ETFは1日中売買が可能だが、インデックスファンドは取引終了時に設定された価格帯でしか取引できない。
Alyssa Powell/Insider
- ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託だ。
- インデックスファンドは、対象インデックスの運用成績に連動する投資信託やETFである。
- どちらも長い目で見れば、低いコストで、高いリターンと分散効果をもたらす。
投資に当たって考えるべきことの一つが分散である。つまり、資産クラスの中で、また資産クラス全体で、複数の投資商品を保有するのだ。
インデックスファンドやパッシブ上場投資信託(ETF)を使えば、簡単に分散できる。これらは複数の証券を一つの投資商品としてまとめて、投資家にさまざまな企業に対する幅広いポジションを提供する。
「S&P500種株価指数、ナスダック総合指数、ダウ工業株30種平均といった株式指数に直接投資はできない。例えばS&P500種株価指数を買いたくても、直接指数を買う方法はない。だが、それに連動するファンドには投資できる」と言うのは、投資アドバイザーでオクラホマ州エドモンドのAXISファイナンシャル(AXIS Financial)の創業者、クリス・ベルケル氏だ。
では、ETFとインデックスファンドについて知っておくべきことと、その違いを説明しよう。
ETF vs. インデックスファンド
ETFとインデックスファンドはどちらも、株式や債券などの多くの個別証券を1つの投資商品にまとめた投資信託だ。だから、投資家は初めから大きな分散効果を得られる。どちらも通常はパッシブ運用であり、コストが低く、長期的に高いリターンを提供する。
ETFは、取引所に上場し、指数、個々のコモディティあるいは混合資産といった裏付資産に連動する投資信託だ。
一方、インデックスファンドは、対象とする指数の運用成績に連動する投資信託やETFである。
ETFとインデックスファンドはどちらも投資信託だが、大きく違う点が取引方法だ。ETFは上場しているため日中売買できるが、インデックスファンドは上場しておらず取引終了後に一定の価格(純資産価額)でしか取引できない。また、ETFはインデックスファンドと比べ初期投資額が少なくて済むうえ、節税効果が高い場合がある。
ETFとは何か?
- ETFは、株式のように取引所で売買できる投資信託だ。
- だが、株式がある会社の持分を代表するのとは違い、ETFは通常、株式、債券、コモディティ、オプションなどの証券や、それらを組み合わせた証券バスケットである。ETFの運用会社は、ベンチマークとする指数を選択するか(パッシブETF)、特定の相場動向を捉える運用が可能だ(アクティブETF:※日本では現在パッシブETFのみだが、2023年中にアクティブETFが解禁予定)。
- 例えば、S&P500種株価指数のような時価総額加重指数、あるいは、(金や原油などの)個々のコモディティや証券群や特定の投資戦略に基づく資産に連動するETFを構築できる。こうした指数や資産のパフォーマンスが良ければ、そのETFの運用成績も高くなる。
ETFの仕組みはこうだ。まず運用業者が特定の指数や資産に連動するETFを設定する。次に、指定業者(証券会社)が対象資産を市場から購入し、運用業者に拠出する。運用業者は、ETFの持分を表す受益証券を対象証券と引き換えに指定業者に発行する。指定業者は受益証券を投資家に売却する。投資家がETFの受益証券を買うと、投資家はファンドの一部を所有することになるが、対象資産を保有するわけではない。
ETFの受益証券は取引所で日中売買され、ETFの価格は上がったり下がったりする。この点が、1日1回だけ引け後に取引できる投資信託との違いだ。
ETFの大きな利点の1つが分散効果である。ETFを保有すれば、さまざまな株式、債券、コモディティ、さらには業種までも投資できる。また多くのETFは他の資産のパフォーマンスに連動するパッシブ運用のため、運用コストが安い。「業務費を下げることで、投資家は、経費率やその他運用報酬にかかる手数料を抑えられるというメリットを享受できる」とベルケル氏は言う。
また、長期的に見れば、パッシブファンドはアクティブファンドを上回るパフォーマンスを上げる傾向にある。また、投資信託は投資家から解約の申し出があった時は通常、保有資産を売却しなければならない。その際にファンドの組入資産が購入時よりも値上がりしていれば税金が発生する。ETFの場合投資家は売却したければ取引所で株式のように売買できるため、ファンド内でそのような課税は発生しない。
ETFの長所 | ETFの短所 |
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・通常、投資信託よりもコストが安い ・普通はファンド内での税金負担が小さい ・受益証券1単位の最低購入額が小さい ・分散効果がある |
・大型株に限定される可能性がある ・受益証券の売買に取引手数料がかかることがある |
では、上場投資信託(ETF)の一例を見てみよう。ETFMG オルタナティブ・ハーベスト ETF(ETFMG ALTERNATIVE HARVEST ETF)は、プライム・オルタナティブ・ハーベスト指数(Prime Alternative Harvest Index)という大麻業界に関連する企業で構成される指数に連動するファンドだ。このETFの購入資金は、医薬品、大麻の生産・流通、調査・製品開発など大麻業界に携わる各種企業に投じられる。
ETFは個別銘柄に投資を集中させるのではなく、多岐にわたる企業や業界区分に幅広くリスクを分散させる。こうした分散投資は、大麻業界のような新たに誕生した変動が大きいセクターでは特に重要だ。
インデックスファンドとは何か?
