フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。
Reuters
メタ(Meta)によるフェイスブック(Facebook)の管理職層の削減が進むにつれて、フェイスブックの組織構造はインスタグラム(Instagram)に近いものになっていくという。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏によって20年前に設立されたフェイスブックはさらなる合理化のプロセスの中にあると、同社に詳しい2人の人物はInsiderに語る。ザッカーバーグ氏がコストの削減を図り、2023年を「効率化の年」と宣言するなか、フェイスブックの構造をインスタグラムに近づけることが同社の目標になっているとその人物は語る。
「組織をフラット化せよ」
Insiderがいち早く報じたように、フェイスブックの従業員の約5〜10%に影響するとみられる新たなレイオフが数週間以内に行われると予想されている。組織全体を「フラットにする」というザッカーバーグによる新たな指令を考慮すると、メタの全部門の中で最大の従業員数を抱えるフェイスブックは人員削減の影響を受けることが予想される。
フェイスブックでの人員削減は、メタが全社で1万1000人規模となる初の大量解雇を実施した11月にも行われている。
同社に詳しいある人物は「それは驚くことではありません」と言い、計画の目的はフェイスブックの組織構造を変化させることだと述べた。
「これまで従業員の動機付けは、自分の部署がどれだけ大きくなれるか、管理職にとってはどれだけ多くの部下を雇えるかというものでした」
フェイスブックのこの文化は組織の「肥大化」を引き起こしたが、不確実な経済環境で投資家がより軽量なコスト構造を重視するようになったため、同社の多くの人々にとって「痛みを伴う」ことになった。
「マーク(・ザッカーバーグ)が全社の立て直しを行っていると公に述べた後の2022年11月、フェイスブックは会社の優先事項と目標に歩調を合わせるために組織再編を行いました」とメタの広報担当者は述べた。
「この再編は新しいものでも、進行中のものでもありません。我々は組織構造をフラットにするため、中間管理職のいくつかの層を取り除く計画を発表しましたが、この作業を行うと最終決定したわけではなく、何かの役職が影響を受けたわけでもありません」
関係者の1人によると、フェイスブックの現在の組織構造は、基本的に「マトリックス」モデルと呼ばれるものだいう。このモデルは従来、大企業において、社内の異なる部署から異なる権限を持つ複数の管理職が、同じプロジェクトを同時にマネジメントすることで、クロスコラボレーションを促すものだ。
ザッカーバーグは2月初め、この先メタが「管理職が管理職を管理する会社」にはなってほしくなく、管理職の階層を減らすことで「もっと楽しく働ける場所」にできるだろうと語った。ある元従業員の話では、現在のメタは単純に管理職が多すぎるため、それが往々にして官僚的な環境を生んでいるのだという。
さらなるレイオフの兆し
一方、インスタグラムの組織構造は本質的には縦割りで、「機能性」モデルにより近いと言われている。従業員は専門領域によってグループ化され、トップの管理職か取締役に直接報告を行う。こちらのほうが縦割りの性格が強いが、迅速に意思決定できるため、効率的だと考えられるようになってきている。
メタが2012年にインスタグラムを買収した当初の何年かは、急成長させてフェイスブックに似た運営を行おうとしたものの、インスタグラムは比較的「肥大化しなかった」と別の元従業員は振り返る。
「これは要するに、フェイスブックにごちゃごちゃとあるサブプロダクトグループを整理するということです」と、別の人物は再編について述べる。
その中には当然、頭数を減らすという明確な道筋も含まれている。同社に詳しい人物とリンクトイン(Linkedin)のデータによると、フェイスブックは4万人近い従業員を抱えるが、インスタグラムはそのほぼ半分の約2万人だ。しかしユーザー数で見ると、インスタグラムのマンスリーアクティブユーザーは約19億人、フェイスブックは約29億人と、両者にそれほど大きな差はない。
つまりインスタグラムは、メタの今後の成長に欠かせないリール(Reels)のような機能を持ち、フェイスブックの半分の従業員数でフェイスブックの3分の2に相当するユーザー数をまかなっているのだ。
フェイスブックの組織再編はメタが2022年11月に発表したレイオフ以来続いているとInsiderは報じてきた。直近の数週間においても多くの管理職が自身のチームを取り上げられ、実質的には降格させられて「個人的な貢献者」になることを告げられているとある現従業員は話す。
「長年管理職を務めてきた人が、何年もやってこなかったポジションで訓練する必要があると告げられています。さらに悪いことに、彼らは自分の元上司と直接競争する環境に置かれているのです」
同じ現従業員の話では、降格を望まない人の多くが代わりに解雇手当をもらって離職する可能性を尋ねたところ、メタはそれを認めなかったという。
「会社は従業員を自発的に辞めさせようとしています。しかし、もし自分で辞めてしまうと解雇手当は受け取れません。現在の転職市場では身動きがとれないと従業員は感じています」