クリエイターのエセ・ヌエシリとシャンタニア・ベックフォードがLemon8に掲載した投稿。
Screenshots from Lemon8 app, Ese Nuesiri / Shantania Beckford
業界関係者によると、TikTokを運営するバイトダンス(ByteDance)は、Lemon8(レモンエイト)という新しいアプリをイギリスとアメリカで密かに立ち上げており、クリエイターに対価を支払って投稿してもらっているという。
このアプリは2020年に日本でローンチされ、その後、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、シンガポールにも進出している。
バイトダンスはここ数週間、イギリス国内のクリエイターにLemon8のアプリへの投稿料を支払っていると、3人のインフルエンサーがInsiderに語った。Insiderは、これらのインフルエンサーらから、同アプリに投稿することで報酬を得ていることを示す文書と受け取った支払いの仕組みを記したメールを入手した。
Lemon8は画像ベースのアプリで、自らを「ライフスタイル・コミュニティ」と銘打っている。メインフィードはTikTokのように「フォロー」と「おすすめ」に分かれているが、それらを「ビューティー」「ファッション」「グルメ」などのコンテンツカテゴリーで分類することができる。
また、Instagramの「発見」タブに似た別のページには、ハッシュタグで整理されたコンテンツが表示される。アプリストアの説明によると、トレンドのコンテンツは「キーワード検索」で見つけることができるという。
ロイターは以前、Lemon8について、中国で「ショッピングとライフスタイルのおすすめアプリ」として人気の小紅書(シャオホンスウ)を真似たように見えると報じている。
nsiderに語った7人のインフルエンサーによれば、Lemon8では高品質の写真と、トピックに関する詳細な長いキャプションが書かれた投稿が好まれる。例えば、一つひとつ順を追って見せるメイクアップのやり方、レシピ、または服のスタイリングの仕方を教える投稿などだ。
クリエイターのエセ・ヌエシリ(Ese Nuesiri)は、Lemon8は「初期のピンタレスト(Pinterest)やInstagramを思い起こさせる」と語る。また、別のクリエイターであるシャンタニア・ベックフォード(Shantania Beckford)は、InstagramとPinterestを混ぜ合わせたようなものだと表現し、他のソーシャルメディアより細部にこだわっていると言う。
ビューティークリエイターのエレノア・ウッド(Eleanor Wood)も、Lemon8は「教育的で有益なコンテンツ」を重視しているようだと述べ、キャプションに求められる長さと詳細さに言及した。
投稿の際、特定のガイドラインに従うよう求めるLemon8
Insiderが入手した文書やメールによれば、Lemon8には投稿するコンテンツの作り方のガイドラインが存在する。クリエイターが支払いを受けるためには、このガイドラインに忠実に従う必要があると3人がクリエイターは明かす。
ガイドラインによると、投稿には以下の要素が含まれなければならない。
- 高解像度で縦長に撮影された写真
- 最低3~7枚の写真
- 「あなたのトピックについて、人々に情報とインスピレーションを与える」100〜300のワードのキャプション。キャプションは「刺激的」「一目瞭然」「有益な情報の概要を示す」ものでなければならない。また、コール・トゥ・アクション(閲覧者を具体的な行動に誘導するイメージやテキスト)とハッシュタグを含める必要がある。
- Lemon8では、投稿のキャプションに使用するテンプレートやステッカーを提供しており、「雑誌のようなカバーページをデザインするためのテンプレート/その他の美しいテキストクリエーションを使用すること」を求めている。
- ハッシュタグについては、「ホットなハッシュタグだっとしても自分の投稿に合っていないものは使用せず、内容にマッチしたハッシュタグを使用しましょう!」「旅行のハッシュタグと美容のハッシュタグなど、異なるテーマのものを混ぜず、投稿ごとにテーマを決めて、自分の投稿を一気にスターの座まで押上げましょう!」などガイドラインに記されている。
Insider が取材したクリエイターのうち5人は、Lemon8用へのコンテンツ制作は、他のソーシャルメディアへの投稿に比べ長くて詳細な投稿やキャプションが必要なため、かなりの時間と労力がかかると話す。
そのうち2人は、このコンテンツを作ることが自分の時間に見合うかどうか分からないと言うが、他の3人は、このプラットフォームがこの先数カ月のうちにイギリスで人気が出ることに大きな期待を抱いているという。
お金のために投稿しているわけではない、というアレックス・バン(Alex Vang)は、コンテンツに気を配るのが楽しいのでこのプラットフォームを使っていると語る。
「投稿は私のクリエイティブな側面を解き放つことであり、自分自身の投稿のクリエイティブディレクターになるようなイメージです。これはとても楽しいですよ」