- インデックスファンドとは、特定の指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)の一種である。ベルケル氏によると、インデックスファンドは一般的に、指数内の構成銘柄を複製することで指数に連動するファンドを構築する。
インデックスファンドの仕組みを説明しよう。インデックスの運用会社が多くの投資家から資金を集めて個別株や債券、証券のポートフォリオを構築する。このポートフォリオは対象指数の構成銘柄を模倣したものであるため、ファンドの価値は連動する指数の損益と同じになる。ダウ工業株30種平均のような株式指数に連動するインデックスファンドもあれば、債券やコモディティ、不動産市場の指数に連動するものもある。
ベルケル氏は次のように言う。
インデックスファンドは、大型株や債券市場全体のような市場の特定部分に幅広くポジションを取るのに優れた手法だ。
インデックスファンドの運用会社は、指数に含まれるすべての構成銘柄の株式を買うか、代表サンプルの株式を購入する。購入株数は加重計算で決まる。
- 大半のインデックスファンドは時価総額加重だ。つまり、指数の中で時価総額が小さい株式よりも大きい株式を多く買うことを意味する。
- 価格加重を採用しているインデックスファンドでは、指数において株価の高い資産の割合が株価の低い資産よりも高くなる。
- また、すべての資産のウェイトが均一な、均等加重指数ファンドもある。
次に、運用会社はインデックスファンドの受益証券を投資家に売却する。運用会社はポートフォリオを指数に合わせて定期的にリバランスし、ファンドの投資家に分配金、金利、キャピタルゲインを支払う。個別株の価格は変動しやすいが、指数は長期的には上昇する傾向にあるため、インデックスファンドはリスクを抑える優れた投資手法だと言える。また、アクティブファンドよりも手数料が低く長期的に高いリターンを得られる等、資産運用をお任せで行える利点がある。
インフェデックスファンドの長所 | インデックスファンドの短所 |
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・幅広い分散効果によりリスクを抑えられる ・長期的なパフォーマンスが良好 ・他の投資商品よりも手数料が低い |
・短期的な利益追求には向かない ・下げ相場の影響を受けやすい ・引け後にしか取引できない ・ETFよりも初期投資額が大きい場合がある |
ではインデックスファンドの例を見てみよう。Schwab S&P 500指数ファンドは、米国の大手企業500社の株価パフォーマンスを測定する株式指数、S&P500種株価指数に連動するインデックスファンドだ。S&P500種株価指数に連動する商品は最も多いので、この指数に投資をする場合、選択肢はたくさんある。
上記ファンドの上位保有銘柄は指数と同じく、マイクロソフト、アップル、ジョンソン・アンド・ジョンソン、エクソンモービル、JPモルガンだ。
投資家は、(この例では)S&P500種株価指数の損益を反映したインデックスファンドの受益権を購入できる。
結論
インデックスファンドとETFはどちらも、長期安定的にリターンを上げられ、リスクが低く、手間がかからず、コストが低い投資手法だ。だが、こうした投資商品がすべて同じではない。
ETFやインデックスファンドを選ぶときには、ファンドの投資先や、ファンド内での分散状況に納得できるかを確認する必要がある。また、投資商品の売買にかかる手数料など、各ファンドの経費率やその他報酬も比較してみよう。