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- Toggle AIのヤン・シラギーCEOはInsiderのインタビューで、AIの基礎となっているインフラへの投資について説明した。
- AIブームにより、あまり知られていないハイテク株が急騰しているが、シラギーは老舗のハイテク大手の方がいいと考えている。
- 「今は、すべてのAIが同じように作られているわけではないことを理解することなく、この分野に広く投資している人が多い」とシラギーは述べている。
OpenAIのChatGPTが2022年11月に公開されて以来、AI関連銘柄は投資家の関心を集め、C3.ai、SoundHound AIといったあまり知られていない企業の株が3桁のリターンを享受している。
しかし、かしこく長期的な運用をするのであれば、AIインフラを構築している企業に目を向けた方がいいと、市場分析プラットフォームToggle AIのヤン・シラギー(Jan Szilagyi)CEOは述べている。
言い換えれば、ゴールドラッシュの最中に金を探すのではなく、シャベルに投資をするということだ。
「AIに投資したいのであれば、最も有望なのはインフラを構築する企業だ」とシラギーはInsiderに述べている。
「ChatGPTの別バージョンやその基礎となるツールがますます使われるようになると考えれば、そのような企業が少なくとも公開市場においては最も値上がりするだろう」
Toggleは、ニュースやデータを読み込み、豊富な情報に基づいたポートフォリオの作成を支援するAI駆動のツールを提供している。シラギはこれを投資の「副操縦士」と呼んでいる。このツールは、市場データ、マクロ経済、メディアの発表などに基づき、株価が変動する可能性がある場合、そのことをユーザーに通知する。
まだ初期段階にあるAI分野に明るいスポットライトが当たったおかげで、Toggleのビジネスは今年に入って3倍もの成長を遂げたが、AIを使って投資することと、AIに投資することは違う。
「多くの人が利用するようなアプリケーションで、この最新テクノロジーを有意義に導入できているものはまだないとさえ思う」とシラギーは言う。
「今このテクノロジーの恩恵を受けているのは、インフラの所有者だけだ」
AIの導入で目立っているのはマイクロソフト(Microsoft)と、グーグル(Google)の親会社であるアルファベット(Alphabet)だと彼は指摘する。特にOpenAIに100億ドルを投資しているマイクロソフトは際立っている。これらの企業と同じようにAIインフラの開発に向けて動く可能性のあるのがアマゾン(Amazon)だ。
この3社はいずれも、クラウドコンピューティングサービスのトッププロバイダーだ。ChatGPTのような生成型AIツールは、膨大な量のデータにアクセスする必要があり、そうして得た情報の効率的な利用とセキュリティを最大限に維持するには、クラウドコンピューティングが欠かせない。
そのため、クラウドサービスを提供するテック大手は、この新しいトレンドから最も大きな利益を得ることができるとシラギーは考えている。クラウドプラットフォームでAIプログラムが実行されるたびに収益を得られる可能性があるのだ。
今のところ、ChatGPTのような先進的ツールを統合できるブランドでも、その開発はほとんどプロトタイプの段階にとどまっているようだと彼は言う。そのため単にAIに関連がありそうだという理由だけでこの分野に見境なく投資を行うことにあまり意味はない。
「多くのことが起こると思うが、今は、すべてのAIが同じように作られているわけではないことを理解することなく、この分野に広く投資している人が多い」とシラギーは述べた。