Tyler Le/Insider
- 企業がどのように活用するかを検討するにつれて、ChatGPTは仕事のより大きな部分を占めるようになるかもしれない。
- このテクノロジーに詳しい労働者は競争上優位になるかもしれないと関係者は述べている。
- ChatGPTを禁止した学校もあるが、教育者の中には生徒にAIで遊んでみるよう促している人もいる。
ChatGPTのようなジェネレーティブAIが好きか嫌いかに関わらず、すでのこの技術は世に出ており、パンドラの箱は開かれたと言っていいだろう。
ChatGPTには巻き起こした興奮と同じくらい反発もある。ニューヨークやロサンゼルスのような都市部の学区では、一時的に生徒のChatGPT使用を禁じている。一方、アマゾン(Amazon)やゴールマン・サックス(Goldman Sachs)などの企業は会社のデータを用いてChatGPTを使用した社員を叱責した。
だが、ビル・ゲイツ(Bill Gates)のような業界のリーダーからコロンビア・ビジネス・スクールのような大学院の教授まで、意見は一致しつつある。本当にベストな使い方が分かるまでに時間はかかるだろうが、未来はChatGPTや同様のシステムを使いこなすことができるようになった人の手中にあると。
1990年代から2000年代にウェブブラウザーやワープロソフト、Eメールの使い方を覚えることが、ビジネススキルの標準となったのと同じように、ChatGPTから最高の結果を得る方法を知っていることが、次世代では重要になるという人もいる。専門家によると、これは学生にとって有利なスタートを切るチャンスだという。
「今は変化のスピ ードが速く、世代を問わず、誰もがChatGPTを習得しようとしている。競争上優位に立てるし、使わないことが不利になるかもしれないからだ」とAckius Advisoryのコンサルタント、ニール・サホタ(Neil Sahota)は述べた。
ChatGPTから学びを得る
ChatGPTが話題になった時、学校は生徒がテストのカンニングやレポートの代筆に使うことを懸念して禁止し始めた。その懸念はChatGPTがある試験に辛くも合格することができたことで多少は解消された。
教育関係者の中には、AIに精通することが将来的に不可欠なスキルになると考え、ChatGPTの本質的な価値に注目する人もいる。
「私は自分の学生全員に、ChatGPTを使って課題をするように勧めている。条件は1つだけ。具体的にどのように使ったのかも含めて、使ったと申告することだ」とコロンビア・ビジネス・スクールのダン・ワン(Dan Wang)教授はInsiderに語った。
ワン教授によると、すでに学生は違う使い方をしていることに気が付いたという。学生はChatGPTに、より複雑な質問をし始めた。それは、AIに課題をさせているのではなく、どちらかと言うと違うアイデアを生み出したり、探究したりするためだった。
学生にChatGPTを使ってみるように求める教育者は、ワン教授だけではない。ペンシルベニア大学ウォートン校(Wharton School of Business)のイーサン・モリック(Ethan Mollick)教授によると、ChatGPTは授業で役立っている上、英語が話せない生徒の勉強のサポートまでしてくれるという。ChatGPTを開発したOpenAIのミラ・ムラティ(Mira Murati)CTO(最高技術責任者)は、同社はこのアプリが教育をより良くすると信じており、生徒の学習をカスタマイズすることができると述べている。
だたし、2000年代のインターネットと同じように、仕事をするためにはAIと対話することを学ぶ必要があるだろう。
教育におけるChatGPTのポテンシャル
ニューヨークとロサンゼルスは公立学校でChatGPTを禁止した2大都市だ。だが、たとえ学校のパソコンからアプリがブロックされたとしても、AIを生徒に紹介する必要があるかもしれないということは当局も理解している。ただし、徹底的に調査してからのことだ。
ニューヨーク市教育局の副報道官、ジェナ・ライル(Jenna Lyle)はInsiderに対し、禁止は一時的なもので、管理者がアプリを評価するためだと語った。
「生徒たちには最新のテクノロジーに触れて欲しいし、我々の学校がイノベーションの最前線でありたいと思っている。けれども、教育現場への導入方法や、使用する際の生徒や教育者へのサポートに関して、よく考える必要がある」
さらに彼女は、教師、生徒、「技術コミュニティ」と協力して、こうしたテクノロジーの長所と革新性を最大限に生かし、生徒の未来を支援する方法を検討すると述べた。
結局、ChatGPTもAIもなくならないのだから、使い方を覚えて、有利なスタートを切る方が良さそうだ。