星野リゾートが提案する「ラグジュアリー路線じゃない」ホテル。ディープな沖縄を感じる旅はいかが?

BEB5 沖縄瀬良垣

写真提供/星野リゾート

昨今、 SDGsの達成においてますます企業のアクションが重要になっている。企業はいかにビジネスを通して社会課題の解決を行うべきか。

星野リゾートが提供するサステナブルな旅から、これからのビジネスに求められる視点を考える本シリーズ。最終回は、観光と地域の魅力をリンクさせ、地方創生を目指す「BEB5 沖縄瀬良垣」を取り上げる。(第1回目第2回目

地域の魅力を再発見。まちづくりの構想段階から参画

地球上の誰ひとりとして取り残さないことを目指すSDGs。都市部以外においても、将来にわたる成長力の確保が必須となり、持続可能なまちづくりと地域活性化が重要となってくる

そして地方創生を後押しするうえで重要な役割を果たすのが、観光業だ。

観光業は、例えばその地域の特産食材を宿の料理に取り入れる、伝統工芸品をホテルの調度品として採用するといったかたちで、農家や工房など、観光業以外の地場産業とも協業が可能。

観光と特産物をリンクさせ、それらの魅力の広報活動に貢献しながら、その土地に根ざす産業・文化を促進させ、また地域コミュニティの活性化にも寄与できるのだ。

こうしたなか、地域の魅力を再発見できる新しい旅のあり方を提案する星野リゾートは、昨今ではまちづくりの構想策定の段階から自治体に声かけされることも増えているという。

「暮らすように旅する」新しい観光のあり方

BEB5 沖縄瀬良垣

「よんな~ ちゅライフ」を提案するBEB5 沖縄瀬良垣では、館内のカフェでローカル食材を使って作られる窯焼きピザやジェラートが楽しめる。屋内外にひろがるラウンジと、開放感あふれるプールも見逃せない。

画像提供/星野リゾート

そしてコロナ収束後の観光需要を想定する同社は、2022年も温泉旅館や都市型ホテルを中心に、施設の新規開業を続けている。

その事例の1つが、2022年夏に開業したBEB5 沖縄瀬良垣。同ホテルは、地元と連携をはかりながら立ち上げられ、いまなお現在進行形で連携の輪を広げている。

ラグジュアリー路線のホテルが多い恩納村エリアにオープンしたBEB5 沖縄瀬良垣のコンセプトは、気取らず過ごせる「よんな〜 ちゅライフ」。「よんなー」とは沖縄の方言で、「ゆっくり」。「のんびり、素敵な時間を過ごしてほしい」という意味が込められている。

そこで同ホテルは、滞在者が沖縄の文化に触れたり、地元の人と交流をはかったりできる設備・サービスを用意。まるでここに暮らしているかのような体験ができる。

沖縄文化を通して、観光客とローカルをつなぐ

パブリックスペース「TAMARIBA(タマリバ)」。

各々が自由に過ごせるパブリックスペース「TAMARIBA(タマリバ)」。

画像提供/星野リゾート

同施設ではキッチンカーを呼び込んでいるのも、その一環だ。

「沖縄の観光スポットといえば、『美ら海水族館』や国際通りをイメージする方が多いと思うのですが、沖縄の少しディープではあるけれどキラリと光る文化に、『パーラー』があります。

パーラーとは、簡易店舗のこと。ハンバーガーやタコス、沖縄そばなどの軽食をキッチンカーで提供するパーラー文化は、長らく地元民から親しまれてきました。

そこで当ホテルにキッチンカーを呼ぶことで、パーラー文化の認知度を高めたいと考えたのです」(星野リゾート 広報・木山さん)

また、24時間オープンのパブリックスペース『TAMARIBA(タマリバ)』は、宿泊者以外も利用可能。旅行客と在住者の生活が交差する場となっている

さらに同ホテルは、全客室キッチン付きである点も特徴。近隣で調達した食材を調理するなど、現地の食文化に触れることができる。

「ホテルから車で約20分の場所に、地元食材がそろう産直市場『おんなの駅』があります。沖縄らしい旬の食材を、ぜひお部屋で味わっていただきたいです」(木山さん)

このおんなの駅との関わりを起点に、近隣農家とのリレーションへとつなげることができたという。 このようにローカルと企業の連携の輪が広がり、その土地に新たな価値が生まれる。そのような事例が今後も増えるとよい。

BEB5 沖縄瀬良垣

星野リゾート

MASHING UPより転載(2023年1月5日公開


(文・取材)多田亜矢子

多田亜矢子:編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」や「FUDGE.jp」などで活動中。

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