投資でリスクを取りすぎると、不必要な心配をしたり、家計が苦しくなったりしかねない。
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- 投資で儲けを得るうえでリスクはつきものだが、リスクが高すぎてはよくない。
- 一般的に、年齢が上がるにつれて投資を保守的にしていくことをファイナンシャルプランナーは勧める。
- 自分の投資戦略がわかっていなかったり、昔と同じままだったりするなら、強気の投資をしすぎているかもしれない。
投資は、ある程度のリスクを取る覚悟がなければうまくいかない。
直感的には受け入れがたいかもしれないが、報酬を得るためにはリスクが欠かせないのだ、とファイナンシャルプランナーでファセット・ウェルス(Facet Wealth)の共同設立者であるブレント・ワイス氏は言う。「リスクを負わずして長期的に目指す報酬を得ることはない」
とはいえ、リスクを取りすぎるのもよくない。不必要な心配をすることになったり、家計が苦しくなったりしかねないからだ。ワイス氏によると、リスクを取りすぎていることを示すサインは主に5つあるという。それを以下に紹介しよう。
1. 現金が手元にない
生活防衛資金をまだ用意していなければ、投資をする前に貯めておくべきだ。お金のリスクを取る前に、「かなりしっかりした基盤を築いておくことが非常に大切である」とワイス氏は言う。
「今ほど株を買うのが簡単な時代はかつてなかった」とワイス氏は言う。ただし、簡単だからといって、それがどんなときにも正しい行動だとは限らない。「生活防衛資金がないだけでなく、家計が黒字でない、保険で資産を守っていない、そんな人たちをたくさん見る。これは最大のサインになる。投資すべきでないお金を投資しているということだから。そのお金はもっと安全で確実なものに使うべきだ」
2. 確固たる資産配分戦略がない
投資商品は1種類だけではなく、株式、債券、投資信託をはじめ、さまざまな種類の商品が選択肢にある。しかし、リスクに関してはすべてが同じではない。ほとんどの人にとって、均衡の取れたポートフォリオを作るためにはリスクの大きさの異なる投資先をバランスよく組み合わせることが重要であり、最適なバランスは時と共に変化していくものだ。
「50代や60代でも、100%株式でポートフォリオを組んでいる人がどれだけいるかはわからない。20~30代ならそれは悪いことではなく、むしろ非常に良いこととも言える。しかし、退職が近づいてきたら、自分の時間軸について、しっかりと理解しなければならない」
ほとんどの人にとって、年齢を重ねると共に保守的な資産配分へと調整していくことは理にかなっている。「市場はいずれ回復する。しかし問題は、もしあなたが60歳や65歳で、退職を目の前にしている場合、真に直面するリスクは『このまま退職して、市場が30%下落したときに口座からお金を引き出す必要が出たらどうするのか?』ということなのだ」
3. 少数の銘柄にすべての投資を振り分けている
自己責任で簡単に利用できる株取引アプリの登場により、軽率な投資判断をする人が増えているとワイスは言う。
「そのときに話題の銘柄ばかりを買っている若い人たちをたくさん見る。価格が50%、200%、300%上昇した急成長株だ。それでは分散投資ができていない」
さらに彼はこう語る。「退職を控えた人が、30年勤めた自分の会社の株を大量に持っていることもある。感情面での結びつきがそうさせているのだが、1つの会社の株だけを所有することのリスクを彼らはわかっていない」
「すべての卵を1つのカゴに入れているのと同じだ」。それよりも、複数の銘柄で構成されるインデックスファンドや投資信託を通じるなどして、さまざまな銘柄を所有する方が賢明だとワイス氏は言う。
4. 毎日取引をしている
ワイス氏の経験上、毎日投資アプリを使ったり取引したりしている人は、過剰にリスクの高い動きをしているかもしれないという。
投資においては、「何を所有するかだけでなく、どのような方法で所有するかも重要だ」と彼は言う。市場のタイミングを計って売買し、手早く利益を上げようとする人は、リスキーな行動を取りすぎているのかもしれない。
いったん投資したものは長い間放置しておく方がいい。「私の15年のキャリアの中でも、多くの研究や調査を通してもそれを見てきた。長期的なアプローチにこそ報いがあるのだ。低コストで、うまく分散され、きちんと組まれた計画に沿ったアプローチは、長い目で見ればとても効果的なのだ」
5. ポートフォリオについて常に心配している
最もシンプルなサインの1つは、同時に最も顕著なサインでもある——つまり、ポートフォリオのことが頭から離れない状態だ。
「ポートフォリオのことが心配で夜眠れないなどのことがあれば、強気の投資をしすぎているのかもしれない」とワイス氏は言う。
「投資はオール・オア・ナッシングだと思われがちだ」。しかし、それは正しくない。「少し不安を感じるからといって、所有する株を全部売って現金や債券に換える必要はない。ポートフォリオを今よりも保守的にすればいいだけだ」
もし不安があるなら、戦略を変えていくらかリスクを下げることに価値はある。「ある程度は株にも投資しておくべきだが、少し調整すればいいのだ」