「エリエール」ブランドで知られる大王製紙が、学生2000人に1年間分の生理用品を無償で提供すると発表した。2022年に大きな反響を呼んだ「奨学ナプキン」プロジェクトを、募集者を倍にして今年も継続する。ドラッグストアなど賛同企業も増え、値上げラッシュの中でも、いやだからこそ、生理の貧困対策に取り組む民間の輪が広がっている。
募集を倍に、学生からは感謝の声
値上げラッシュの中、大王製紙が今年も生理の貧困対策に乗り出す。
出典:大王製紙「エリス」HP
2022年度の「奨学ナプキン」プロジェクトについては既報のとおりだが(参考記事:大王製紙が学生1000人に「奨学ナプキン」開始。生理用ナプキン1年分を無料で提供)、2023年度は学生の募集を1000名から2000名に増やして実施する。
22年度は1000名で募集していたところ、応募が殺到したため、新たに1000名に枠を広げて、計2000名にナプキンを提供した経緯があったからだ。
しかし、原材料や輸送費の高騰などによる値上げラッシュは続いており、大王製紙も2023年1月からトイレットペーパーなどの家庭用品を20%超値上げしている。
メーカーとしても苦しい状況だが、生理用品の提供を受けた学生たちから、
「(ナプキンが)気軽に交換できるので、部活や勉強に集中できた」
「夜、安心して眠れるようになり、睡眠不足が減った」
「心の余裕ができ、友人や家族との関係が良好になった」
などの声が寄せられたことを受け、プロジェクトの継続を決めた。
学校にも「生理休暇」を
出典:大王製紙「奨学ナプキン」HP
このほかにも大王製紙が行なった学生アンケートには、政府や学校、社会の意識の変化を求める声も上がっている。
「“月経は甘え”のような風潮はなくなっ てほしい」
「生理痛を理由に学校を休めるようになってほしい」
「生理は毎月あるため、補助金制度を手厚くしてほしい」
「無償で学校のトイレにナプキンを常備してほしい」
大王製紙は以下のようにコメントしている。
「『奨学ナプキン』プロジェクトを通して奨学生の生活に前向きな変化を与えていることが明らかになった一方、生理の有無を問わず社会が生理について理解し、オープンに話し合える環境を実現するには、今後とも継続的にアクションを起こし続ける必要があります」(大王製紙)
また、このプロジェクトにはマツモトキヨシグループなど、20の団体や企業が賛同しているという。
23年度の応募は4月11日から。