前澤氏も約30億円出資。「宇宙デブリ除去」のアストロスケールが約101億円の資金調達

ELSA

画像:アストロスケール

宇宙空間に存在するスペースデブリ(宇宙ごみ)の除去などの技術開発に取り組む宇宙ベンチャーのアストロスケールが、2月27日、第三者割当増資により三菱電機、実業家の前澤友作氏、三菱UFJ銀行、三菱商事、日本政策投資銀行、FELから合計約101億円の資金調達を実施したことを発表した。このうち、三菱電機からは約33億円、前澤氏からは約30億円調達している。

アストロスケールの累計調達金額はこれで約435億円

同社はプレスリリースで

「非常に厳しい世界経済情勢の中で今回の調達を実施できたことは、宇宙の持続利用に向けた軌道上サービスの必要性ならびにアストロスケールの市場リーダーとしての投資家の強い信頼を示しています」

と期待度の高さを語っている。

背景に「デブリ問題への危機感の高まり」

宇宙デブリのイメージ

宇宙デブリのイメージ。

Frame Stock Footage/Shutterstock.com

宇宙産業が活性化していく中で、人工衛星の利用機会は高まっている。ただ、衛星の運用期間は有限であり、一定期間後には大気圏に突入して燃え尽きる運命にある。このとき、何らかの問題で燃え残ったゴミが生じる可能性がある。これが宇宙空間を漂い続ける「宇宙ゴミ」(スペースデブリ)となり、他の人工衛星や将来的な人類の宇宙活動の妨げになるリスクがある。

2013年に創業したアストロスケールは、特にこの宇宙ゴミの回収・除去サービスの開発で世界的な先駆者として知られている宇宙ベンチャーだ。

同社広報はBusiness Insider Japanの取材に対し、

「弊社に注目が集まるようになった背景として、デブリ問題への危機感の高まり、そしてスペースサステナビリティの重要性が認識されてきたことがあると考えます。この課題の解決が急がれる中で、当社は、ELSA-dミッション(デブリ除去技術実証衛星)において、デブリ除去に必要な一連の要素技術の実証に成功しています」

と答えた。

また、デブリ除去技術の開発状況については、上記のELSA-dミッションによる一連の技術実証に加えて、

「商業デブリ除去実証衛星ADRAS-Jの開発・試験を進めており、JAXAの商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズIとして、非協力物体である日本のロケット上段への接近・近傍運用を実証し、長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行う予定です。そのほか、海外の拠点でも同時に開発を進めています」

とも回答。

アストロスケールでは、宇宙ゴミの回収・除去だけではなく、宇宙空間での衛星への燃料供給や、故障機などの観測・点検など、宇宙空間で人工衛星を対象としたさまざまなサービスの実現を目指して技術開発を進めている。

今回調達した資金の使途については、

「中期的な目標として、2030年までに軌道上サービスを日常的な活動にすることを目指しています。シリーズGにて調達した資金は、さらなる革新的な技術開発、グローバルな事業展開、そして需要増に応じた供給能力の向上に役立てます」

としている。

なお、前澤氏も今回のアストロスケールへの出資について、次のようにコメントを発表している。

「実際に宇宙に滞在した者として、宇宙のゴミ『スペースデブリ』の問題は非常に気になるところです。近いうちに2度目の宇宙旅行となる月周回計画『dearMoon』を予定していますが、同じような有人の宇宙探索はますます活発になることが予想されます。そんな中、デブリ除去に取り組むアストロスケール社の活動に大変感銘を受け、今回微力ではありますが応援させていただくことにしました」

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み