433」は、「白く明るい円形のコアを持つ灰色の棒渦巻銀河」だ。
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これらの撮影にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が使われた。
「(JWSTが撮影した)データに基づき、21本の研究論文が執筆された。これらの論文は、宇宙で最小規模のプロセスである星形成の始まりが、宇宙で最大規模の天体である銀河の進化にどのような影響を与えているかについて、新たな洞察を提供している」とNASAのニュースリリースに記されている。
JWSTが捉えた画像は極めて鮮明であることから「星の形成によるエネルギーが、その周りのガスにどのような影響を与えるか」について観測することができる
NASAによると「NGC7496」は「灰色の網目状の渦巻銀河」で、「非常に明るいコアから8本の赤い回折スパイクが伸びている」。周辺の点は「背景となる銀河」を表している。
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これらの画像は、PHANGS(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS:近傍銀河の高解像度観測による物理学研究)というJWSTで19の渦巻銀河を研究するプロジェクトの一環として撮影された。19のうちすでに5つの銀河の観測が始まっている。
ジョンズ・ホプキンス大学のデイビッド・ティルカー(David Thilker)は「細かな構造を見ることができる明瞭さには、本当に驚かされた」とリリースで述べている。
アルバータ大学のエリック・ロソロフスキー(Erik Rosolowsky)は「星の形成によるエネルギーが、その周りのガスにどのような影響を与えるのか直接見ることができ、とにかくすばらしい」と述べている。
JWSTが捉えた高解像度の赤外線データは、他の波長を利用する望遠鏡では捉えられなかった部分を補完するものだ。これらのデータセットをすべて調整することで、新たな発見が促されるだろう。
星のライフサイクルのうち、初期の部分はこれまで見ることができなかったが、JWSTの高解像度の画像によってそれを観測できるようになった
棒渦巻銀河の「NGC1365」。この銀河の形成で放出されたエネルギーによって、周辺にある空洞状のバブルやフィラメント状の複雑なネットワークが照らされている。周辺の点は「背景となる銀河」を表している。
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「星のライフサイクルの初期段階は、ガスや塵の雲に覆われているため、(これまで)見ることができなかった」とオハイオ州立大学のアダム・リロイ(Adam Leroy)研究員は述べている。
しかし、遠方の銀河でも赤外線で検出できるJWSTの強力なカメラは「塵を透かして」見ることができるため、これまでにないほど遠くまで観測できるようになった。