日本では、主に40代が中心となって副業文化を牽引している。
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- 「Job総研」が3月6日に発表した調査結果によると、日本国内の社会人のおよそ22.6%がすでに副業を始めているという。
- そうした副業文化を牽引しているのは、40代が中心となっているようだ。
- さらに副業の週間労働時間での最多回答は「4時間」、最頻値の年収は「50万円」となっているという。
日本ではすでに、ビジネスマンのおよそ4人に1人が副業を始めているようだ。
総合人材サービス企業パーソルキャリア傘下にある株式会社ライボの調査機関「Job総研」は3月6日、「2023年 副業・兼業の実態調査」の結果を発表した。それによると、調査対象者全体の22.6%が副業を行っており、最も一般的な副業の週間労働時間は4時間、副業のみの年収は50万円と言えそうだ。
この調査は、日本国内の企業に属している20〜50代の男女336人に対して、インターネットで実施されたもの。調査対象の詳しい分布までは明らかにされていないが、現状の日本における副業の実態を垣間見るには、興味深い結果となっている。
40代が牽引している「副業文化」
まず、現在副業を行っている人の割合は、前述のとおり336人中の22.6%。その年代別集計では、40代が31.7%で最多となっている。
出典:Job総研 「2023年 副業・兼業の実態調査」
出典:Job総研 「2023年 副業・兼業の実態調査」
さらに、別項目となる「今後、副業・兼業をしたいと思いますか」という問いについては、全体で85.5%が”したいと思う派”となった。そちらでも、年代別で40代が87.5%となり、最多となっている。
ある程度実績と経験を積んだうえで、まだまだ体力に余裕がある40代。そんな彼らが副業文化を牽引しているというのは分かりやすい構図だ。
週4時間勤務、年収50万円が一般的か?
さらに本調査結果で注目したいのは、副業・兼業における1週間の労働時間だ。下記図表によると「最多4時間」「平均8.7時間」「中央値5時間」となっている。
出典:Job総研 「2023年 副業・兼業の実態調査」
そのうえで、「副業・兼業で得ている年収」は「平均20万円」「中央値128.6万円」「最頻値50万円」とされていた。
出典:Job総研 「2023年 副業・兼業の実態調査」
なお、上記2つの労働時間・年収に関する結果は、調査対象者336人のなかで「現在副業を行っていると回答した76人」の回答を集計したものとなる。おそらくN数が少なすぎたため、バラつきが大きかったのだろう。通常、平均値と中央値のみの結果発表が多いなか、本調査では「最多」「最頻値(一番多く出現している値)」という指数も付記されている。
ちなみに週間労働時間が平均8.7時間で、年収の平均が20万円だと、概算で時給440円程度になる。さすがにそれではプロの仕事とはいえないだろう。
20万円÷(8.7時間×52.14週[年間の平均週数])=440.899…
そのため、「最多」の週間労働時間と「最頻値」の年収で見た方が一般的な実像に近くなると思われる。その場合だと概算で時給2400円程度になるので、納得度が高いからだ。
50万円÷(4時間×52.14週[年間の平均週数])=2397.391…
ただし、これはあくまで本調査をもとにした筆者の推測に過ぎない。より精緻な実態を把握するには、もう少し大規模かつ綿密な調査が必要そうだ。
目的は「自己研鑽」より「収入アップ」
最後に、副業への動機づけについても見てみよう。「今後副業をしたいと回答した287人」に、その理由を聞いた問いでは、「収入を上げるため」が70.4%で最多。それに「小遣い稼ぎ」が48.4%、「自身のスキル向上のため」が42.5%で続く。
出典:Job総研 「2023年 副業・兼業の実態調査」
この調査結果から見る限り、日本人による副業は、自己研鑽よりも直接的な実入りの方がより強い動機になっているようだ。特にインフレにますます拍車がかかっている現在、そうなるのも致し方ないだろう。
しかし、「手っ取り早く収入を得る代わりに、長期的に収入を増やすためのキャリア戦略を立てるべきだ」と警告するリクルーターもいる。副業を始めたことでタスクが増え、本業がおろそかになっては元も子もない。
流行っているからと安易に始めるのではなく、何を大切にすべきかの自問自答はしっかり行っておくことが肝要だろう。